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エリーは探偵として推理する
27・愛莉の秘密(1)
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愛莉は見た目はごく普通の少女だった。逮捕された時は普通の大学生の女の子がやるように、少しパーマをかけて髪を少し染めていたが、その他大勢の女の子の一人と誰しも思うような印象だった。しかし、学力はずば抜けていて偏差値は72を超え、知能指数も192あり、そして驚異的な分析能力があるのが分かっていた。さすがに全ての学科が得意というわけではなく、歴史など自然科学系統に弱みがあった。
そんな愛莉の能力を見て、数多くの脳科学者から研究に協力してくれと申し出があったが、そのほぼ全て拒否してきた。自分がまるで研究用動物にでもされるような気がしたからだ。それなのに、理工学部で研究の名目で協力した結果が、全身拘束刑の受刑者としてガイノイドにされてしまった。
「淳司、それにしても私の裁判て公式にはどうなっているのよ? 今の私はネット回線から情報を得られないから分からないのよ!」
愛莉はそういって乱れた髪を直していた。仮想空間の愛莉のアバターは高校時代を反映しているので、黒いセミロングに編んだ髪の束がある、いわゆるお嬢様学校のヘアスタイルだった。愛莉自身はお嬢様ではない天涯孤独の孤児であったが、「郷に入れば郷に従え」ということで、周囲の少女たちと同じにしていた。それには多少の居心地の悪さはあったが、同級生たちに受け入れられたのでそれはそれで幸せだった。でも、いまはガイノイドだ!
「それなんだが、君の裁判記録自体が機密指定されているんだよ。本当に官僚というものは自分たちにとって都合が悪ければ、国防上必要などとかといってな。まあ、俺のクライアントにはそんな機密指定などわけねえけどな。
それにしても、密かに入手した君の裁判記録では、君の刑罰は重保護観察10年になっているな。これも拘束刑の一種だけど、外見を機械にするものじゃないな。せいぜい、行動を監視するために頭部にGPSとモニタニングシステムの埋め込みのはずだが・・・そもそも国家機密漏洩で全身拘束刑といったら敵対国家のスパイなんかにするものだというのに、おかしいと思ったぜ」
淳司の言葉に、愛莉はおもわず机に読んでいた書類を叩きつけていた。いくら仮想空間とはいえ、自分の手にダメージの信号が伝わって来た。
「じゃあ、そういうことは私をロボットにしたのは、誰かの陰謀という訳なの? それにしても弁護士も裁判官もみんなウソばっか! いくら私が法律に疎いといっても、どうして全身拘束刑なんて言い出したのかおかしいと思っていたのに! こんな金属と樹脂にまみれた身体にするなんてひどいよ! なのに、どうしてあのヲタクのオバサンは私を改造したんだよ! なんか聞いていない?」
愛莉は半ば切れ気味に言っていた。こんな風に感情を爆発できるのも全身拘束刑に処せられてから仮想空間だけだった。
「それなんだが、やっぱ最初からおかしかったそうだ! それには柴田技師長も驚いていたよ。正式な書類なのに虚偽ばっかり書かれていたと。全身拘束刑に執行される囚人といえば、凶悪犯ばっかりで、まあ国家機密漏洩罪も立派な凶悪犯だけど、指示書がデタラメだったよ。だから、エリーとアイリを入れ替えるのも出来たわねなんだがね。偽造には偽造というわけさ。
アイリがそのまま理工学部にリースされたところを見ると、やっぱり君の電脳が必要だったようだ。もう少しすれば、アイリの電脳を取り出すために破壊するだろうな!」
「破壊? なんてことなの? それじゃあ、アイリのままだったら私って殺されていたわけなの?」 愛莉は驚いた顔をしていた。その顔があまりにもおかしかったので淳司は噴き出してしまったが、それには愛莉は少し怒ってバカバカといわんばかりに軽く叩いていた。
「そこまで驚かなくてもいいじゃないかい! 今、とりあえず安全なんだから! アイリを壊した奴が今回の事件の黒幕なのは確かだからな。本当は、そのまま君を理工学部に送ろうとしたんだが、相当危険だと早めに分かってよかった。なんだって国防省の最高機密の暗号カギを解除したと分かったからな!」
