50 / 50
50
しおりを挟む
さて、ここからはちょっとした後日談になる。
山で助けた人の護衛依頼だ。
まぁ、護衛依頼は建前で、あの人はあたし達へお礼をしたかったようだ。
ちょっと変だなぁとは思った。
正装をして迎えを寄越すから家で待ってろと言われ、タマ達は残念だが連れて行けないと言われていたからだ。
そうして、連れてこられたのは県外、それもこの国の中心部たる王都。
テレビでしか見たことの無い、とあるビルの中にある高級レストランだった。
学生の正装は制服なので、半袖セーラー服姿だが学生というだけで場違い感は十分だ。
「この度は娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」
「あ。いえ」
女性のお父さんだという、ロマンスグレーなおじ様が深々とあたし達へ頭を下げてきた。
「しかし、まさかジーン様ともお知り合いだとは思いませんなんだ。
縁とは繋がっているものですね」
「え、えぇ、こちらも驚きました。ね、ココロ?」
「うん、驚いた」
おじ様の言葉に相槌を打っていると、女性が、クスクスと楽しそうに会話に参加してきた。
「ええ、私も驚きました。
まさかジーン君、ジーン様とあんなに親しくできる人がいるなんて考えていませんでしたから。
彼、けっこう気難しいんですよ」
気難しい??
「そうなんですか?」
「えぇ、学院時代ですら彼とアドレスを交換できた人なんて片手で数えられる程度だったんですよ」
「へぇ」
しかし、結構気安いというか。
むしろ、図々しい感じがするんだが。
「ましてや、それが十歳も年下の女の子が相手だから、不敬だとは思うけれどね、そういう目で見てしまって」
そういう目ってどういう目だ。
「学院時代の友人だからって、お前は本当に失礼なやつだな」
ロマンスグレーのおじ様が、苦笑しつつ窘める。
「でも、ね?
ほら、そっちの子の時はいつもの反応だったのに、アナタの時はなんて言うか、彼、もっとずっと人間らしかったから」
女性の言葉になっちゃんが、
「むしろ、無視してる感じでしたね。
お仕事なんだろうなぁって思って、こっちも知らん顔してましたけど」
なんて補足してくる。
それを聞いて、女性が満足そうに微笑んだ。
「……話を統合すると、ジーンさんって、芋娘好きのロリコンってことですか?」
「かもしれないわねぇ。
でも、卑下はいけないわ。ココロさんは十分可愛いし。
十年後はすれ違う人たちが皆振り返る美人さんになることでしょう」
妙な同意されてしまった。
しかし、エルフのマリーや吸血鬼のエリーゼならともかく、あたしみたいな平々凡々より下の容姿を見て美人さんとか。
お世辞にしては言い過ぎだ。
しかし、そういう目って、そういうことか。
なんだそれ、キモイな。
いや、ちょっと待てよ?
「あはは、ありがとうございます。
ただ、ジーンさんって、格闘技とかそういうの好きなんじゃないんですか?」
あたしは思い当たる節があって訊ねてみた。
格闘技じゃなくても、ストリートファイト的なものが好きなのかもしれない。
それも女の子同士の。
「いえ、そんな話は聞いたことないわ」
ということは、ニッチな趣味だから隠してるなあのイケメン。
まぁ、いっか。
確かめる気力もないし。
そこから先は雑談しつつ、お礼として普段なら食べられないご飯を奢ってもらい、終わった。
とりあえず、こんなところで一旦筆を置くとしよう。
これは、あたしの人生が変わったあの頃のハジマリの記憶だ。
黒歴史後悔ノートでもある。
でも、大事な、大切な思い出だから。
いつか、また、あたしに至るまでのそれからの記憶を書き綴ろうと思う。
あ、そうだ。
最後に、これだけは書いておこう。
動画企画の一件があって、リリアさんとエリスちゃんはテイマーを辞めたらしい。
もう表に出てくることは無かった。
今どこでどうしているかは知らないが、元気かな。
山で助けた人の護衛依頼だ。
まぁ、護衛依頼は建前で、あの人はあたし達へお礼をしたかったようだ。
ちょっと変だなぁとは思った。
正装をして迎えを寄越すから家で待ってろと言われ、タマ達は残念だが連れて行けないと言われていたからだ。
そうして、連れてこられたのは県外、それもこの国の中心部たる王都。
テレビでしか見たことの無い、とあるビルの中にある高級レストランだった。
学生の正装は制服なので、半袖セーラー服姿だが学生というだけで場違い感は十分だ。
「この度は娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」
「あ。いえ」
女性のお父さんだという、ロマンスグレーなおじ様が深々とあたし達へ頭を下げてきた。
「しかし、まさかジーン様ともお知り合いだとは思いませんなんだ。
縁とは繋がっているものですね」
「え、えぇ、こちらも驚きました。ね、ココロ?」
「うん、驚いた」
おじ様の言葉に相槌を打っていると、女性が、クスクスと楽しそうに会話に参加してきた。
「ええ、私も驚きました。
まさかジーン君、ジーン様とあんなに親しくできる人がいるなんて考えていませんでしたから。
彼、けっこう気難しいんですよ」
気難しい??
