元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第一章:気が付いたらネコになっていたアサミ

005.ガード下のアサミ

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 ガード下でタクヤと再会したアサミはそのまま彼の傍で眠ってしまった。ネコがこうやって飼い主やその家族と一緒に寝るのは珍しい事でもないが、他のホームレスから見れば奇異に見えたようだ。ノラネコがこんなになつくだなんておかしい、どこかの飼い猫で捨てられたのか迷って来たのかと思っていたようだ。

 そうやって眠っているアサミは幸せな気持ちでいっぱいだったけど何故幸せなのかが疑問に思い出していた。以前、知り合った飼い猫から聞いた話では、生きるために必要な行為という意味があるということだったが、なぜネラネコの自分がそうするのか分からなかった。

 アサミは狩りが上手で野を駆け回っているネズミだけでなく空を飛んでいるスズメ程度なら仕留める事は容易かったからだ。だからわざわざタクヤの世話を受ける必要もなかったからだ。それに抽象的な幸せという感情はネコにあまりないものだったからだ。

 その晩、アサミはこんな夢を見ていた。大空を飛んでいる夢だ。実はアサミは人家を仕切る塀ぐらいなら問題ないが、川を渡る橋の欄干付近を歩くのも嫌なぐらい高所恐怖症だった。ネコが何故高所恐怖症なのか? そんなの聞いても誰にもわからないことであった。

 それはともかく、アサミが空を飛んでいると突然、真っ逆さまに墜ちていったのだ。しかも身体がタクヤなどと同じ人間の身体のようになっているのだ。そして海面に激突した時、身体と共に魂が砕ける感覚がするのだが、何故か痛くないのだ。ただすごく寂しいという事だ。

 目を覚ますと体調が悪そうなタクヤの顔がみえた。その顔は本能的に死期が近い様に感じた。ネコが死期を感じ取った時、それは避けがたい事態のように思えた。だからアサミは悲しかった。

 それでタクヤの顔を舐めていると、ザラザラしたネコの舌に刺激されて目を覚ました。

 「アサミ、起こしてくれてありがたいけど、起こしてもらったご褒美はないよ。ごめんね」

 そういってアサミの頭を撫でてくれたが、そうやってもらえるのも長くなさそうな気がした。それにノラ猫の寿命はあまり長くないもので、病気にもなりやすいし、車にひかれ命を落とすものもいるので、もしかするとアサミタクヤもこの世界にいられるのは短いと感じていた。

 その日のガード下は少し水が溜まっていて湿気も多く鬱陶しいかった。気温が高く大雨が降っていたから。ホームレスたちは活動できないのでじっとしていたが、それはまるで生きた屍のようでもあった・・・その中にアサミとタクヤはいた。
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