元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第肆章:魔導士見習いとしてやることは?

110.石橋

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  遠い昔に国家間の戦争は事実上なくなってはいたが、それでもなくならなかったのが個人間の争いだった。だから大勢の人々が集まった場合、それが初対面であっても競争心から他人よりも優位性を主張しようとすると、言い争いになることは珍しくなかった。

  そんな重い空気を切り裂きながら歩いてきた、中年風の太鼓腹の非常に身体が重そうな男がいた。こんな体形でも魔導士なのか? とおもったら違っていて、彼は「車掌」の腕章をつけていた。でも車掌ならさっきバッチを見せたのでいたはずなのに。

  「わしは、この路線の運行管理者のヴァリガスンだ。今日は新人魔導士の研修会が開催される日だから見回っているんじゃよ。時々、喧嘩をし始める輩がいるからな。あんたら言い争うなら、研修会でしてくれないか? 魔導士じゃない乗客もいるからな」

  そう言いながらチェックして回っていた。魔導士ならみんなバッチをしているから一目瞭然だった。ヴァリガスンがアサミらの前にやってきた。その時電車は長い石橋を渡っていた。その石橋は湖の中央部に浮かぶ岩山のようなところを結んでいて、その岩山の上には数多くの建物が林立していた。そこが魔導士ギルド本部だった。

  「お嬢さんたちケモノ系の娘さんか。まさか魔導士になるために変化の術を受けたわけではないよな」

  「それはないですよ。わたしの部族は昔からこのスタイルですよ。まあ他の部族と交わることができなかったのですけど」

  ルンファはそういうと服をまくりオヘソのあたりを見せた。そこは猿のような毛で覆われていた。彼女の部族は鎖骨から下は剛毛で覆われている種族だったのだ。

  「それでは、そこの君! あんたも生まれつきなのか?」

  アサミはそう質問されたが答えに窮していた。この世界に召喚された時がわたしが再び生まれたのだと言ってもいいのかしらと。

 ヴァリガスンの問いかけにアサミは戸惑った。そういえばわたしって今何歳なんだろう? そう思いいままでの経過を思い出した。

  ネコとして生まれ変わって多分一年は経っているのは間違いなかった。生まれたときに桜の花びらが舞っていたのをなんとなく覚えているからだ。それから秋ごろにタクヤと再会・・・といっても、その時は理性などなかったから再会したなんて思っていなかったけど、とにかく、あの工場の敷地で餌を時々もらっていて、その次の春ごろにタクヤがホームレスになってしまって、それからしばらくして人間だった時の記憶がよみがえって、夏の終わりごろにこの世界へと転移してきた・・・そして今のネコ耳娘になった。
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