「そうなんですか?」
「えぇ、学院時代ですら彼とアドレスを交換できた人なんて片手で数えられる程度だったんですよ」
「へぇ」
しかし、結構気安いというか。
むしろ、図々しい感じがするんだが。
「ましてや、それが十歳も年下の女の子が相手だから、不敬だとは思うけれどね、そういう目で見てしまって」
そういう目ってどういう目だ。
「学院時代の友人だからって、お前は本当に失礼なやつだな」
ロマンスグレーのおじ様が、苦笑しつつ窘める。
「でも、ね?
ほら、そっちの子の時はいつもの反応だったのに、アナタの時はなんて言うか、彼、もっとずっと人間らしかったから」
女性の言葉になっちゃんが、
「むしろ、無視してる感じでしたね。
お仕事なんだろうなぁって思って、こっちも知らん顔してましたけど」
なんて補足してくる。
それを聞いて、女性が満足そうに微笑んだ。
「……話を統合すると、ジーンさんって、芋娘好きのロリコンってことですか?」
「かもしれないわねぇ。
でも、卑下はいけないわ。ココロさんは十分可愛いし。
十年後はすれ違う人たちが皆振り返る美人さんになることでしょう」
妙な同意されてしまった。
しかし、エルフのマリーや吸血鬼のエリーゼならともかく、あたしみたいな平々凡々より下の容姿を見て美人さんとか。
お世辞にしては言い過ぎだ。
しかし、そういう目って、そういうことか。
なんだそれ、キモイな。
いや、ちょっと待てよ?
「あはは、ありがとうございます。
ただ、ジーンさんって、格闘技とかそういうの好きなんじゃないんですか?」
あたしは思い当たる節があって訊ねてみた。
格闘技じゃなくても、ストリートファイト的なものが好きなのかもしれない。
それも女の子同士の。
「いえ、そんな話は聞いたことないわ」
ということは、ニッチな趣味だから隠してるなあのイケメン。
まぁ、いっか。
確かめる気力もないし。
そこから先は雑談しつつ、お礼として普段なら食べられないご飯を奢ってもらい、終わった。
とりあえず、こんなところで一旦筆を置くとしよう。
これは、あたしの人生が変わったあの頃のハジマリの記憶だ。
黒歴史後悔ノートでもある。
でも、大事な、大切な思い出だから。
いつか、また、あたしに至るまでのそれからの記憶を書き綴ろうと思う。
あ、そうだ。
最後に、これだけは書いておこう。
動画企画の一件があって、リリアさんとエリスちゃんはテイマーを辞めたらしい。
もう表に出てくることは無かった。
今どこでどうしているかは知らないが、元気かな。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件
やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです
珂里
ファンタジー
ある日、5歳の彩菜は突然神隠しに遭い異世界へ迷い込んでしまう。
そんな迷子の彩菜を助けてくれたのは王国の騎士団長だった。元の世界に帰れない彩菜を、子供のいない団長夫婦は自分の娘として育ててくれることに……。
日本のお父さんお母さん、会えなくて寂しいけれど、彩菜は優しい大人の人達に助けられて毎日元気に暮らしてます!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
10話の誤字報告
タマの入った加護を持ち上げて
↓
タマの入った籠を持ち上げて
ありがとうございます。
こちらも修正しました。
4話の誤字報告( ̄▽ ̄;)
あたしは今で猫の玩具
↓
あたしは居間で猫の玩具
ありがとうございます。修正しました。
初めまして( ̄▽ ̄;)さっそく誤字報告
1の誤字報告(* ̄∇ ̄)ノ
貼り付けられいた里親募集
↓
貼り付けられた里親募集
報告ありがとうございます!
訂正しました!