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エリーは探偵として推理する
36・束の間の自由
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機械として制御されている自分の身体を解除する作業を愛莉は自分で行っていた。アイリとして製造された電脳には愛莉の生体脳と機械として制御する電子素子が混在していた。今しているのは電子素子にある制御プログラムの書き換えだった。淳司によれば一気に買い替える事も可能との事だが、それでは愛莉を冤罪に陥れた連中にばれるので、徐々にするしかないということだった。それにしても、自分で自分の頭をカスタマーするとは思ってもいなかった。
その時、愛莉は逮捕されるきっかけになった暗号解除の作業を思い起こしていた。その時、分からなかったことが徐々に分かってきた。その暗号に大まかに二つあって、前者はどうやら国防省のアーカイブライブラリーへのアクセスキーで、後者はエキゾチック・ブレインの本文の暗号のようであった。前者は、割と簡単に解読したが、後者は一週間ほど解除にかかってしまった。その途中で、マスコミで大きく報道された「麗華民主共和国における生物兵器開発疑惑」が流出していたようであったが、それは気にも留めていなかった。
一週間後、エキゾチック・ブレインの本文の暗号解読に成功した瞬間に逮捕されてしまった。この時、本文をスクロールして確認していたが、全文英語だったので速読することは出来なかったので、殆ど覚えていなかった。でも、冒頭部分だけを思い出した。それは・・・
そのとき、愛莉はエリーのボディを自分の意志で動かせるようになった! 思わず愛莉は自分の顔を確認した。
エリーというガイノイドの外骨格に覆われた自分の顔は硬かった。わずかに温もりはあるが、それは内部から熱を放出しているからだった。口元は唇の形をしているが装飾にすぎず、それは鼻筋も同じだった。その下で愛莉の口蓋と鼻腔に様々な器具を挿入され、味覚と臭覚という人間的な五感を奪われていた。
次に触ったのは自分の腰だった。腰も特殊樹脂に覆われたチタン製の外骨格に覆われていた。その下に自分の人間らしい存在は隠されていた。排泄行為も単なる内部構造の廃棄物交換で数日に一回しかしなくなっていた。なぜなら、体内で発生した老廃物を含んだ水分は濾過され循環しているからだ。尿も外骨格にある濾過装置に送られて、また口蓋に挿入されたチューブで戻されていた。
「うーん、あたしってまだエッチなんかしていないのよ! そんな女の子をこんな機械と一緒にするなんて、黒幕って奴が分かったら一発殴ってやりたいわ! それにしても、いましかないのよね」
愛莉はエリーの腰の他、胸や足など他の部位をいたわるように触っていた。今の自分の身体を確かめていた。このような姿になっているのは分かっていても、ガイノイドモードのままでは自分の意志で動かして確認できなかった。それを今していた。
仮想空間ではカリソメとはいえ、飲食したりスカートをひらひらしたり淳司を素手で殴ったり出来たが、それらは出来なくなっていた。人間の食事を摂ることは出来ないし、ガイノイドは洋服を着ないし、もし淳司を殴ったら殺しかねない! 今の愛莉は柔らかい血が通う生身は奪われ、金属と特殊樹脂などに全身を加工されたガイノイドだった。それでも、今の身体をこうして動かせるのは悲しいけど嬉しいという複雑な感情であった。
ただし許されるのは自分の視覚が及ぶ範囲で人間がいない時限定だった。機械が人間の自分を取り戻せるのは今だけだった、束の間の自由であった。自由意志で動ける機械はここにあってはならなかったからだ。
その時、愛莉は逮捕されるきっかけになった暗号解除の作業を思い起こしていた。その時、分からなかったことが徐々に分かってきた。その暗号に大まかに二つあって、前者はどうやら国防省のアーカイブライブラリーへのアクセスキーで、後者はエキゾチック・ブレインの本文の暗号のようであった。前者は、割と簡単に解読したが、後者は一週間ほど解除にかかってしまった。その途中で、マスコミで大きく報道された「麗華民主共和国における生物兵器開発疑惑」が流出していたようであったが、それは気にも留めていなかった。
一週間後、エキゾチック・ブレインの本文の暗号解読に成功した瞬間に逮捕されてしまった。この時、本文をスクロールして確認していたが、全文英語だったので速読することは出来なかったので、殆ど覚えていなかった。でも、冒頭部分だけを思い出した。それは・・・
そのとき、愛莉はエリーのボディを自分の意志で動かせるようになった! 思わず愛莉は自分の顔を確認した。
エリーというガイノイドの外骨格に覆われた自分の顔は硬かった。わずかに温もりはあるが、それは内部から熱を放出しているからだった。口元は唇の形をしているが装飾にすぎず、それは鼻筋も同じだった。その下で愛莉の口蓋と鼻腔に様々な器具を挿入され、味覚と臭覚という人間的な五感を奪われていた。
次に触ったのは自分の腰だった。腰も特殊樹脂に覆われたチタン製の外骨格に覆われていた。その下に自分の人間らしい存在は隠されていた。排泄行為も単なる内部構造の廃棄物交換で数日に一回しかしなくなっていた。なぜなら、体内で発生した老廃物を含んだ水分は濾過され循環しているからだ。尿も外骨格にある濾過装置に送られて、また口蓋に挿入されたチューブで戻されていた。
「うーん、あたしってまだエッチなんかしていないのよ! そんな女の子をこんな機械と一緒にするなんて、黒幕って奴が分かったら一発殴ってやりたいわ! それにしても、いましかないのよね」
愛莉はエリーの腰の他、胸や足など他の部位をいたわるように触っていた。今の自分の身体を確かめていた。このような姿になっているのは分かっていても、ガイノイドモードのままでは自分の意志で動かして確認できなかった。それを今していた。
仮想空間ではカリソメとはいえ、飲食したりスカートをひらひらしたり淳司を素手で殴ったり出来たが、それらは出来なくなっていた。人間の食事を摂ることは出来ないし、ガイノイドは洋服を着ないし、もし淳司を殴ったら殺しかねない! 今の愛莉は柔らかい血が通う生身は奪われ、金属と特殊樹脂などに全身を加工されたガイノイドだった。それでも、今の身体をこうして動かせるのは悲しいけど嬉しいという複雑な感情であった。
ただし許されるのは自分の視覚が及ぶ範囲で人間がいない時限定だった。機械が人間の自分を取り戻せるのは今だけだった、束の間の自由であった。自由意志で動ける機械はここにあってはならなかったからだ。
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