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悪役令嬢とは失礼な!
悪役令嬢になりたい
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物語の中の悪役令嬢は婚約を破棄され、良くて修道院悪くすれば娼館送りにされる。それにしても女学生向けなのに娼館なんて施設を出すのはまずいんじゃないの、と思ったけどそこんところは大雑把なのかもしれない。ともかく、悪役令嬢は自分の身から出たサビから身を滅ぼしてしまう場合が多い。
しかし、わたしがなりたい悪役令嬢は、疎んじられたまま形だけの妻になってお手付きにならない人生にならないために結婚を自分でぶち壊す方だ! そもそも貴族同士の結婚は皇帝陛下の裁可を得ているもので、一度得たものを覆すのは出来ないものだ。しかし方法が一つあった。男側が嫌えばいいのだ。
わたしは戻れる実家はもうないし、実家を相続した叔父とは仲が悪かった! とにかくあいつと一緒の空気を吸っているのも嫌だった。だから宝亀の家に迷惑をかけて戻るつもりはなかった。では、どうなるのか?
たぶん、先代皇帝陛下の孫との婚姻をぶち壊したら、貴族の身分を剥奪されて平民に降下させられるだろう。そうなれば・・・どうなるのだろうか? 現在のように戦時体制なのでどこかの工場で働かされるのだろうから、なんとか生きていけるかもしれないと、楽観的に考える事にした。
わたしは悪役令嬢モノの小説からこんな展開を想像した。結婚式、相手は軍人なので将官の立派な礼服を着てくるだろう。一方のわたしは花嫁衣裳すら用意されていないので、いまは必要なくなった女学校の制服で出席するだろう。そして、相手の横には・・・悔しけど愛人の女がいるのだ。それにしても、なんでこんなにややこしい事をするんだろうか? 貴族同士しか結婚できず、もし平民なら貴賤婚(注)になるのでわたしと結婚しようとしているのだろう。立場をすり替えるために・・・て、ことはわたしは誰なのかわからない女になるの?
そんな事にならないようにするため、わたしは結婚式が始まる冒頭でこう宣言するのよ! 結婚したくありません、出奔します! と。そういえばお金を出したら手伝ってやると源五郎はいっていたけど、このことだったのね。でも、わたしにはお金をほとんど持っていないので、頼むことなんか出来ないわ。それに多恵は形式的には橘花宮家の使用人なので一緒についてきてくれないだろうね。それに多恵を雇うお金もないし。そして外に出るのよ。どうせ、わたしなんか価値がないんだから追ってこないだろうね。そして自由になるのよ・・・でも、どうなるのだろうね?
その時、わたしはまだ15歳で世間の事は殆ど知らないに等しかった。わたしが知っていた世界は宝亀家と女学校とそして悪役令嬢の小説と。そんなわたしが想像出来る現実は悪役令嬢の立場しかなかった。そもそも恋愛だって小説だけのものでしかなかった。異性を好きになるなんて想像も出来なかった。出来るのは、親が勧めた縁談に応じるだけであった。でも、その縁談はまさに奴隷契約だった。わたしを家族にしないというトンデモないしろものだ!
