元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン

147.依頼内容

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 ファビューは大きな声を出したが、無理もなかった。そのエヴァ・エリというネコのようなものはインヴァラ公エリンとほぼ同じ高さがあった。そして胴体は・・・巨大でモコモコの白い毛皮を纏っていた。

  その絵をアサミが見たとき思い出したのはアリスだった。まだ永川亜佐美だったころ、家で飼っていたタクヤが保護したネコだ。保護した時にはか弱く小さなヌイグルミのようだったが、長じてインフレーションを起こしたかのように体重が増え、長毛種だったこともあり、ブクブクした巨大なモップのようになっていたが、ここで似たネコにお目にかかるとは思っていなかった。

  「エヴァ・エリはこのインヴァラ公国の守り神とされる聖獣ですわ。でも食費がかさんでしまって・・・うちの家計は火の車で。それはともかく、十日前からこの政府庁舎のわきにあるダンジョンに迷い込んでしまって、それで探索を魔導士ギルドに依頼したら、あなたたちが来たわけなのよ」

  どうもインヴァラ公エリン閣下は、格安で依頼したようだった。だから新人の魔導士が派遣されたのだと思ったが、疑問があった。なんで戦闘系の魔導士がこんなところに来なければならないのかと!

  「閣下、我々が派遣されたという事はそのネコ・・・いや聖獣が迷い込んだ先は普通の人間じゃ負えないという事ですか?」

  「よくわかったわね! うちのダンジョンはいろんな魑魅魍魎の類が放たれているのよ。それらは結界があるので地上に出てくることはないし、用事もないので入ることはないわ。
  でも、十日前に聖獣飼育員が祭りでお酒をしこたま飲んで眠っていた時に、間違ってダンジョンのカギを開けたままにしていたら、あの子ったら入ってしまって、行方不明になったのよ。
  それで、探そうとしたんだけど、うちの国の者でダンジョンに入ってもいいというのはいないし、バウンティ・ハンター魔導士を雇うお金もないので、魔導士ギルドの出資国特典サービスを使ったのよ」

  一行は、何があるのか分からないけど、ドンでもないものがありそうなダンジョンで巨大なネコを探せということらしかった。

あとで聞いた話であるが、インヴァラ公エリンが治めている公国は貧しく、少しでも国民のためにと公爵として受け取る歳費をギリギリまで削り、自ら政府庁舎の清掃員をするなど倹約していたという。そのため、ダンジョンへ入って探させる人員の日当すら払えないありさまだったという。だから魔導士ギルドに要請した際も、事実上「援助」みたいなもので、滞在費以外の負担はないコースだった。そのため、研修終了試験とされてしまったようだった。
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