妖精の人形といた最期の一週間のあとは

第二話

　小学校の頃まで、私と真人は普通にどっかに行ったりしていた。そのころは幼すぎて男女の違いなんてあまりわからなかった。私の方が男の事間違われるぐらいだった。意地をはって他の男の子を泣かせたり、木登りをするなど、ワンパクすぎたから。一方の真人はどちらかといえば大人しかった。

　こんなことがあった。着ぐるみヒーローショーが開催されると聞いて近所のショッピングモールに親たちに連れていかれたことがあった。夏休みになっても、仕事の都合で遠くに旅行に行けないという不満を持つ子供たちをなだめるためだ。私は興味はなかったが何故か真人はノリノリだった。自分の好きな戦隊ものだと聞かされたから。

　しかし、真人の希望は打ち砕かれた。想像していた戦隊ものではなかったからだ。ヒーローではなく女の子たちのヒロインだったから・・・

　「なあ、美香。つまんないじゃん」

　それが第一声だった。その日ステージショーは「フェアリーガーディアン・R」で、妖精のエナジーを受けた女の子が変身して戦うというアニメの着ぐるみショーだった。最初に出てきたのが着せ替え人形のようだったので、真人は失望したわけだ。でも、アクションパートになると、ものすごく気に入ったらしく終わるころには興奮していた。そして、こんなことをいった。

　「なあ、美香。さっきの青い女ってお前に似ているよな。よく暴れまわっていたし」

　真人はその青いのが好きになったようだ。でも、入院しているときに会いたいと言い出すなんて思ってもいなかった。