元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第伍章:神殿にて

144.死の女神

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 この世界を一度滅亡させた破綻戦争の原因はもはや負の伝説と化していて詳細は分からなかった。それもこれも数多くの科学技術情報と同様、記録が人々の大量死と共に失われたからだ。

 伝えられているところによれば、200億人以上はいた人口が一気に数千万人ぐらいまで減少したとされていた。その原因は大国同士のエゴむき出しの抗争が、取り返しのつかない事態を招いたとされていたが、それを招いたのが死の女神ではないかとされていた。

 どのように死の女神が破綻戦争に加担したかについては、はっきりしないが、確かなのは戦後の衰退した世界に君臨したということだ。そして数百年は恐怖で支配したとされていた。その治世についても詳細はわからないが、そちらの方はその後の世界を支配するギルドが封印したとされていた。

 「死の女神が再臨するだなんて・・・まさか、御神託で指し示られていたというのですか?」

 メイファンの表情は少し引きつっていた。アサミとタクヤへの異例の対応は、とある神殿の巫女の御神託によるものとされていたが、その内容を知るのはギルドのごく一部しかいなかった。その一人がカミーナであったが。

 「それは今は否定も肯定もしないわ。だから言わないわ。そのうち分かる事だけど」

 そういってカミーナは持っていて一枚のメダルを出した。そのメダルは見覚えがあった。それは死の女神のものとされる紋章だった。

 「それって・・・死の女神のですよね、でもなんで持たれているのですか?」

 「それは・・・あなたの師匠が送り付けてきたものよ、あの二人が転移するまえに。その意味は・・・わかるでしょ」

 「えっ、あの男がですか?」

 「そうよ、それは彼のメッセージよ。動き出したということよ。80年前にあの惨劇を引き起こした死の女神の騎士団が」

 「やはり・・・それが各国で起きている不安定要素の原因というわけですか。でもなんで公表しないのですか?」

 メイファンがいうと、カミーナの長い髪を振り乱すようにして彼女の顔に覆いかぶさった。まるで接吻するかのような姿勢になった。しかし実際は耳元に唇をよせた。

 「この建物に中にいるのよ、死の女神の騎士団を再興したのが! だからいえないのよ、今は」

 「そんな・・・だから私たちに任せているわけですか。で、なんであの二人なんですか、私の任務は」

 メイファンはドキドキしていた、この世界でも尊敬されている女が極傍にいることに。カミーナは巫女であったが、その巫女は神に使えたことで並外れた神通力と千里眼をそなえているとされていた。ゆえに勝手な事が出来ぬように退任した後も束縛されていた、高度な社会的地位という牢獄に!

 「それを知るためにあなたにやってもらっているのよ。取りあえずあなたにはエリンおばさんの所にいってもらうわよ」

 「えっ? 叔母のところですか私の?」

 メイファンは意外な事をいわれ驚いていた。
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