元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン

148.競争相手?

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  「閣下、そういえば我々の班のほかにもう一班くるということでしたが、そちらは来たのですか?」

  「たぶん、もうすぐ来るはずですよ」インヴァラ公エリンが口にしたその時、ドアをノックする音がした。その時、もう一班の研修魔導士が到着した。その班はみなお揃いの魔導士専用の甲冑を纏っていた。それは皮で出来たプロテクターに装飾を施したもので、まるで芸術品だった。

  その班はヴァークロウ・ラヴェルスが班長を務めていて、四人とも著名なバウンティ・ハンター魔導士の子弟だった。だからダンジョン探索はお手の物だった。

  「おやおや、まぐれか実力かは知りませんけど、伝説の魔導士の道具を持っているアサミさんとタクヤさんが入っている班ですか?
  まあ、合格できるようにダンジョンを散歩してきなさいよ。俺たちが聖獣を地上にお連れするからな。あんたたちはダンジョンのダの字も知らないんだろ? 無事に帰ってくることだけ考えときなよ」

  ヴァークロウは挑発するような口調で言い寄ってきた。しかしそれは的をいていたかもしれなかった。たしかにファビュー班の四人はダンジョンというものに入ったことなどなく、どうやって探すのかイロハすら知らなかった。

  「あたい、ダンジョンってお城の中にあると思ったけど、ここってどんなダンジョンなの? 教えてもらえないですか?」

  ルンファはインヴァラ公エリンに質問したけど、ヴァークロウらは失笑していた。この四人の男女は洗練された体格とルックス、それに気迫も強く感じた。それに対しファビュー班ときたら、熊にサルにネコに平凡な男・・・直接対決したら勝ち目はなさそうだった。

 目的であるダンジョンへの入り口は村役場のようなインヴァラ公国政府庁舎の裏庭にあった。そこは農家の中庭みたいな雰囲気で、農機具置き場や肥料置き場、そして家畜小屋などがあって、その一角にある公爵官邸の脇のドアがそれであった。

  しかも公爵官邸といえば聞こえはいいが、平屋で壁土に亀裂が入りまくっているような、ボロ小屋でその周囲にある民家よりもみずぼらしかった。

  「うちはねえ、ほらお金ないから民の暮らしに関係しないものには使わないのよ。だから、うちの後継者の孫なんかは他の国の大学に行ったきり帰ってこないのよ。貧乏な生活はいやだなんかいってね。
  昔から言うじゃないのよ、ボロは纏っても心は錦ってね。だから、わたしは死ぬまで公爵として勤めないといけないのよ」

  上品な顔立ちなのに清掃員の着るボロボロの衣装を着たエリン公爵に案内されたファビュー班とラヴェルス班は愚痴を聞いていた。この国は貧しくても歴史があるとか、観光客だけでなく魔導士すらやってこないとか、長々と聞かされうんざりとした表情をしていた。

  「閣下、それよりも聖獣を探しに行かないといけないのでしょうか? 魑魅魍魎の類に危害をく割れられたりしないのですか?」

  アサミは話を切り出してエリン公爵の講釈を打ち切った。おばさんの愚痴なのか自慢なのかわからない終わりがなくオチのない話に付き合うのにあきたこともあるけど、早くダンジョンに入りたかった。
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