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season5
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~バレンタインデー当日~
毎年のことながらあの季節がやってきた。
「チョコボール3つ」「チロルチョコ」など分かりやすい程の『義理』であるならばどれ程良かったことか。
手の込み方がおかしい、おかしすぎる。
「悪意」でやってるとしか思えないくらい、賞味期限切れのチョコレートを使ったり業者向けのカレールーを使ったり子宝飴を模したチョコレート(めちゃくちゃ固かったけど)をもらったけど。
昨年はやり返したら包丁で壁に穴を開けられたし。
バレンタインデーで死ぬとか、俺ヤダよ!?
でも今年はそんな心配はない。
何故なら・・・。
「お待たせしました~、ブレンドコーヒーになります。
ご注文は以上でしょうか?」
「あぁ、ありがとうございます。」
そう、家ではなく喫茶店に来ているのだ。
ここにいれば、チョコレートトラップに苦しめられることなく、安心して過ごすことが出来る。
まさに完璧!
何故去年からそうしなかったのか、いや、思い付かなかったのか。
今さらだから考えないようにしよう。
会社の先輩と仕事帰りに連れてもらってからというもの、時間を見つけては来るようになったこの喫茶店。
ひっそりとした外見なのに、コーヒーや紅茶は美味しいし、一緒に注文して食べるケーキもまた格別。
「甘いものは別腹」とはよく言ったものだと考えたくらいだ。
「おや?今日は1人かい?」
「あ、店長~、今日は1人ですよ。」
「見たらそりゃ分かるよ。でも相方がいないのを見るとついね、声かけちゃってね。」
「そんなことより店長、暇なんですか?」
「暇じゃないよ、バレンタインデーだからお客がこれから多くなるんだよ。
誰が考えたんだろうね、バレンタインデーなんて。」
「確かに。」
ここの喫茶店の店長、会社の先輩と仲が良いのか、私にも気さくに話しかけてくれる。
そういう『常連さん』感が好きで来てるのも実は理由の1つだったりする。
「そうそう、いつも来てる君にハイ。」
用事を思い出したとばかりに俺のテーブルにケーキを置いてくれる。
「店長?頼んでませんよ、チョコレートケーキなんて。」
「今日はバレンタインデーだし、いつも来てる君に心ばかりの気持ちだよ。」
「あぁ、そういうことですね。
ありがとうございます。」
「いいよいいよ、気にしなくて。
どうせチョコレートなんてもらわないでしょ?」
「店長、それは失礼でしょ~。」
「え!?くれる人いたりするの?」
「い、いや。自分で買うから良いかな~、って。」
「ハハ、寂しいね~。
ではごゆっくり~。」
笑いながら店長は厨房に去っていく。
さて、お店のサービスということで戴いたチョコレートケーキ、食べるとしましょうか。
コーヒーと一緒に戴くチョコレートケーキというのは、ケーキの甘さとコーヒーの苦さを丁度良い感じにしてくれる魔法の組み合わせだと思う。
1口、2口と食べ進めながら段々と意識がぼんやりしてくる。
あれ、そんなに疲れてたっけな・・・。
目の前がぼんや・・り・・す・・・・。
「・・・て、・・きて、起きろっ!」
「あぁ、って痛っ!!」
気がついたら何時もの自分の部屋、今年も何処から現れたのか彼女がいた。
「あんた、何時まで寝るつもりだったの?
何処かに連れていってくれると待ってたのに。」
「え?そんな約束した?」
「したじゃない、メールも送ったし。」
彼女はそんなことを言うがメールなんて見ていない、ここ最近来たメールなんて・・・、ってまさか。
「そのメールって英語だったりする?」
「当たり前じゃない、何言ってるの?」
「そんなメールじゃ、全部迷惑メールで開かずに捨ててるわっ!」
「大切な彼女からのメール、読まずに捨ててたの!?
本当に最低。」
罵倒しながらゴミを見るような目で俺を見てくる。
「まぁ、見てないことは想定してたので、『優しい』私は許してあげるけどね?」
「どう考えてもお前がおかしいだろ~。」
「そこは『ありがとう』でしょ?
ハイ、バレンタインデーのケーキ。」
お礼を言う筋合いは無いけど、彼女はケーキの包みを渡してきた。
「『私が作った』って言ったら、絶対食べないでしょ?
だから駅前のケーキ屋さんで買ってきたものを食べましょ?」
「毎年ネタをしなけりゃ食べてるよ。」
呆れつつも皿とフォークを取りに台所に行く。
「で、何のケーキ買ったの?」
「そりゃもちろんチョコレートケーキを2つだよ。」
「正夢か。」
「何か言った?」
「いや、何も。」
手際よく皿にケーキを載せ、俺の分と彼女の前に置く。
「じゃあ、素直に戴くわ。
いただきます。」
「いただきま~す、うーん。
やっぱり美味しいね、あそこのケーキ
屋さん!」
「あぁ確かに上手いな、ケーキ屋で買うのもまた良いな~。」
もくもくと舌鼓をうち、ケーキを楽しむ。
あれ、なんだか眠くなってきたな。
そんなに疲れてたっけな・・・。
彼女の前だ・・し。
「本当、無限ループネタは楽しいわ。」
眠ってしまった彼を見ながら私は買ってきたケーキを楽しむのだった。
毎年のことながらあの季節がやってきた。
「チョコボール3つ」「チロルチョコ」など分かりやすい程の『義理』であるならばどれ程良かったことか。
手の込み方がおかしい、おかしすぎる。
「悪意」でやってるとしか思えないくらい、賞味期限切れのチョコレートを使ったり業者向けのカレールーを使ったり子宝飴を模したチョコレート(めちゃくちゃ固かったけど)をもらったけど。
昨年はやり返したら包丁で壁に穴を開けられたし。
バレンタインデーで死ぬとか、俺ヤダよ!?
