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第伍章:神殿にて
143.予算の無駄使い?
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ギルドの本部では筆頭統領が、異世界から召喚された者、アサミとタクヤを迎えにいくのに、わざわざ本部直属の要塞馬車を派遣した事が、予算の無駄使いじゃないかと問題になっていた。結局、筆頭統領のカミーナ・カンヴァーラは、”筆頭統領の夜食番”が使う金庫から必要経費をポーンと支払った。この金庫は筆頭統領の機密費というのは公然の秘密だったので、それ以上は追及されなかった。
ギルドという組織はこの世界では国家よりも強大な権力をもっているが、その意思決定機関の運営評議会は各国の魔道士や各国の元首などで構成されていた。その評議会の上に位置するのが統領委員会であったが、通常は執行を管理するだけの組織で非常事態が起きなければ、事実上の閑職とされていた。
その委員会のトップの筆頭統領の通常の業務は、決裁書類の確認と署名捺印だけというもので、自分では一切の意思表明が出来ないという物であった。いわば象徴的な地位であった。そのため魔道士ギルドのトップでありながら、筆頭統領が表に出る事はあまりなかった。そして時の筆頭統領は北の大陸にある大国フォムラスで女王をしていたが、そのまえは巫女をしていた。
そのカミーナのところに戻ってきたのがメイファンだった。メイファンはアサミたちの追尾から急遽呼び戻されたのだ。
「ねえ、筆頭統領! 正直に言わせてもらうと・・・」
メイファンが切り出そうとしたところ、カミーナは自分で淹れてきた茶を差し出してきた。いまいる筆頭統領の執務室は尖塔の最上階にあって、幽閉部屋と陰口があるほど狭かった。
「予算の無駄使い、でしょ! いいたいことは!」
カミーナに勧められた茶を口にすると、メイファンは不満げにいった。
「そう思いました、いままで異世界からの召喚者といえば、このジェムシームといった大都市じゃないですか、たいていは。
なんで二人は辺鄙な地の果てに召喚されていたなんて・・・そんなに遠い所なら最寄に住む管轄魔道士にでも任せればいいではないですか? そう考えていたのに
でも・・・聞いておられると思いますが、なぜあいつらは狙うのですか?」
メイファンはそういうと、神殿から預かって来た紙をわたした。それにはアサミの前世とそれより前の生に関する情報がかかれていた。それをめくっていたカミーナの顔色はみるみる悪くなっていった。それは紙に書かれていることが原因だった。
「それはね、あの二人が今後のこの世界の将来を左右しそうなんだよ。そして場合によっては世界は終わることになるかもしれないというわけよ。死の女神の再臨によって!」
カミーナが口にした単語は、この世界では悪魔か死神に匹敵する凶事を意味していた。
ギルドという組織はこの世界では国家よりも強大な権力をもっているが、その意思決定機関の運営評議会は各国の魔道士や各国の元首などで構成されていた。その評議会の上に位置するのが統領委員会であったが、通常は執行を管理するだけの組織で非常事態が起きなければ、事実上の閑職とされていた。
その委員会のトップの筆頭統領の通常の業務は、決裁書類の確認と署名捺印だけというもので、自分では一切の意思表明が出来ないという物であった。いわば象徴的な地位であった。そのため魔道士ギルドのトップでありながら、筆頭統領が表に出る事はあまりなかった。そして時の筆頭統領は北の大陸にある大国フォムラスで女王をしていたが、そのまえは巫女をしていた。
そのカミーナのところに戻ってきたのがメイファンだった。メイファンはアサミたちの追尾から急遽呼び戻されたのだ。
「ねえ、筆頭統領! 正直に言わせてもらうと・・・」
メイファンが切り出そうとしたところ、カミーナは自分で淹れてきた茶を差し出してきた。いまいる筆頭統領の執務室は尖塔の最上階にあって、幽閉部屋と陰口があるほど狭かった。
「予算の無駄使い、でしょ! いいたいことは!」
カミーナに勧められた茶を口にすると、メイファンは不満げにいった。
「そう思いました、いままで異世界からの召喚者といえば、このジェムシームといった大都市じゃないですか、たいていは。
なんで二人は辺鄙な地の果てに召喚されていたなんて・・・そんなに遠い所なら最寄に住む管轄魔道士にでも任せればいいではないですか? そう考えていたのに
でも・・・聞いておられると思いますが、なぜあいつらは狙うのですか?」
メイファンはそういうと、神殿から預かって来た紙をわたした。それにはアサミの前世とそれより前の生に関する情報がかかれていた。それをめくっていたカミーナの顔色はみるみる悪くなっていった。それは紙に書かれていることが原因だった。
「それはね、あの二人が今後のこの世界の将来を左右しそうなんだよ。そして場合によっては世界は終わることになるかもしれないというわけよ。死の女神の再臨によって!」
カミーナが口にした単語は、この世界では悪魔か死神に匹敵する凶事を意味していた。
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