それを考えると悪役令嬢は良いと思えた。すくなくとも恋愛を成就するのに邪魔な障壁なんだから。それに、可哀そうにも思っていたの。いくら主人公たるヒロインの邪魔をするといっても、同じ女の子なのにあんまりじゃないのよと。だから悪役に置かれた令嬢が反撃する話の方が本当に好きだった。だからわたしは逆襲の令嬢になりたかった、あの変態帝国軍人をギャフフンと言わしてやりたかった。
そんなことを考えていると、外の嵐はますますひどくなり、今いる建物の軋みはさらにひどくなっていった。それにしても、結婚するという令嬢がいるのにふさわしい場所だと思っているのだろうか? 橘花宮家の人たちは? あとで聞いた話では別の屋敷で優雅な事をしていたらしい。ああ、その時から私は邪魔な悪役でしかなかった、疎まれた令嬢であった。
(注)婚姻相手に大きな身分差がある結婚。時代によっては相続の制限などペナルティーを科せられることがあった。日本においても旧皇室典範では皇族と平民との結婚は許されなかった。
しかし、わたしがなりたい悪役令嬢は、疎んじられたまま形だけの妻になってお手付きにならない人生にならないために結婚を自分でぶち壊す方だ! そもそも貴族同士の結婚は皇帝陛下の裁可を得ているもので、一度得たものを覆すのは出来ないものだ。しかし方法が一つあった。男側が嫌えばいいのだ。
わたしは戻れる実家はもうないし、実家を相続した叔父とは仲が悪かった! とにかくあいつと一緒の空気を吸っているのも嫌だった。だから宝亀の家に迷惑をかけて戻るつもりはなかった。では、どうなるのか?
たぶん、先代皇帝陛下の孫との婚姻をぶち壊したら、貴族の身分を剥奪されて平民に降下させられるだろう。そうなれば・・・どうなるのだろうか? 現在のように戦時体制なのでどこかの工場で働かされるのだろうから、なんとか生きていけるかもしれないと、楽観的に考える事にした。
わたしは悪役令嬢モノの小説からこんな展開を想像した。結婚式、相手は軍人なので将官の立派な礼服を着てくるだろう。一方のわたしは花嫁衣裳すら用意されていないので、いまは必要なくなった女学校の制服で出席するだろう。そして、相手の横には・・・悔しけど愛人の女がいるのだ。それにしても、なんでこんなにややこしい事をするんだろうか? 貴族同士しか結婚できず、もし平民なら貴賤婚(注)になるのでわたしと結婚しようとしているのだろう。立場をすり替えるために・・・て、ことはわたしは誰なのかわからない女になるの?
そんな事にならないようにするため、わたしは結婚式が始まる冒頭でこう宣言するのよ! 結婚したくありません、出奔します! と。そういえばお金を出したら手伝ってやると源五郎はいっていたけど、このことだったのね。でも、わたしにはお金をほとんど持っていないので、頼むことなんか出来ないわ。それに多恵は形式的には橘花宮家の使用人なので一緒についてきてくれないだろうね。それに多恵を雇うお金もないし。そして外に出るのよ。どうせ、わたしなんか価値がないんだから追ってこないだろうね。そして自由になるのよ・・・でも、どうなるのだろうね?
その時、わたしはまだ15歳で世間の事は殆ど知らないに等しかった。わたしが知っていた世界は宝亀家と女学校とそして悪役令嬢の小説と。そんなわたしが想像出来る現実は悪役令嬢の立場しかなかった。そもそも恋愛だって小説だけのものでしかなかった。異性を好きになるなんて想像も出来なかった。出来るのは、親が勧めた縁談に応じるだけであった。でも、その縁談はまさに奴隷契約だった。わたしを家族にしないというトンデモないしろものだ!
それを考えると悪役令嬢は良いと思えた。すくなくとも恋愛を成就するのに邪魔な障壁なんだから。それに、可哀そうにも思っていたの。いくら主人公たるヒロインの邪魔をするといっても、同じ女の子なのにあんまりじゃないのよと。だから悪役に置かれた令嬢が反撃する話の方が本当に好きだった。だからわたしは逆襲の令嬢になりたかった、あの変態帝国軍人をギャフフンと言わしてやりたかった。
そんなことを考えていると、外の嵐はますますひどくなり、今いる建物の軋みはさらにひどくなっていった。それにしても、結婚するという令嬢がいるのにふさわしい場所だと思っているのだろうか? 橘花宮家の人たちは? あとで聞いた話では別の屋敷で優雅な事をしていたらしい。ああ、その時から私は邪魔な悪役でしかなかった、疎まれた令嬢であった。
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