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ガイノイド”イブ”と彩華

ガイノイドフェチ!

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 自分がなっていていうのもなんだけど、機械のようになったというか機械そのものの女の子(のようなもの)が好きだという男の心理はまだ私には理解できない面もあった。もっともそんな姿になる事に近ごろ快感すら感じる私がいるけど。

 それはともかく風岡先生は週に三回は店に顔を出している常連だ。店のホームページなどでガイノイド出勤日が公表されているのでそれに合わせてやって来るらしい。ちなみにお店は年中無休なので、当然イブが出ている時を外してきたことはなかった。

 「イツモアリガトウゴザイマス。キョウハナニカラシマショウカ?」

 私はイブの声でしゃべっていた。本当の「内臓」の声は猿轡されている状態で出せないので、私の脳波を読み取ったAIによる人工音声だった。だから教え子が目の前にいるのなんて分かることはなかった。

 「そうだね、ちょっと君の身体を見せてくれないか?」

 そういって風岡先生はいつものことだけど私を覆う外骨格を触りながら見るのであった。ちなみにこうすると課金対象になるので私の懐に何パーセントか入るけど、やっぱり変だと思う。なんで生身の女の子でなく機械のような女の子モドキが好きだというのよ?

 そんな風に思うのは風岡先生は同級生の中でも人気がある独身教師で、ひそかにファンクラブ組織が存在しているほどだ。でもプライベートはガイノイドフェチというのは私しか知らない事実だった。そんなの誰にも言えない事だった、高校生なのにガイノイドの内臓になって深夜まで接客業に従事しているのがバレるからだ。

 「ワカリマシタ、デハワタシヲダキシメテクダサイ」

 そういってイブは風岡先生にボディを預けた。イブは機械娘人形という扱いだから問題などない行為だ。なんだってガイノイドなんだからお人形さんを抱いたとしてもちょっと変わった趣味というわけだ。

 でも内臓の私はドキドキしていた。これでもうら若き乙女なんだから気になる異性に抱かれて気分が高揚しないはずはなかった。でもイブの外骨格は内臓の荒い息使いも心臓の早くなった鼓動も一切外部に漏らすことは無かった。そう機械なんだから。

 風岡先生は私を覆うイブの外骨格を撫でるようにしていた。そして身体を寄り添っていた。その時私の内臓にも彼の体温を感じていた。もっともそれは数値としてなので、一種の疑似的なものでしかなかった。そうなるもの生身の人間が発する刺激を抑制する機能が作動しているからだ。あんまり刺激が強すぎると人間的な反応を示すのでリミットがあるわけだ。でも私は風岡先生の身体を抱きしめたくなっていた。異性など付き合った事がないから興味津々だったからだ。

 でも、それは許されなかった。イブは人間のお客様に奉仕する存在であって、内臓の気持ちは全く考慮されないからだ。だから私は心の中でもどかしかった!
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