145 / 200
三姉妹との邂逅
128・丹下犯罪学研究所三階
しおりを挟む
愛莉はとりあえず丹下犯罪学研究所の整理を始めた。自分を拘束していたブースはクラウゼに触らないようにと言われたのでそれ以外であったが、その時、クラウゼが何かをブース内に隠したことに気が付かなかった。
「それにしても、膨大ですわね。まるで倉庫!」
ガイノイドモードの時は「人間的」な主観を持たずに作業していたが今は愛莉として感じる事ができた。姿形はまだガイノイド・エリーのままだが。
「愛莉くん、といわせてもらおうか。この研究所の事はどこまで知っているのか君は?」
愛莉が振り返るとクラウゼはすぐ後ろにいた。どうもセンサーの一部が無効化しているのに気付いた。
「わかりません、実はまだ人間だった時に、ここにこんな古びた建物があるのも知りませんでした」
丹下犯罪学研究所は、帝央大学法学部最古の建物で、半世紀以上もほとんどリフォームもされず、時代に取り残されたようだった。内部も電子化されていない紙媒体の資料が蓄積されており「古新聞倉庫」と陰口があった。また書籍も本棚にすら整理されていないものも多かった。
「そうだろうな、丹下教授はここではまともに研究しているわけではないからな。教授がこの研究所を大学に使用許可を出された理由があるんだよな」
そういうとクラウゼは愛莉を三階へと案内した。そこに入るのは愛莉ははじめてだった。入らなかったのは興味がなかったわけではなく、ガイノイド・エリーの行動フィールドに入力されていなかったためだ。存在すらしらなかった。
三階にいくとそこは小さな扉が廊下に並んでいた。この丹下犯罪学研究所は小さな建物で、三階の床面積は下二階の半分ぐらいしかなかった。その三階の廊下は薄暗かったが、これは周囲が法学部の建物に囲まれ日が差し込まないためであった。
「ここに入ってもいいのですか?」
「大丈夫、愛莉くん。淳司の指示だからな。おっと、教授の許可はもらっていないからな、そのつもりで」
クラウゼの言葉に愛莉は不安を感じていたが、この感覚って人間らしいものだと感じ少し感動的だった。このとき、少しずつ電脳化されていても人間らしい感情が蘇っているのを感じていた。
一人と一体、いや二人はある扉を開けた。その扉には「最高機密」とあった。その中には古いサーバーらしきものと、数多くのファイルが並べられた本棚があって、その中央に今では博物館にでも所蔵されているようなブラウン管のモニターが置かれていた。そのモニターの前には事典のような装丁が施されたファイルがあった。そのファイルをクラウゼが開いた。そこにはびっちりとドイツ語の筆記文字が綴られていた。
「これはいったい?」
「これか? 全身拘束刑のための人体機械化技術の下書きだよ。全てはここから始まったんだよ」
クラウゼはそういうと、あるページを開いた。そこにはおぞましい画像があった。人間が切り刻まれているようにしかみえないものが!
「それにしても、膨大ですわね。まるで倉庫!」
ガイノイドモードの時は「人間的」な主観を持たずに作業していたが今は愛莉として感じる事ができた。姿形はまだガイノイド・エリーのままだが。
「愛莉くん、といわせてもらおうか。この研究所の事はどこまで知っているのか君は?」
愛莉が振り返るとクラウゼはすぐ後ろにいた。どうもセンサーの一部が無効化しているのに気付いた。
「わかりません、実はまだ人間だった時に、ここにこんな古びた建物があるのも知りませんでした」
丹下犯罪学研究所は、帝央大学法学部最古の建物で、半世紀以上もほとんどリフォームもされず、時代に取り残されたようだった。内部も電子化されていない紙媒体の資料が蓄積されており「古新聞倉庫」と陰口があった。また書籍も本棚にすら整理されていないものも多かった。
「そうだろうな、丹下教授はここではまともに研究しているわけではないからな。教授がこの研究所を大学に使用許可を出された理由があるんだよな」
そういうとクラウゼは愛莉を三階へと案内した。そこに入るのは愛莉ははじめてだった。入らなかったのは興味がなかったわけではなく、ガイノイド・エリーの行動フィールドに入力されていなかったためだ。存在すらしらなかった。
三階にいくとそこは小さな扉が廊下に並んでいた。この丹下犯罪学研究所は小さな建物で、三階の床面積は下二階の半分ぐらいしかなかった。その三階の廊下は薄暗かったが、これは周囲が法学部の建物に囲まれ日が差し込まないためであった。
「ここに入ってもいいのですか?」
「大丈夫、愛莉くん。淳司の指示だからな。おっと、教授の許可はもらっていないからな、そのつもりで」
クラウゼの言葉に愛莉は不安を感じていたが、この感覚って人間らしいものだと感じ少し感動的だった。このとき、少しずつ電脳化されていても人間らしい感情が蘇っているのを感じていた。
一人と一体、いや二人はある扉を開けた。その扉には「最高機密」とあった。その中には古いサーバーらしきものと、数多くのファイルが並べられた本棚があって、その中央に今では博物館にでも所蔵されているようなブラウン管のモニターが置かれていた。そのモニターの前には事典のような装丁が施されたファイルがあった。そのファイルをクラウゼが開いた。そこにはびっちりとドイツ語の筆記文字が綴られていた。
「これはいったい?」
「これか? 全身拘束刑のための人体機械化技術の下書きだよ。全てはここから始まったんだよ」
クラウゼはそういうと、あるページを開いた。そこにはおぞましい画像があった。人間が切り刻まれているようにしかみえないものが!
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる