冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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エリーは探偵として推理する

44・求めるべき真実(8)

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 中高一貫の全寮制の女子高で過ごしてきたため、愛梨は少し世間とズレていた。周囲がハイクラスの有産階級ブルジョアジーの生徒に囲まれた、特殊な環境だったので、ある意味衝撃的だったのだ。そもそも、夏休みなどの長期休暇で帰るべき家がない愛莉は、学生生活をほぼ学校で過ごしてきたから。

 そんな愛莉にとって晴美は大学に入って初めての友人だと思っていた。彼女の意見に流されるままに罠にハマってしまって逮捕されるようなことをしでかしたわけだ。しかし、彼女も犠牲者なのかもしれなかった。命を奪われたのかもしれなかった・・・

 さっきというか、昨晩アイリが聞いた、いろいろと誰かを電脳化したけど成功しなかったといっていたが、その中の犠牲者の一人が彼女かもしれなかった。でも、そんな核心的な事を知っている二人の正体って誰なんだと考え込んでしまった。

 「それにしても、誰なんだろうね? あの二人は? 見当はつくんだけど自信はないなあ」

 愛莉は研究所を出入りした日々。アルバイト料を少しは出すから暗号を解いていてという晴美の上級生たちが怪しかった。ただ人数は多く、大学院生もいれると疑わしいと思える人物を思い出していた。色々考えていくとある一組の男女を思い出した。

 「板倉教授の研究室って割と出入り自由だったからね。たしか、ホテル代わりに使われたなんて言う事を聞いたことがあるから、理工学部のなかでも泊まり込んでいるって噂があったのは、高代准教授だったわね。なんとなくしゃべり方の雰囲気が似ていたから。それともう一人は五十嵐センパイかな? なんか色々とヤバそうな事をしている感じの事を言ってたからね。でも、二人が一緒にいたところは見たことないよね?」

 愛莉が思い出したのは、新型の思考をするコンピューターの開発プロジェクトのリーダーをしていた高代義信と、別の研究チームのメンバーの大学院生の五十嵐みさおだった。高代はクマのような体格をしたまるで登山家のようなむさぐるしい男で研究者らしくなく、五十嵐は古風な黒髪の日本人形みたいなひ弱な女だった。

 そんな二人が一緒にいて、睦事など契りなどを結んでいちゃついていた! そんな想像をした愛莉は自分の方が恥ずかしくなってしまった。今の自分はガイノイドだから、そんなことは出来ないというのに! ああ、今の自分の歳には母は私を生んだというのに、今の私は人間の女ではない! そう思うと腹が立ってきた!

 「うーん、愛莉! なに考えているのよ! とにかくあの二人が連中の一員としてもおかしいよね? でも一介の准教授や大学院生が司法や警察をも動かせるはずなんてないし! やっぱり黒幕は・・・”闇の司法部”?」

 闇の司法部という単語を思い出した時、淳司から渡された、その連中に対する情報が電脳内に浮かんできた。
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