冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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エリーは探偵として推理する

67・打ち合わせ

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 愛莉が想定する今回の事件の黒幕の一人に淳司もいた。その場合、自作自演というかもしれないが、そんな回りくどいことをするかもしれないと考えられる点があった。あまりにもやることが手が込んでいるからだ。

 淳司は大学の臨時であるがドイツ語講師だ。所属が法学部といっても理工学部に一人で潜入することは容易いように思えたから。一応、説明ではスパイ装置を持ち込むにはガイノイドの外骨格ボックスが都合がいいとはいっていたが。

 そんな淳司がエリーの外部入力口に入れたメディアからもたらされたのは理工学部のあの高層ビルの間取り図だった。愛莉も学生として出入りしていたが、一般の学生が入れるエリア以外の情報ははじめてだった。

 「ヘー、淳司ってこれはどこで入手したの? 本当はあなたは何者なの? これだけの事が出来るのなら私なんか使わなくてもいいんじゃないの?」

 愛莉はそういったが淳司は質問に答える気はなさそうだった。

 「俺の正体は明かすことは出来ねえぞ。なぜ君にやらせるのかというと君がガイノイドだからさ。いくら人間だからといっても、今の君の身体はガイノイドと変わんねえからな。そっちの方が都合いいわけさ。それと理工学部の関係者と何人か会えるように手はずしているから安養寺真由美君と一緒に観察してきなさい」

 今はガイノイドだから。その言葉に愛莉はグッサと心を打ちのめされてしまった。このエリーとかという機械の材料にされてしまっているのが現実だから。目の前に人間の淳司がいるので自由に身体を動かすことが出来ないし。すると、淳司はこうもいった。

 「そうそう、いまダウンロードしているプログラムが正常に起動すれば君はエリーの機体を人間がいてもある程度動かせるようになるからな。そうすれば多少は理工学部ビルの構内で自由な事ができるさ。まあ、ばれないように気を付けてもらいたいが」

 そういうとおり、愛莉の電脳が再構成されるのを自覚することが出来た。
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