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第参章:この世界で二人生きていくためには
072.宿場
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要塞馬車が峠を上りきって少し下がった地点で、その日の移動も終了した。それまで三日間かけて来たが目的地まであと何日かかるのかを聞いたところ「五日」といわれた。この世界の一日は地球の二十六時間ぐらいらしく、タクヤもアサミも少しずつ生活リズムが狂っていたというか、なれるのに時間がかかっていた。この場合は時差ぼけというべきものなのだろうか。
「なんだって、生活のリズムが違うだと? まあ、そのうち慣れるだろう! なんだって、この世界の言葉をしゃべっているじゃないかよ! 知恵の実を食べただけでここまでマスターしているんだから、なかなか見込みあるよ二人とも」
そういって要塞馬車の老夫婦に褒められたが、いわれるとおりにいつの間にかこの世界の会話も読書も、何不自由なくこなしていることに気付いた。
要塞馬車が止まったのは、山道の途中の宿場町みたいなところだった。そこは宿屋や飲食店が街道沿いに立ち並んでいたが、変わった点といえば周囲が高い城壁のような石垣に囲まれているところだった。
「なあに、心配することは無い。この石垣は破局戦争直後の動乱時期に築かれたものじゃよ。いまでは、強い季節風から宿場町の家屋を守るぐらいにしか役に立っていないさ」
そうヴァリラディスは説明してくれたけど、この世界に来てからはじめて遭遇した多くの人々が生活する町であったので、いろいろと興味がわいていた。
この夜はヴァリラディスと一緒に出かけることになった。この外出がこの世界に来て老夫婦以外の人と会うはじめての機会だった。この時二人が目にしたのは様々な外観をした人々だった。それはまるでSF映画のワンシーンのようだったが、町の雰囲気は日本の明治時代ぐらいの感じだった。
電気による照明が街路を照らし、飲食店か酒場かはわからないけど、人々の楽しそうな声が陽気な音楽と一緒に広がっているのが聞こえていたけど、とても楽しそうだった。
「おじさん、これからどこにいくんだよ」
大きな籠を持たされたタクヤがそういったが、ヴァリラディスはここよここよといわんばかりの勢いで、ある一軒家へと入っていった。
一行が入った一軒家は石造りで屋根が瓦葺であったが、相当古い建物で所々補修したあとのあるボロ屋だった。その内部には埃のたまった品々が棚に数多く置かれていた。そこは様々なものを扱う古道具屋だった。
「なあに、これから本部のある南湖の都にいくんだから、少しは魔道士らしいものでも用意してあげたいと思ってさ。そうそう代金だけどこの龍狼獣の爪を売ってから当てるからさ」
そういってヴァリラディスはタクヤに持たせていた籠から使い古した籠から油紙で包んだものを差し出した。すると古道具屋の主人は鑑定するかのように見始めた。
その主人はヴァリラディスに負けないぐらいの老人で、顔中シワだらけで頭の髪も白髪が疎らに残っていて、皮膚もアバタだらけだった。どうも昔からのなじみらしく久しぶりに親しい友人にでも話しているようであった。
「なんだって、生活のリズムが違うだと? まあ、そのうち慣れるだろう! なんだって、この世界の言葉をしゃべっているじゃないかよ! 知恵の実を食べただけでここまでマスターしているんだから、なかなか見込みあるよ二人とも」
そういって要塞馬車の老夫婦に褒められたが、いわれるとおりにいつの間にかこの世界の会話も読書も、何不自由なくこなしていることに気付いた。
要塞馬車が止まったのは、山道の途中の宿場町みたいなところだった。そこは宿屋や飲食店が街道沿いに立ち並んでいたが、変わった点といえば周囲が高い城壁のような石垣に囲まれているところだった。
「なあに、心配することは無い。この石垣は破局戦争直後の動乱時期に築かれたものじゃよ。いまでは、強い季節風から宿場町の家屋を守るぐらいにしか役に立っていないさ」
そうヴァリラディスは説明してくれたけど、この世界に来てからはじめて遭遇した多くの人々が生活する町であったので、いろいろと興味がわいていた。
この夜はヴァリラディスと一緒に出かけることになった。この外出がこの世界に来て老夫婦以外の人と会うはじめての機会だった。この時二人が目にしたのは様々な外観をした人々だった。それはまるでSF映画のワンシーンのようだったが、町の雰囲気は日本の明治時代ぐらいの感じだった。
電気による照明が街路を照らし、飲食店か酒場かはわからないけど、人々の楽しそうな声が陽気な音楽と一緒に広がっているのが聞こえていたけど、とても楽しそうだった。
「おじさん、これからどこにいくんだよ」
大きな籠を持たされたタクヤがそういったが、ヴァリラディスはここよここよといわんばかりの勢いで、ある一軒家へと入っていった。
一行が入った一軒家は石造りで屋根が瓦葺であったが、相当古い建物で所々補修したあとのあるボロ屋だった。その内部には埃のたまった品々が棚に数多く置かれていた。そこは様々なものを扱う古道具屋だった。
「なあに、これから本部のある南湖の都にいくんだから、少しは魔道士らしいものでも用意してあげたいと思ってさ。そうそう代金だけどこの龍狼獣の爪を売ってから当てるからさ」
そういってヴァリラディスはタクヤに持たせていた籠から使い古した籠から油紙で包んだものを差し出した。すると古道具屋の主人は鑑定するかのように見始めた。
その主人はヴァリラディスに負けないぐらいの老人で、顔中シワだらけで頭の髪も白髪が疎らに残っていて、皮膚もアバタだらけだった。どうも昔からのなじみらしく久しぶりに親しい友人にでも話しているようであった。
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