婚約していたことを忘れていたので破棄するなんて私にとっても都合良いですわ

ジャン・幸田

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15(ケネス視点 その1)

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 クルセイド騎士団の女性騎士団を指導しているケネスは休日ということで、ゆっくりしていた。彼は元々北方で海賊をしていた種族の出身で、様々な経緯を経てツーゼ伯の騎士団に入ることが許された。しかし、試合の際に腕の腱を斬られてしまい、競技生活を終えるしかなかった。そして再就職したのが現在のコーチ役であった。

 そんなケネスは王城で開かれる宴に行く事もないのでケネスは軽いトレーニングや用具の手入れなどをした後は、訓練所の中庭で昼寝していた。どこか遊びに行く事もないし、暇だったのだ。そんな時、王城に行っていたツーゼ伯のお供をしていた者が戻ってきた。

 「大変です!」

 「なに慌てているんだ?」

 「カリンが婚約破棄されたとのことです」

 「ちょっと待て! 本当か? 冗談も休み休み言え!」

 「冗談を言っても、何の得もありませんよ! とにかく、カリンは・・・」

 「おい! カリンと婚約していたのはどこのどいつだったけ?」

 「誰だったか? 国王陛下のお孫さんだったようだけど、あまりにも人数が多すぎて・・・覚えていない」

 クルゼイロ騎士団のメンバーたちはカリンが貴族令嬢として婚約しているのを知っていても、相手が誰かなんて覚えていなかった。関係ないことだということで。それはケネスも同じだった。女性騎士としての実力は認めていても、彼女の事を恋人になる可能性すら思っていなかった。伯爵令嬢でもある彼女を特別扱いしていなかったのだ。

 「婚約破棄か・・・許されるなら騎士団長に木っ端みじんにされているだろうな、いくら陛下の孫でも」

 騎士団員たちにとって、ツーゼ伯が怒った時ほど恐ろしい災害はなかった。その怒り方は手に負える者は誰もおらず、怒ったら最後だと覚悟しなければならないほどだった。

 「そうだろうね・・・まあ陛下もおられるから問題は起きないはずさ。でも、カリンを心配してあげないと。婚約破棄されたのだから」

 その時、残されていた騎士団員はカリンの事が心配であったが、ケネス一人だけが漠然とした表情を浮かべていた。

 
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