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人形の啓子と処女妻の啓子
暴徒に囲まれ(3)
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その時、人形化された侍女は同行していなかったため、人形の姿の啓子しか女性はいなかった。周囲にいるのは男ばかりだった。平時なら皇帝継承が有力な皇族家族なら優雅な馬車に、訓練された宮廷警察隊の警備がつくはずであった。だが今は戦時、一般タクシーとそれほど変わり映えのしない車両、庶民を信頼しているというよりも嘗め切ったような訓練不足の警備兵が啓子を護っていた。しかも暴徒化しやすい焼け出された市民が住んでいる地区を間違って通るようでは・・・
啓子は表情が出ていないのが救いだと思った。泣きたいし怖い、そんな負の感情を察せられる事がないから。今は人形だから。それにしても哲彦はわざわざ私を人形にしてパーティーに連れ出したのか、結局なにもわからなかった。
しばらく行くと、光がややく光景が人形の瞳のフィルターを通して啓子はわかった。それは別の車両が用意されていた。そのとき警備兵の一人がこういった。
「申し訳ございません、今日は。出来れば穏便にすむように殿下にお口添えください」
どうも、今日の失態を隠したい意図が分かり啓子は嫌だった。でも、あの暴徒はどうするのだろう? 怪我したり亡くなった人もいたのではないかと。でも、後で聞いた話によれば、陸軍航空隊が攻撃し、その付近の住民は死傷したという。哲彦ら軍部は自分の国の民すら手にかける程、腐乱しているのが分かり嫌になった。
啓子は表情が出ていないのが救いだと思った。泣きたいし怖い、そんな負の感情を察せられる事がないから。今は人形だから。それにしても哲彦はわざわざ私を人形にしてパーティーに連れ出したのか、結局なにもわからなかった。
しばらく行くと、光がややく光景が人形の瞳のフィルターを通して啓子はわかった。それは別の車両が用意されていた。そのとき警備兵の一人がこういった。
「申し訳ございません、今日は。出来れば穏便にすむように殿下にお口添えください」
どうも、今日の失態を隠したい意図が分かり啓子は嫌だった。でも、あの暴徒はどうするのだろう? 怪我したり亡くなった人もいたのではないかと。でも、後で聞いた話によれば、陸軍航空隊が攻撃し、その付近の住民は死傷したという。哲彦ら軍部は自分の国の民すら手にかける程、腐乱しているのが分かり嫌になった。
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