ふたりはサードライフはじめました！

早苗メイクアップ作戦！

07・ドライブ

　アンズは対処をどうすればいいのかを携帯電話で上司に問い合わせたが、老夫婦が若くなったなんて信じてもらえなかった。そのため、とりあえず「なごみの里」に来るようにと言われた。でも、他の利用者のショックがあるというので、別便で行くように言われた。

　藤村家には農作業などのために使う軽トラックがあったので、そちらのほうで行く事にした。運転免許は二人とも持っていたが、早苗は身体が不自由になったので事実上のペーパードライバー、隆治は運転に自信のないのでほとんど乗らないという状態だった。ようは心配しかなかったが、しかたなかった。ワゴンに健常者が余分に乗り込むスペースなどなかったから。

　購入してから二十年以上も経過した軽トラックのエンジンは鈍い音を奏でていた。車検は通っているとはいえ、相当ガタがきていた。ハンドルを握るのは隆治だった。

　「あんまり無理なさらなくてもいいですわ」

　早苗は心配そうにいった。

　「そういえば、早苗さんと二人でドライブするなんて初めてだったな」

　隆治は氷の上を歩くようにゆっくりと運転し始めた。そのとき、身体の動きが違う事にようやく気付いた。どうやら、外見だけでなく体力も若返っているようであった。