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序章:仕事をさがしています!
003.同情するなら仕事を紹介して
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失業してからというもの、沙羅は自分の部屋で落ち込んでいた。彼女の住むアパートは昭和の雰囲気たっぷりのボロアパートで、トイレ・風呂は共同、キッチンは付いているけど激狭、天井が異様に低いという木造アパートだった。
いまどき、そんなアパートに住むのは年金生活者や単身世帯、もしくは地方出身の学生ぐらいで、若い女性住民は沙羅だけだった。
さすがに年頃の女が一人暮らしをしているので、二階の部屋にしてもらってはいたけど、隣のアパートとの境界に立つ塀の上に立てば侵入できそうで不安だった。そんなところに沙羅は住んでいた。
失業して以来、沙羅は引きこもりに近い状態になっていた。もっとも、一人暮らしでニートのように生活を支えている家族はいないし、食事の用意も自分でしなければいけなかった。もっとも、料理はあまり得意ではないので、店屋物やコンビニ弁当が”主食”になっていた。
そのうえ、生きる張り合いを失ったの様に、食事をしても後片付けはしない、掃除もしないという有様で、部屋の環境は急速に悪化していた。しかも失業保険の手続きに必要な離職証明書が郵送されてこないので、悶々とした日々を過ごしていた。
そんなとき、一本の電話があった。沙羅の友人でイベント会社の社長を彼氏に持つ少しリッチな恵理華からだった。
「沙羅、あなた仕事をクビにされたんだって。だから言ったでしょ、あそこの派遣会社は。派遣先はボロだし支給される賃金も少ないし! だから、一緒うちの彼の会社に就職しないかといっていたでしょ」
恵理華はそういって笑っていたけど、本当に不謹慎なヤツだと思っていた。あんたの彼氏の会社だって結構やばいんじゃないかと、突っ込みたいと思ったけどケンカになるのでやめにした。それにしても同情するなら仕事を紹介して! と言いたかった。
「ところで、沙羅。以前やってもらった着ぐるみを着るバイトなんだけど、またしてみない?」
その言葉を聞いた特、私の胸の中でなにかに打ち抜かれたいような気がした。そう、着ぐるみという言葉だった。そのとき、あの時の光景が甦ってきた。着ぐるみを着たときのことだ。
普段、多くの人には声をかけられたり、注目されることも無いのに、着ぐるみのパンダを着ただけで多くの人がよってきたからだ。生まれ変わったかのような快感を感じていたし。
「それはいいけど、どうせ一日か数日でしょそれは? つなぎとしても短すぎない事無いのよ?」
「ううん、これから夏の間ずっとよ。しかも住み込みで衣食住は無料で、しかも給料も良いのよ。結構あんたみたいな人も望んでいたわよ。着ぐるみの”内臓”になる女の子を」
わたしはおもわず、携帯電話に頬ずりしてしまった。それって私が今求めていたものではないかと。
いまどき、そんなアパートに住むのは年金生活者や単身世帯、もしくは地方出身の学生ぐらいで、若い女性住民は沙羅だけだった。
さすがに年頃の女が一人暮らしをしているので、二階の部屋にしてもらってはいたけど、隣のアパートとの境界に立つ塀の上に立てば侵入できそうで不安だった。そんなところに沙羅は住んでいた。
失業して以来、沙羅は引きこもりに近い状態になっていた。もっとも、一人暮らしでニートのように生活を支えている家族はいないし、食事の用意も自分でしなければいけなかった。もっとも、料理はあまり得意ではないので、店屋物やコンビニ弁当が”主食”になっていた。
そのうえ、生きる張り合いを失ったの様に、食事をしても後片付けはしない、掃除もしないという有様で、部屋の環境は急速に悪化していた。しかも失業保険の手続きに必要な離職証明書が郵送されてこないので、悶々とした日々を過ごしていた。
そんなとき、一本の電話があった。沙羅の友人でイベント会社の社長を彼氏に持つ少しリッチな恵理華からだった。
「沙羅、あなた仕事をクビにされたんだって。だから言ったでしょ、あそこの派遣会社は。派遣先はボロだし支給される賃金も少ないし! だから、一緒うちの彼の会社に就職しないかといっていたでしょ」
恵理華はそういって笑っていたけど、本当に不謹慎なヤツだと思っていた。あんたの彼氏の会社だって結構やばいんじゃないかと、突っ込みたいと思ったけどケンカになるのでやめにした。それにしても同情するなら仕事を紹介して! と言いたかった。
「ところで、沙羅。以前やってもらった着ぐるみを着るバイトなんだけど、またしてみない?」
その言葉を聞いた特、私の胸の中でなにかに打ち抜かれたいような気がした。そう、着ぐるみという言葉だった。そのとき、あの時の光景が甦ってきた。着ぐるみを着たときのことだ。
普段、多くの人には声をかけられたり、注目されることも無いのに、着ぐるみのパンダを着ただけで多くの人がよってきたからだ。生まれ変わったかのような快感を感じていたし。
「それはいいけど、どうせ一日か数日でしょそれは? つなぎとしても短すぎない事無いのよ?」
「ううん、これから夏の間ずっとよ。しかも住み込みで衣食住は無料で、しかも給料も良いのよ。結構あんたみたいな人も望んでいたわよ。着ぐるみの”内臓”になる女の子を」
わたしはおもわず、携帯電話に頬ずりしてしまった。それって私が今求めていたものではないかと。
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