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第一章:気が付いたらネコになっていたアサミ
029.転生提案
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「イリスさん、もし選べるとしたらどんな救済案があるというのですか?」私はとりあえず聞いてみることにした。
ただ、定められているはずの運命が変わるのを防げなかったり、救済が必要となるぐらいまで放置するような方の案なので不安ではあったが。
「まず、もう一度永川亜佐美さんとしてやり直すのは不可能です。お亡くなりになってから年数がたっていますから」
「それもそうね、身体はバラバラになっていますし・・・関係ないかも知れないですが、最期の時に私の隣に座っていた美保子はどうなったんですか? 彼女は中学生からの友人だったのですが」
そう質問すると彼女はしばらく沈黙した後に語り始めた。
「美保子さんでしたら、あなたと一緒にお亡くなりになって、今はドイツ人少女として生活しているそうです。まあ、次の次ぐらいに生まれ変わったらお会いできるかもしれませんけど」
まあ、美保子は憧れのドイツに転生していると知って少しホットした。
「それもそうよね、日本人としてまた生まれ変われないの、あたし?」
「それは可能です。アサミ様は過去十回のうち日本人として四回転生していますから。でも、それにはいくつか超えないといけません。
まずネコとしての生涯を全うしなければいけません。ネコといった生物の場合、エンジェルは一切関与できないので、明日車に轢かれて死ぬかも知れませんし、どこかの親切な人に拾われ長生きするかもしれません。
また、そこのタクヤ様のネコとして生きていくのもよいでしょう。そうそうタクヤ様も救済しないといけないので、その場合なんかの職業と住居を得られるように采配いたします。
まあ、ネコとして生きている間は前世がアサミ様だったことは忘れていただきますが」
そういったが、あたしはそれは嫌だった。むかし、ネコを飼っていた事があって、今度生まれ変わったらネコがいいなあと思ったことがあったけど、今の境遇を思うとどうしようもないと思った。
それに折角人間のアサミの記憶が戻ったのにまた忘れるなんて、もう一度死ぬのと一緒ではないかと感じていた。
「それって。もう一度死ぬのと一緒ですよね。仮にネコとして生涯を終えたらどうなりますか」
「そうですねえ、とりあえず天国に一度帰っていただいて、然るべき時期に亡くなったタクヤ様の魂と一緒に転生していただきます。
まあ時代はどうなるかわかりませんし、どんな状況になるかわかりませんが、とりあえず彼と結ばれるようにいたします。
これはもう確約された事です。さすがに評議会も二度どころか三度も結ばれなかった魂を不憫に思っておりますので」
そんなことで同情されるぐらいなら、最初からきちんとしてほしかったのにと思わずにいられなかったが、あたしは話を続けた。
「ネコとしての生涯を閉じなくても、いまのアサミの記憶を持って転生することは可能ですか?」
「それは可能です。ただ、その場合は今地球のあるのとは違う宇宙、わかりやすくいえば違う世界から召喚してもらうことです。
実はこの宇宙は膜状の複雑な構成になっておりまして、あらゆる空間とは繋がっておりまして、わたしら管理している宇宙はいくつかありまして、そのうち・・・」
エンジェルさんの説明は一時間近く続いたが、死ぬ前は文系だった私にとってなんのことか判らない話題だった。まあ宇宙物理学が好きな理系女子だったら目をときめかせていたかもしれないけど。
「長い講義ありがとうございます。とりあえず、この世と同じ世界はいっぱいあるんですよね、そんな話だったんですよね」
「まあ、そんなところです。この地球も三千万世界のひとつフェアテクドに属していますが、他の世界なら召喚という手続きをとればいいです。
いくつか候補はあります。まず、ナヴァルの惑星ジヴァル。ここは高度な科学文明社会でして、とりあえずあなたは他の惑星からの難民ということにしましょう。
この場合は永川亜佐美様の肉体を再構成します。もっとも、その惑星の住民は機械化されるのが居住の条件ですが・・・・」
「そんなサイボークアニメみたいなのは嫌です! 他にありませんか?」
「次ですか、えーとねえデヴァルビラの惑星チャバル。ここは地球で言うところの中華世界風の社会です。
あなたは錬金術師によって生み出された新造生命体のひとつということです。まあ奴隷化される危険がありますので、とりあえず自力で脱出していただいて、革命勢力に合流してください。そうすれば建国の母として末代まで慕われるかもしれませんが・・・」
「それじゃあ、わたしは人造生命体か何かですか? そんなの嫌です。奴隷にも革命戦士にもなりたくありませんし、建国の母として崇められたくありません!!」
それから後も、エンジェルはトンチンカンと思えるぐらい変な救済案ばかり提案してきた。
中には惹かれるものもあったけど、この世界では平凡な女子大生だったのが英雄になったり海賊になったりしなければならないのよと、呆れてしまった。
しかし大事な事を思いだした。とにかくタクヤと一緒になりたかったことを! いくら他の世界に転生しても素敵な男性と出会えることまで保証されていなかったのだ。仮にアサミとしての記憶があったとしても、そこに愛しいタクヤはいないのは間違いなかった!
「エンジェルさん。私のわがままを聞いてくれませんか。さっきから色々提案していただいていますが、そこにいるタクヤのことを忘れていませんか?
