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本編
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「実はあなた達のパーティーに入れてほしいのは、ひと月後にギルド対抗戦って理由でもあるのよ」
「待て待て待て、その流れでいくとパーティー参加的な感じか?」
「流石ダーリン!察しが良いわね。去年は私ソロで出たんだけど、結構キツかったのよね。だから、個人戦は勝ち残ったんだけど、パーティー対抗戦には全然で、1800組中20位だったわ。今年からパティー戦は最低参加人数決められるし。」
「いや!充分すげーけど!?」
「一位を穫らないと意味がないわ!それに、今年は何故か前回よりゴールドの冒険者が多くて、5人も増えたのよね~5人とも名前も知らなかったんだけど」
「まさか、個人戦にも俺達出るの!?」
「ええ、その方があなた達のためにもなるでしょ?」
「どうして?」
「それは、優勝すれば知名度があがって指名依頼とかが来るからよ」
「へーなる程優勝すれば知名度があがって、他の冒険者よりも信頼も上がる訳だ」
「今回のパーティー戦は最低出場者は七人、大会が定めるルールで行うこと」
「ぴったり」
「個人戦に関してはギルドに加入してる者であればだれでもOK、武器でも魔法でもなんでもありよ、相手が気絶や失神や降参を認めたら勝ちただし殺しら反則負け」
「結構ハード何だな」
「良くマリアさんは勝ち抜けましたね。」
「まあ、去年は私の以外のゴールドはひとりしか出てないからね」
「今年から5人増えたとしてもあと4人いたハズ、何故でなかった」
「さあね、結構危ない大会だったし出たくなかったのかも、こちらとしても後の2人はいなくて良かったと思ったわ。」
「どうして?」
「強いからよ。その2人は、かなりヤバい奴らなのよ。私の今のランキングは9人中8位、出なかった奴のひとりは去年も今年も一位を保持し続けてるわ」
「マリアが八位!?」
「そうよ、だから今年はやばいのよ、順位はステータスを測った瞬間から分かっていて、一ヶ月に一度のペースで更新されるわ」
「ホントだ気付かなかったけど順位がある。」
「え゛俺、12609人中12609位だ...」
「底辺ここにいた!」
「五歳児と同じステータスじゃしょうがないでしょ」
「はあーマジかー」
「まあ、ダーリンならなろうと思えばゴールドになれるんだし!カッパーの順位なんて気にしない気にしない!」
「まだ上にシルバーとゴールドのランキングがあるの!?」
「そうよ、カッパーから昇格したら今度はシルバーの下から、っていう風にね」
「まあ、仕方ないって、それより明日からギルド対抗戦の修行もしなくちゃな」
「そうだな、とりあえず今日はどこかの宿をとって...」
「対抗戦に出てくれるの!?」
「当たり前だろ、俺達もうパーティーなんだし」
「ありがとう!ダーリン!今日は家に泊まっていって~」
「やめろ!くっつくな!泊まらねえ!」
結局この日は近くの宿屋に泊まった。
◆◇◆
翌日になると宿屋の前にマリアが立っていた。
「おはよー!ダーリン!」
「はいはい、おはよー」
「あれ、元気ないですね」
「こいつ朝にはめっちゃ弱いんだ」
「ダーリンの弱点は朝ですか、死霊系モンスターみたいで可愛いです」
「お前の頭はお花畑か」
「咲き誇ってます!」
「はい、じゃあ行こうか~」
宿屋を出て歩き出すとどこからともなく朝食のパンの香りがした。腹減ったなと思いながら辺りを見回すと屋台がいくつか出ている事に気が付いた。しかし、既に朝食は宿屋でとっていた。
「今日は初仕事だけども、なんの依頼を受けるんだ?」
「うーん、あなた達だったらそうね、いきなりシルバークエスト行っちゃいましょうか」
「いきなりって大丈夫なんですか!?」
「確かに、ユージンはともかく、カッパーのネロにはキツいんじゃない?」
「大丈夫よ、今回はできるだけ複数の小型モンスターの討伐だから」
「なるほど、モンハンで言うところのジャギィ狩りだな」
「まー、そんな感じかな、良く分からないけど同じ感覚だと思う。ただ時たまでとんでもないモンスターが出現する可能性もあるのよね」
「まあ、どちらにせよ気を引き締めて行けば問題なしってことか」
「そういうことよ」
ギルドに着いて依頼のボードを確認する。
「なあ、そういえば俺とネロはカッパーなのにシルバーのクエストに同行していいの?」
「ゴールドがひとり付いていれば何の問題もないわよ」
「そういえば、マリアの職種は?」
「戦士よ」
決めた依頼書を受付まで持って行く。
「このクエストを受注するわ」
◆◇◆
ユージン達は依頼のあった草原に来ていた。依頼内容は小柄なモンスター達が畑を襲ったり家畜を襲ったりして困っている、という内容だった。
「なんとも分かりやすい...」
「なにか言った?」
「いや、なんでも」
「あれじゃないか?」
見ると四足で歩行している亀とドラゴンを混ぜたようなモンスターがいた。
「ガメラ?」
「動きは鈍いけど」
「よし、あたしの弓で」
「あっ!まって!」
矢は当たったが音を出して跳ね返った。
「えー!?利かないんだけど!!」
