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(3)機ぐるみ着せられた!

マリアの鋳型

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 わたしの腰はメタルインナーショーツに覆われてしまった。その部分だけがロボットのようになってしまった。ついで胸の部分も覆われる作業が行われた。そのときバストアップするために吸引されて、なんだか気持ちよくなってしまった。

 「あーら、47ちゃんたら気持ちよくなったのね。そこはセックスアピールポイントなんだからきれいな胸の形に”加工”してあげるわよ」

 マリアンは相変わらず無表情でそういったが、目の前にいるマリアンも助手をしている看護師ロボも全て人間”だったはず”なんだろうけど、もう機械そのものにしか見えなかった。

 「ふ、ふざけないでよ! さっきからわたしを47なんて数字で呼ばないでよ! わたしには波瀬瑠璃花という名前があるというのに!」

 わたしは怒鳴ったが、そんな事には動じるはずもない人いや機械人形たちだから無駄であった。

 「その名前はもうこの世には存在しなくなるのよ47ちゃん。これからあなたの全身は機械細胞に置き換えるために、機械皮下組織に覆われるのよ。そうなればもうロボットそのものの姿になるから、誰もあなたを人間だとは思えなくなるわよ」

 「ふ、ふざけないでよ! わたしは人間よ! ブリキの人形になんかになりたくないわよ!」

 わたしは大粒の涙を流し始めた。するとマリアンは近づいてきて私の顎をグイッと持ち上げた。

 「あなた、結構かわいい顔をしているわね。アイドル機械娘ユニットの70番台に改造してもよかったぐらいの素材だったんだ! 残念だけどこれからあなたは汎用タイプにするけどね」

 マリアンは訳の分からないことを言ったが、その意味がわかったのはしばらく後の事だった。それにしても汎用タイプとはなんだろうか?

 そんな事をおもっていたら、わたしの全身を取り囲むように鋳型のようなものが降ろされてきた。それまでは立たされた姿勢だったけど、拘束具をつけたままで、その鋳型は人の形をしていて、まるでケーキかクッキーの生地をいれるかのようにその中に寝かされた。

 「はーい、47ちゃん。これからあなたを機械皮下組織に覆ってあげるわよ。ちょっと我慢してちょうだいね、もうすぐよ。そうそう機械皮下組織はねえゴムみたいなものだからねえ、結構いい感触なのよ。生まれ変わるのよ機械生命体に!」

 マリアンはウキウキしたような声色であったけど、わたしからすれば不安と怒りの感情でしか受け取れなかった。うら若き女の子をあんなブリキ女と同類になるだなんて! でも、もう後戻りできないのだけは間違いなかった。
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