来世で一緒になれるかもしれませんが、私は今のタクヤと一緒になりたいのですよ。今のアサミのままで! 多少姿形はかわってもいいですから、一緒に召喚していただけないでしょうか?」
ただ、定められているはずの運命が変わるのを防げなかったり、救済が必要となるぐらいまで放置するような方の案なので不安ではあったが。
「まず、もう一度永川亜佐美さんとしてやり直すのは不可能です。お亡くなりになってから年数がたっていますから」
「それもそうね、身体はバラバラになっていますし・・・関係ないかも知れないですが、最期の時に私の隣に座っていた美保子はどうなったんですか? 彼女は中学生からの友人だったのですが」
そう質問すると彼女はしばらく沈黙した後に語り始めた。
「美保子さんでしたら、あなたと一緒にお亡くなりになって、今はドイツ人少女として生活しているそうです。まあ、次の次ぐらいに生まれ変わったらお会いできるかもしれませんけど」
まあ、美保子は憧れのドイツに転生していると知って少しホットした。
「それもそうよね、日本人としてまた生まれ変われないの、あたし?」
「それは可能です。アサミ様は過去十回のうち日本人として四回転生していますから。でも、それにはいくつか超えないといけません。
まずネコとしての生涯を全うしなければいけません。ネコといった生物の場合、エンジェルは一切関与できないので、明日車に轢かれて死ぬかも知れませんし、どこかの親切な人に拾われ長生きするかもしれません。
また、そこのタクヤ様のネコとして生きていくのもよいでしょう。そうそうタクヤ様も救済しないといけないので、その場合なんかの職業と住居を得られるように采配いたします。
まあ、ネコとして生きている間は前世がアサミ様だったことは忘れていただきますが」
そういったが、あたしはそれは嫌だった。むかし、ネコを飼っていた事があって、今度生まれ変わったらネコがいいなあと思ったことがあったけど、今の境遇を思うとどうしようもないと思った。
それに折角人間のアサミの記憶が戻ったのにまた忘れるなんて、もう一度死ぬのと一緒ではないかと感じていた。
「それって。もう一度死ぬのと一緒ですよね。仮にネコとして生涯を終えたらどうなりますか」
「そうですねえ、とりあえず天国に一度帰っていただいて、然るべき時期に亡くなったタクヤ様の魂と一緒に転生していただきます。
まあ時代はどうなるかわかりませんし、どんな状況になるかわかりませんが、とりあえず彼と結ばれるようにいたします。
これはもう確約された事です。さすがに評議会も二度どころか三度も結ばれなかった魂を不憫に思っておりますので」
そんなことで同情されるぐらいなら、最初からきちんとしてほしかったのにと思わずにいられなかったが、あたしは話を続けた。
「ネコとしての生涯を閉じなくても、いまのアサミの記憶を持って転生することは可能ですか?」
「それは可能です。ただ、その場合は今地球のあるのとは違う宇宙、わかりやすくいえば違う世界から召喚してもらうことです。
実はこの宇宙は膜状の複雑な構成になっておりまして、あらゆる空間とは繋がっておりまして、わたしら管理している宇宙はいくつかありまして、そのうち・・・」
エンジェルさんの説明は一時間近く続いたが、死ぬ前は文系だった私にとってなんのことか判らない話題だった。まあ宇宙物理学が好きな理系女子だったら目をときめかせていたかもしれないけど。
「長い講義ありがとうございます。とりあえず、この世と同じ世界はいっぱいあるんですよね、そんな話だったんですよね」
「まあ、そんなところです。この地球も三千万世界のひとつフェアテクドに属していますが、他の世界なら召喚という手続きをとればいいです。
いくつか候補はあります。まず、ナヴァルの惑星ジヴァル。ここは高度な科学文明社会でして、とりあえずあなたは他の惑星からの難民ということにしましょう。
この場合は永川亜佐美様の肉体を再構成します。もっとも、その惑星の住民は機械化されるのが居住の条件ですが・・・・」
「そんなサイボークアニメみたいなのは嫌です! 他にありませんか?」
「次ですか、えーとねえデヴァルビラの惑星チャバル。ここは地球で言うところの中華世界風の社会です。
あなたは錬金術師によって生み出された新造生命体のひとつということです。まあ奴隷化される危険がありますので、とりあえず自力で脱出していただいて、革命勢力に合流してください。そうすれば建国の母として末代まで慕われるかもしれませんが・・・」
「それじゃあ、わたしは人造生命体か何かですか? そんなの嫌です。奴隷にも革命戦士にもなりたくありませんし、建国の母として崇められたくありません!!」
それから後も、エンジェルはトンチンカンと思えるぐらい変な救済案ばかり提案してきた。
中には惹かれるものもあったけど、この世界では平凡な女子大生だったのが英雄になったり海賊になったりしなければならないのよと、呆れてしまった。
しかし大事な事を思いだした。とにかくタクヤと一緒になりたかったことを! いくら他の世界に転生しても素敵な男性と出会えることまで保証されていなかったのだ。仮にアサミとしての記憶があったとしても、そこに愛しいタクヤはいないのは間違いなかった!
「エンジェルさん。私のわがままを聞いてくれませんか。さっきから色々提案していただいていますが、そこにいるタクヤのことを忘れていませんか?
来世で一緒になれるかもしれませんが、私は今のタクヤと一緒になりたいのですよ。今のアサミのままで! 多少姿形はかわってもいいですから、一緒に召喚していただけないでしょうか?」
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