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禁断のデート?

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 電車に乗り込んだが予想通り座れなかった。この日は日曜、まだまだ宮島に行こうとする観光客などでいっぱいだった。僕たちは連結付近に立っていたが、事情を知らないと親子ぐらいにしかみえなかったであろう。

 「東京の大学に行ったんだよね。こんな風にいっぱいいたんだから慣れているよね、こんなふうに電車の中で立っているのは。わたしはね、知っているかもしれないけど広島の大学に行ったから、他の街で暮らしたことがないのよ。だから、あなたが羨ましいと思った事があったわね。どうしても両親を置いてここを出ていく事ができなかったからね」

 高校生の姿の京香がそんな話をしていた。東京といえば確かに人も多く、出会いなどたくさんありそうなものであるが、僕はここ十年程は孤独を感じていた。安い報酬を得るために派遣されてギリギリの生活をしていて、今では存在するのが不思議な賃貸アパートで暮らしていて。だから、こんなにも近い距離で話をしてくれる彼女といるのが嬉しかった。

 「そうなんだ。でも、大学四年のときに就職説明会であったことがあったよね? あの会社に入れたの?」

 僕は一番最後に彼女と会った時の事を聞いていた。あのときの彼女はリクルートスーツを纏い大人の女性になっていたはずだった。
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