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第二章・エリザベートと甲冑蟲
41.エリザベートを選んだ甲冑蟲(6)
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シャーミとエリザベートがアテルナと対峙しているころ、ラルゴは館の上層階にある公爵国評議会の控室にいた。基本的に公爵国の緊急の課題といえば次の「戦争」すなわち他国との交流戦に向けての強化策のみで、他にこれといった問題はなかった。だから評議員はいつも議決が終われば、閉会の時間までのんびりしているのが常だった。
「ラルゴ! なんですか、甲冑姿のままで入って来るなんて! 夜狩りに付き合えとでもいうなら、明日にしてくれないか? 今日は他の皆さんと一緒に飲み会なんだから」
評議会議長で公爵国実質トップのエル・チャリスは椅子のひじ掛けにもたれて居眠りをしていた。この国の運営で問題になることはない、国家元首代理のシャーミはお飾りなんだから騎士としての責務を果たしてくれたらいいから、悩むことなどなかったからだ。
「議長! 迷宮に封印されているはずのアテルナが動き始めました! 至急評議会で対応を決めてください!」
だらしない姿勢にしていたチャリスはアテルナの名前を聞いたとたん、椅子から飛び上がった。それは他の評議員も一緒だった。その名は伝説でありまた忌み嫌われた存在だったから。
「ラルゴ。確認するがそれってシャーミ殿下か騎士にするように推薦した転移してきた娘・・・エリザベートといったな。その娘に反応したという事でいいんだろか?」
「はい、それに相違ないと思います。騎士見習いを経ていない娘に動き出す甲冑蟲にしては不自然ですが」
「不自然? 動き出したんだろ! 動く出したのなら理由があるだろ? その娘は転移前は魔法使いとか異能の職業についていたとかいわなかったか?」
「いえ、シャーミ殿下と同じ学生のようです。つまりは・・・そんなことないはずですが」
「それで殿下はどうしろと言っていたか? アテルナを再び封印するには、それなりの騎士団を招聘しないといけないし、それに魔法使団も。それで指示とはなんだ?」
「それは・・・そのエリザベートなる娘が甲冑蟲アテルナのマスターになることを認可してほしいとのことでした」
「なんと! 評議会に認めろというのか、殿下は?」
「はい・・・」
チャリスは黙り込んでしまい、評議会議長の机の上にあった公爵国の法律を定めた皮紙に書かれた書物を急いでめくっていた。
「ラルゴ! なんですか、甲冑姿のままで入って来るなんて! 夜狩りに付き合えとでもいうなら、明日にしてくれないか? 今日は他の皆さんと一緒に飲み会なんだから」
評議会議長で公爵国実質トップのエル・チャリスは椅子のひじ掛けにもたれて居眠りをしていた。この国の運営で問題になることはない、国家元首代理のシャーミはお飾りなんだから騎士としての責務を果たしてくれたらいいから、悩むことなどなかったからだ。
「議長! 迷宮に封印されているはずのアテルナが動き始めました! 至急評議会で対応を決めてください!」
だらしない姿勢にしていたチャリスはアテルナの名前を聞いたとたん、椅子から飛び上がった。それは他の評議員も一緒だった。その名は伝説でありまた忌み嫌われた存在だったから。
「ラルゴ。確認するがそれってシャーミ殿下か騎士にするように推薦した転移してきた娘・・・エリザベートといったな。その娘に反応したという事でいいんだろか?」
「はい、それに相違ないと思います。騎士見習いを経ていない娘に動き出す甲冑蟲にしては不自然ですが」
「不自然? 動き出したんだろ! 動く出したのなら理由があるだろ? その娘は転移前は魔法使いとか異能の職業についていたとかいわなかったか?」
「いえ、シャーミ殿下と同じ学生のようです。つまりは・・・そんなことないはずですが」
「それで殿下はどうしろと言っていたか? アテルナを再び封印するには、それなりの騎士団を招聘しないといけないし、それに魔法使団も。それで指示とはなんだ?」
「それは・・・そのエリザベートなる娘が甲冑蟲アテルナのマスターになることを認可してほしいとのことでした」
「なんと! 評議会に認めろというのか、殿下は?」
「はい・・・」
チャリスは黙り込んでしまい、評議会議長の机の上にあった公爵国の法律を定めた皮紙に書かれた書物を急いでめくっていた。
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