そういう淳司の手に、いつの間にか古めかしい記録媒体があった。この世界を今動かしているのは淳司なので、魔法使いのように振る舞えるのだから、当たり前であったが。
そんな愛莉の能力を見て、数多くの脳科学者から研究に協力してくれと申し出があったが、そのほぼ全て拒否してきた。自分がまるで研究用動物にでもされるような気がしたからだ。それなのに、理工学部で研究の名目で協力した結果が、全身拘束刑の受刑者としてガイノイドにされてしまった。
「淳司、それにしても私の裁判て公式にはどうなっているのよ? 今の私はネット回線から情報を得られないから分からないのよ!」
愛莉はそういって乱れた髪を直していた。仮想空間の愛莉のアバターは高校時代を反映しているので、黒いセミロングに編んだ髪の束がある、いわゆるお嬢様学校のヘアスタイルだった。愛莉自身はお嬢様ではない天涯孤独の孤児であったが、「郷に入れば郷に従え」ということで、周囲の少女たちと同じにしていた。それには多少の居心地の悪さはあったが、同級生たちに受け入れられたのでそれはそれで幸せだった。でも、いまはガイノイドだ!
「それなんだが、君の裁判記録自体が機密指定されているんだよ。本当に官僚というものは自分たちにとって都合が悪ければ、国防上必要などとかといってな。まあ、俺のクライアントにはそんな機密指定などわけねえけどな。
それにしても、密かに入手した君の裁判記録では、君の刑罰は重保護観察10年になっているな。これも拘束刑の一種だけど、外見を機械にするものじゃないな。せいぜい、行動を監視するために頭部にGPSとモニタニングシステムの埋め込みのはずだが・・・そもそも国家機密漏洩で全身拘束刑といったら敵対国家のスパイなんかにするものだというのに、おかしいと思ったぜ」
淳司の言葉に、愛莉はおもわず机に読んでいた書類を叩きつけていた。いくら仮想空間とはいえ、自分の手にダメージの信号が伝わって来た。
「じゃあ、そういうことは私をロボットにしたのは、誰かの陰謀という訳なの? それにしても弁護士も裁判官もみんなウソばっか! いくら私が法律に疎いといっても、どうして全身拘束刑なんて言い出したのかおかしいと思っていたのに! こんな金属と樹脂にまみれた身体にするなんてひどいよ! なのに、どうしてあのヲタクのオバサンは私を改造したんだよ! なんか聞いていない?」
愛莉は半ば切れ気味に言っていた。こんな風に感情を爆発できるのも全身拘束刑に処せられてから仮想空間だけだった。
「それなんだが、やっぱ最初からおかしかったそうだ! それには柴田技師長も驚いていたよ。正式な書類なのに虚偽ばっかり書かれていたと。全身拘束刑に執行される囚人といえば、凶悪犯ばっかりで、まあ国家機密漏洩罪も立派な凶悪犯だけど、指示書がデタラメだったよ。だから、エリーとアイリを入れ替えるのも出来たわねなんだがね。偽造には偽造というわけさ。
アイリがそのまま理工学部にリースされたところを見ると、やっぱり君の電脳が必要だったようだ。もう少しすれば、アイリの電脳を取り出すために破壊するだろうな!」
「破壊? なんてことなの? それじゃあ、アイリのままだったら私って殺されていたわけなの?」 愛莉は驚いた顔をしていた。その顔があまりにもおかしかったので淳司は噴き出してしまったが、それには愛莉は少し怒ってバカバカといわんばかりに軽く叩いていた。
「そこまで驚かなくてもいいじゃないかい! 今、とりあえず安全なんだから! アイリを壊した奴が今回の事件の黒幕なのは確かだからな。本当は、そのまま君を理工学部に送ろうとしたんだが、相当危険だと早めに分かってよかった。なんだって国防省の最高機密の暗号カギを解除したと分かったからな!」
そういう淳司の手に、いつの間にか古めかしい記録媒体があった。この世界を今動かしているのは淳司なので、魔法使いのように振る舞えるのだから、当たり前であったが。
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