バイト先で機ぐるみ姿になったばっかりに

ジャン・幸田

文字の大きさ
6 / 16
(一)バイト先の朝

7.少女からガイノイドへ

しおりを挟む
 サイバーテックのパワードスーツの優秀性は国の内外を問わず評価されていた。最新鋭の人工筋肉、そして着用者の快適性能だ。しかし不思議な事があった。自衛隊を初めとする軍事用として制式採用がされたことがなかったのだ。

 それもこれもサイバーテックの江藤社長の政治力のなさが原因だった。実績の無い新興メーカーに入り込む余地がなかったというわけだ。
 もっとも自衛隊向けパワードスーツの開発メーカーに指名された他の複合企業体のものは未だ実用に耐えれるものが作られていなかったが・・・

 この時、美咲が着ていたスーツはおそらく日本で入手できるパワードスーツの中でも最高水準だった。従来のパワードスーツよりも薄い人工筋肉で従来よりも高出力を出せるようになったので、女性らしいフォルムを一切崩すことがなかったからだ。

 美咲の首から下は機械そのもののような姿になっていた。これから頭部の改造が始るところだった。

 「とりあえず津田さん、これからエリカの顔面パーツに入ってもらいます。一度頭部まで装着すると基本的には自力で脱ぐことができませんの。
 一応、頭部だけは緊急エジェクトシステムがありますので、後ほど説明いたします。それでははじめます」

 そういって美玖は美咲の口腔にマウスピースを入れてしまった

 「これからあなたの口は固定されますので、一切自分の声で話すことが出来ません、しかし、脳波探知システムで人工音声による発生は出来ます。ただ、津田さんの声ではなく登録されたエリカの音声データになりますので驚かないでください」

 そういって美咲の頭にスイムキャップみたいなものを嵌めて、ヘッドギアみたいなものを覆ってしまった。そして着ぐるみのマスクのようなものを被せられてしまった。
 こうして津田美咲という少女の存在は.家庭用メイド対応ガイノイド・エリカG2024 型デモンストレーション87号の中に隠されてしまった。

 「そう津田さん気持ちは? そうそうこれからあなたはエリカだからエリカと及びいたします。中には津田美咲という人はいませんから。だって”中の人”はいないのですから」

 「わかりました、マネージャー。わたしはエリカ87号です」

 美咲はそう答えたが不思議な気分だった。目の前は大きなドームのようなモニターがあって、そこに様々なデーターが映し出されていた。それは昨日聞いたデモンストレーションの機能よりも良さそうに思っていた。

 「なんか気持ち良いですよ、機械の体になったみたいで。生まれ変わったみたいです」

 「それはよかった。それじゃあ売り場に入りますか。わたしは他にやることがあるから、エリカだけ先に行ってね」

 美奈代はすっかり美咲をガイノイド扱いし始めていた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...