AIアイドル活動日誌

メグミはじめての営業に

はじめての営業（3）

　栗林めぐみにとって越智は憧れだった。二枚目のように見えて面白くアスリートのように運動能力が高くて。その彼が目の前にいた。でも、あなたを憧れていためぐみですと名乗ることは出来なかった。今はロボットなのだがら。

　「白武さん、いったいどんな営業をすればいいんですか？　スケジュール表にはいくところは書いていますが、プランがないですよ」

　「すまん、実は私も考えていない。知っているだろ、新結成したロボット達の売り出す事は上層部は何も考えていないと。現場で勝手にしろとばかりに。一体何を考えているんだろう？」

　そういわれメグミはこんなことを考えた。もしかすると生身の少女にハイペリオンスーツを着せてロボットにする事しか考えてなくて、他の純粋なＡＩロボのように何かするのは二の次だったんだと。確かに、生身の少女を素体にしているので、結構外観がバラバラだと思っていたけど。

　「そうだな、じゃあそこのピンクいやメグミ、何をしたいか君は？」

　突然、名指しされてメグミは焦った。いきなり越智先輩と営業しろと言われても、困ると。そうしていると、補助ＡＩがいろんな選択肢を提示してくれた。その中から選べという事らしい、こんな時だけ自由だなんて。

　「そうですね。そこの越智様の引き立て役でもいいですよ。いじってもいいですよ私を。私は人間に仕える機械ですから」

　メグミは自棄になっていた。どう思ってもロボットとして行動しなければいけないから。だから一層の事憧れの先輩のサポートをすればいいと投げやりになった。

　「じゃあ、決まりだ！　メグミは越智くんと一緒、アオイはビラ配りや！　いいな！」

　そのとき、白武マネージャーの情報が入ってきた。彼女はメグミもアオイも本当は人間だと知らない事を。