聖獣キアルラ、本日も主が規格外です

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アリー(アリセルネ)、いつもの日々のこと

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朝は、静か。

カーテンを少しだけ開けると、朝日が差し込む。
今日は、晴れ。
それだけで、少し、良い日だと思った。

猫は、今日も、近くにいる。
毛並みは、前より、柔らかい。
 
最初に拾った時は、固くて、冷たくて、
……とても、軽かった。
怪我をしていた。
だから、手当てをした。

当たり前のこと。

――そう思っていた。

でも、猫は、時々、変な顔をする。
撫でると、固まる。

離すと、ほっとしたような、怖がっているような。
よく、分からない。

でも。

触れていると、私は、落ち着く。

猫の中の、ザワザワしたものが、静かになる。
それが、心地いい。

乳母は、いつも、見ている。
何も、言わないけれど、視線は、とても、鋭い。

私が、猫を撫でている時。
手を、誰かに触れられる時。
何かを、「しすぎた」時。

乳母は、必ず、そこに来る。
怒らない。
でも、止める。
理由は、聞かない。
聞きたくても、たぶん、うまく、言葉にできないから。



庭を歩くのは、 好き。

今日は、元気のない木があった。
少し、悲しそう。

だから。
触った。
元気に、なってほしかった。
それだけ。

でも。

急に、乳母が、来た。
手を、引かれた。
強く。
少し、びっくりした。

「……だめ?」

そう聞いたら、乳母は、笑った。
優しく。
でも、どこか、少し怖い顔。

「外では、だめです」

理由は、聞かなかった。
たぶん、聞かなくて、いいこと。



夜。

猫は、そばに来た。
いつもより、静か。

私は、撫でた。
無意識。
指先が、勝手に、動く。

すると、猫の呼吸が、整う。
私の、胸の、奥の、ざらついたものが、消える。
それが、分かる。

だから、続けた。

猫は、時々、こちらを見る。
何か、言いたそう。
でも、言わない。

それで、いい。



最近。
屋敷が、少し、忙しい。
人の動きが、変わった。
乳母と、その夫が、小声で話す時間が、増えた。

私は、聞かない。
聞こえても、聞かない。

だって。
ここにいて、守られていることは、分かるから。



猫は、よく、難しい顔をする。
私を見る時。
心配している、みたい。

でも。

私は、大丈夫。
ここは、静か。
手を伸ばせば、触れられる。
撫でれば、落ち着く。

それで、十分。

もし、外が、騒がしくなっても。
ここだけは、守りたい。

だから。

今日も、静かに、撫でる。
猫の、あたたかい背を。
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