でも今年はそんな心配はない。
何故なら・・・。
「お待たせしました~、ブレンドコーヒーになります。
ご注文は以上でしょうか?」
「あぁ、ありがとうございます。」
そう、家ではなく喫茶店に来ているのだ。
ここにいれば、チョコレートトラップに苦しめられることなく、安心して過ごすことが出来る。
まさに完璧!
何故去年からそうしなかったのか、いや、思い付かなかったのか。
今さらだから考えないようにしよう。
会社の先輩と仕事帰りに連れてもらってからというもの、時間を見つけては来るようになったこの喫茶店。
ひっそりとした外見なのに、コーヒーや紅茶は美味しいし、一緒に注文して食べるケーキもまた格別。
「甘いものは別腹」とはよく言ったものだと考えたくらいだ。
「おや?今日は1人かい?」
「あ、店長~、今日は1人ですよ。」
「見たらそりゃ分かるよ。でも相方がいないのを見るとついね、声かけちゃってね。」
「そんなことより店長、暇なんですか?」
「暇じゃないよ、バレンタインデーだからお客がこれから多くなるんだよ。
誰が考えたんだろうね、バレンタインデーなんて。」
「確かに。」
ここの喫茶店の店長、会社の先輩と仲が良いのか、私にも気さくに話しかけてくれる。
そういう『常連さん』感が好きで来てるのも実は理由の1つだったりする。
「そうそう、いつも来てる君にハイ。」
用事を思い出したとばかりに俺のテーブルにケーキを置いてくれる。
「店長?頼んでませんよ、チョコレートケーキなんて。」
「今日はバレンタインデーだし、いつも来てる君に心ばかりの気持ちだよ。」
「あぁ、そういうことですね。
ありがとうございます。」
「いいよいいよ、気にしなくて。
どうせチョコレートなんてもらわないでしょ?」
「店長、それは失礼でしょ~。」
「え!?くれる人いたりするの?」
「い、いや。自分で買うから良いかな~、って。」
「ハハ、寂しいね~。
ではごゆっくり~。」
笑いながら店長は厨房に去っていく。
さて、お店のサービスということで戴いたチョコレートケーキ、食べるとしましょうか。
コーヒーと一緒に戴くチョコレートケーキというのは、ケーキの甘さとコーヒーの苦さを丁度良い感じにしてくれる魔法の組み合わせだと思う。
1口、2口と食べ進めながら段々と意識がぼんやりしてくる。
あれ、そんなに疲れてたっけな・・・。
目の前がぼんや・・り・・す・・・・。
「・・・て、・・きて、起きろっ!」
「あぁ、って痛っ!!」
気がついたら何時もの自分の部屋、今年も何処から現れたのか彼女がいた。
「あんた、何時まで寝るつもりだったの?
何処かに連れていってくれると待ってたのに。」
「え?そんな約束した?」
「したじゃない、メールも送ったし。」
彼女はそんなことを言うがメールなんて見ていない、ここ最近来たメールなんて・・・、ってまさか。
「そのメールって英語だったりする?」
「当たり前じゃない、何言ってるの?」
「そんなメールじゃ、全部迷惑メールで開かずに捨ててるわっ!」
「大切な彼女からのメール、読まずに捨ててたの!?
本当に最低。」
罵倒しながらゴミを見るような目で俺を見てくる。
「まぁ、見てないことは想定してたので、『優しい』私は許してあげるけどね?」
「どう考えてもお前がおかしいだろ~。」
「そこは『ありがとう』でしょ?
ハイ、バレンタインデーのケーキ。」
お礼を言う筋合いは無いけど、彼女はケーキの包みを渡してきた。
「『私が作った』って言ったら、絶対食べないでしょ?
だから駅前のケーキ屋さんで買ってきたものを食べましょ?」
「毎年ネタをしなけりゃ食べてるよ。」
呆れつつも皿とフォークを取りに台所に行く。
「で、何のケーキ買ったの?」
「そりゃもちろんチョコレートケーキを2つだよ。」
「正夢か。」
「何か言った?」
「いや、何も。」
手際よく皿にケーキを載せ、俺の分と彼女の前に置く。
「じゃあ、素直に戴くわ。
いただきます。」
「いただきま~す、うーん。
やっぱり美味しいね、あそこのケーキ
屋さん!」
「あぁ確かに上手いな、ケーキ屋で買うのもまた良いな~。」
もくもくと舌鼓をうち、ケーキを楽しむ。
あれ、なんだか眠くなってきたな。
そんなに疲れてたっけな・・・。
彼女の前だ・・し。
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眠ってしまった彼を見ながら私は買ってきたケーキを楽しむのだった。
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