ふたりはサードライフはじめました！

早苗メイクアップ作戦！

09・二人の出会い

　隆治が早苗と会ったのは去年の夏の事だ。若い時の職場の同僚で今は様々な企業などを経営している「なごみの里」のオーナーの大山与兵衛よへいに紹介されたのがきっかけだった。それもこれも、アパートを追い出されることになって新しいアパートを借りようにも身寄りもない一人暮らしの男に貸してくれなかった。どうも、金もないし孤独死されることを警戒していたようだ。それで大山に相談したわけだ。

　「ワシは孤独死するかもしれんがのう、どうすればいいんか？」

　与兵衛に相談すると、こんなことを聞かれた。

　「お前、結婚したことないんだろ？　それなら一度結婚したらどうか？　ちょうど、結婚したがっているうちのデイサービスを利用している女がいるんだが、もし結婚すれば一度に問題が解決するぞ！　家はあるし、お前にアルバイトを紹介してもいいし。まあ介護は必要だが、お前持っているんだろ？　介護ヘルパー二級の資格を？」


　その資格は昔、失業給付を受けていた時に取ったものであったが、福祉の職に就かなかったので事実上ペーパー状態であった。

　「それでいいが、条件はなんだ？」

　「条件は、婿養子として女の籍にはいること、一緒に暮らす事。それぐらいだな。一緒に暮らせばいろいろ節約できるしな」

　そんな風に与兵衛の口車にのってしまったのが、早苗との出会うきっかけだった。それで会ったわけだが、なんとなく二人の話があうのだ。それで一緒になったわけだが、友人同士がルームシェアでもしている感覚だった、昨日までは。

　「そうだよなあ、夫婦て夜になったらアレをするもんだよな、そう思っていたけど。早苗さんは？」

　隆治はそう話していると忘れていた体がムラムラする感覚があることに気付いた。でも、まだ制御は可能であった。

　「そうよねえ、両親もそういっていたわね。妹たちに結婚初夜には契りをするもんだってね。結局、長女のあたしは行かず後家なんて言われてしまったしね。家に縛っておきながらなんてこと言うんだよって、怒った事もあったわね。ところで淳司さんは？　あなたって結婚したことないといっていたけどどうなの？　言いにくかったら言わなくても良いわよ」

　そう話す早苗は内容は婚期の逃した女の昔話なのに、その姿は淳司もドキッとするような妖艶な若い娘であった。

　「はっきりいってもいいかな？　実はわしは経験はないんだよ。若い時になごみの里の理事長の大山さんに誘われて水商売に行った事はあるのだけど、身体の関係なんてしたことないんだ。だから、わしは・・・いわなくても分かるよね早苗さん？」

　そう言われた早苗は淳司の顔を見入っていた。

　「そうなのですか？　若い時の写真を見てモテただろうにと思っていたのですよ。だから、聞かなかったのに？　気を悪くしたら申し訳ないですが、どうしてなの？」

　すると淳司はひと事だけこういった。

　「中年になるまで貧乏暇なしで忙しかったし、それに女が怖かったんだよ！」

　早苗はそれは意外！　という驚きの表情をしていた。