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第一章:気が付いたらネコになっていたアサミ
018.ソファーの上で
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「それじゃあ、お言葉に甘えて、永川亜佐美の父・広之進と妹・奈緒美の近況を教えていただけないですか? まさか不幸にはなっていないですよね?」
私がリクエストすると、イリスさんは何やら上司にお伺いをたてているようだった。どうもエンジェルというのは裁可を仰がないといけないモノらしい。
「とりあえずこれからアサミ様の家族の元にご案内いたしますが。出来る範囲で望みを叶えますから」
すると、ネコの身体に閉じ込められていた人間の魂のわたしが解放されて、一種の幽体離脱という状態になった。そして意識は遠くなっていった・・・
次に気が付いたのは見たことのあるソファーの上で横になっていた。そこは亜佐美がお気に入りのリビングのソファーだった。そこは永川家だった!
しかし身体が重い・・・その重い身体を動かして見えたのは、わたしと母の大きな遺影だった!!
「どういうことにゃの? わたしってどうなっちゃったのよ?」
そんな風に戸惑っていると目の前にイリスさんが現われた。
「アサミ様はいま、ご希望通りにあなたの実家にいるのです。ただ、今回は条件がついていまして別のネコの身体に憑依していただいています」
私はそのネコの身体をソファーからゆっくりと立ち上がり、洗面台の方に歩こうとすると、身体が鉛のように重い! それに毛の艶もない! なんて酷いネコなんだと思っていた。はっきりいえば飼い猫なのにデブでノロマな奴だと思った! その時わたしは鏡をみるとそれはアリスだった!
アリスとは高校時代に出会った教育実習生が里親を探していた子猫で、器量が悪く引き取り手が無かったので私が引き取ったのだ。それにしても十年以上も生きていることになるから、相当な年寄りなのだ!
「そのネコですが、もうすぐ寿命が終わるようですわ。元々身体も丈夫じゃなかったようだし、病気も酷いようですし。
ちょっと骨かもしれないですが、とりあえず現在のあなたのお父様と妹様のご様子だけでも見させてあげます。これは特別な事ですからね、堪能してください」
わたしは動き辛いアリスの身体でゆっくりと家の中を歩いていた。永川亜佐美の人生最期の日に見た家の中と違うのは、家電が新しくなった事と祭壇(永川家はクリスチャンだった)の横にわたしと母の遺影が置かれていたことだ。
それはわたしが大学の入学式の時に母と一緒に写ったものだった。その写真の置き方でわたしはもうこの世の人間ではなくなっていたことを自覚せずにはいられなかった。
アリスの姿である部屋に入ろうとしたが、ドアノブをまわそうとしたがアリスの身体では届かなかった。するとイリスさんが開けてくれた。
そこは亜佐美の部屋だった。最初わたしは何も残っていないと思ったが驚いてしまった。あの日この家を出かけるときと様子が変わっていなかったからだ。変わっているとすれば映画のセットのようにきれいになっていることだった。
わたしが、あの日目覚めたベットも机も本棚もクローゼットも壁に貼っていたポスターもそのままになっていた。そう、わたしが帰ってくることを待っていたかのように! 唯一違うのは机の上に家族四人の写真とともに私が貰うはずだった大学の卒業証書とわたしの写真が綺麗に置かれていた事だった。
「アサミ様のお父様は、あなたが帰ってくるはずだと思ってずっとこのままにされていたようですわ。姿形こそ変わっていますけど、こうして帰ってこれたのですから・・・」
そういってイリスさんは少し悲しそうな表情をしていた。
私がリクエストすると、イリスさんは何やら上司にお伺いをたてているようだった。どうもエンジェルというのは裁可を仰がないといけないモノらしい。
「とりあえずこれからアサミ様の家族の元にご案内いたしますが。出来る範囲で望みを叶えますから」
すると、ネコの身体に閉じ込められていた人間の魂のわたしが解放されて、一種の幽体離脱という状態になった。そして意識は遠くなっていった・・・
次に気が付いたのは見たことのあるソファーの上で横になっていた。そこは亜佐美がお気に入りのリビングのソファーだった。そこは永川家だった!
しかし身体が重い・・・その重い身体を動かして見えたのは、わたしと母の大きな遺影だった!!
「どういうことにゃの? わたしってどうなっちゃったのよ?」
そんな風に戸惑っていると目の前にイリスさんが現われた。
「アサミ様はいま、ご希望通りにあなたの実家にいるのです。ただ、今回は条件がついていまして別のネコの身体に憑依していただいています」
私はそのネコの身体をソファーからゆっくりと立ち上がり、洗面台の方に歩こうとすると、身体が鉛のように重い! それに毛の艶もない! なんて酷いネコなんだと思っていた。はっきりいえば飼い猫なのにデブでノロマな奴だと思った! その時わたしは鏡をみるとそれはアリスだった!
アリスとは高校時代に出会った教育実習生が里親を探していた子猫で、器量が悪く引き取り手が無かったので私が引き取ったのだ。それにしても十年以上も生きていることになるから、相当な年寄りなのだ!
「そのネコですが、もうすぐ寿命が終わるようですわ。元々身体も丈夫じゃなかったようだし、病気も酷いようですし。
ちょっと骨かもしれないですが、とりあえず現在のあなたのお父様と妹様のご様子だけでも見させてあげます。これは特別な事ですからね、堪能してください」
わたしは動き辛いアリスの身体でゆっくりと家の中を歩いていた。永川亜佐美の人生最期の日に見た家の中と違うのは、家電が新しくなった事と祭壇(永川家はクリスチャンだった)の横にわたしと母の遺影が置かれていたことだ。
それはわたしが大学の入学式の時に母と一緒に写ったものだった。その写真の置き方でわたしはもうこの世の人間ではなくなっていたことを自覚せずにはいられなかった。
アリスの姿である部屋に入ろうとしたが、ドアノブをまわそうとしたがアリスの身体では届かなかった。するとイリスさんが開けてくれた。
そこは亜佐美の部屋だった。最初わたしは何も残っていないと思ったが驚いてしまった。あの日この家を出かけるときと様子が変わっていなかったからだ。変わっているとすれば映画のセットのようにきれいになっていることだった。
わたしが、あの日目覚めたベットも机も本棚もクローゼットも壁に貼っていたポスターもそのままになっていた。そう、わたしが帰ってくることを待っていたかのように! 唯一違うのは机の上に家族四人の写真とともに私が貰うはずだった大学の卒業証書とわたしの写真が綺麗に置かれていた事だった。
「アサミ様のお父様は、あなたが帰ってくるはずだと思ってずっとこのままにされていたようですわ。姿形こそ変わっていますけど、こうして帰ってこれたのですから・・・」
そういってイリスさんは少し悲しそうな表情をしていた。
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