「あのモンスターの特徴は身体の硬さなのよ!ドラゴンの鱗に亀の甲羅のような武装をしていて、あのモンスターを使った盾は並大抵の攻撃じゃ通用しないの!」
モンスター達は先の攻撃でユージン達に気付いたようだった。身体を甲羅に入れて回転しながら突っ込んでくる。
「あ、こっちきた」
「ひぃぃーごめんなさ~い」
突っ込んでくるモンスターを天井が盾で弾き返す。
「ウォォオラ!」
すかさずマリアが攻撃を仕掛ける。
「ハァ!」
しかし、モンスターに刃は通らなかった。
「くっ!やっぱり硬いか!」
「俺に任せろ!宇宙のチリとなれ![ギャリック砲]!!」
赤い閃光がモンスターの身体を貫いた。
「凄っ...」
「ふん!汚ねぇ花火だ」
「ド派手過ぎるだろ!」
「大型モンスターが寄ってくる、控えめにしろ!」
「そんな事言ったってよ~アニメの技って大体派手だぜ」
「透様を見習って下さい!」
言われた通り透が戦っている姿を見た、無駄が全くない動きで確実にダメージを与えている。
「無駄のない動きで、速さと攻撃の重みを増す、プラス広範囲ではなく、長時間もつ技か...まあ、あるっちゃあるんだがな」
「なにをブツブツ言ってんだ?」
「いや、別になんでも(そうか、仲間の使う技とかも俺の想像しだいでマネできるんだよな~まてよ、そうなると...もしかして...)」
「なにボーッとしてんだ!」
『油断は大敵だぞユージン』
「わかってるよ!バハムートにまで言われちまった...」
◆◇◆
戦闘は10分程で終わった。
「まさか、こんなに早く終わるなんて」
「やったな!ミッション達成だ。早く村に戻ろう、もう疲れた」
来た道を戻ろうとした時だった、
「ユージン様!助けて下さい~」
「はえ?」
ネロがこちらに全速力で走ってきた、ネロの後にはダンゴムシのような生き物がこちらに向かってくる。
「あぁ!オームの群れだ!」
「ちげーよ!バカ!ナ○シカか!」
「とにかく逃げろ!なんかマズいぞ!」
「あれは、プラムス?!普通なら大人しいのに!なんで!?」
「それはあの女に原因がある!」
「なにをしたの!?ネロ!」
「間違えて足みたいな触覚みたいな良く分からないなにかを踏んでしまいました!」
プラムスと呼ばれるダンゴムシ型の甲虫モンスターは意外に速かった。
「このままだと追いつかれる!」
「━━━フライ!」
菅野は先程から黙っているかと思ったが詠唱を唱えていた。詠唱を唱えて終えるとユージン達の身体は宙に浮き始めた。
「飛んでる!」
「この速さなら追いつかれない!」
「すげーぞすが!」
しかし、あろう事か後ろからついて来たネロだけが浮かないのだ。
「すが様ひどい!」
「範囲魔法だから離れすぎてると発動しない。」
「自業自得だ!お前はなんとか走って逃げろ!」
「ひ~ん!ユージン様ひど~い!」
「どこまで追ってくるかわからないけどとにかくこの先に馬車が止めてあるからそこまで頑張って!」
「でも、そろそろ魔法がきれる」
「谷まで保てば良い!」
「だからナ○シカか!」
「見えた!馬車だ!」
一斉に馬車に乗り込んだがネロを忘れて馬を走らせ始めてしまった。
「鬼ですか?!」
「速く乗り込め!」
天井は必死に手を伸ばす、そしてその横で
「その者青き衣を纏いて金色の...」
「言ってる場合か!」
なんとか全員乗り込むことができた。
「ハァハァ......死ぬとこでした。」
「姫様!生きとったんですか!?」
「おめーはまだやってんのかい!」
後ろからついて来たプラムスはもう追ってこないようだった。
「森へお帰りオーム」
「だからオームじゃないって!」
ユージン達は昨日と同様に同じ酒場で夕飯を食べていた。
「あ゛~しんどーい」
「何事もなれない内は苦労するもんだよ」
「皆さんはまだ良いですよ、私なんて散々な目にあいましたよ」
「全員無事に帰って来れたし、良かったとしよう!」
「そうね!初仕事おめでとう!」
「ありがとーう」
「なあ、マリア聞きたいことがあるんだが」
「なぁーにー!?ダーリン!私の指のサイズはね!」
「いや、聞いてないから、てか離れて」
「もしかして、スリーサイズだった!?」
「ちげぇって、この街は図書館とか本屋とかねーの?」
「え?一応中央グリモア図書館って大きな図書館があるけれど誰も使ってないわよ?なにか調べ物?」
「ああ、神器の事をちょっとね」
「神器ってあの神器?聖剣とかの」
「うん、そうだよ」
「たしか聖剣って今はアンツィオの城にあるんだっけ」
「いや、今はここにある」
「は?これが聖剣だって言うの?」
「うん」
しばしの沈黙。このマリアが止まっている光景がもしテレビで流れれば間違いなく放送事故と思われただろう。
「はぁぁぁぁあああ!!??ダ、ダ、ダーリン...?勇者だったの?」
「そうだぞ」
「いきなり言われても信じられませんよね」
「流石、私のダーリンね!!」
予想外の返答だった。普通ならそんな事信じられるはずがない、例えるならこの人は宇宙人と交信できる人だった、はいそうですかという状況である。
「信じてるんですか!?」
「そうよ、だってダーリンだし可能性は十分にあるわ」
これにはもう苦笑いしかない一同だった。
「話を戻すけど俺達は今、神器集めをして魔王を倒す旅の途中なんだ。」
「そうだったんだ...」
さらに話を続けて今までの旅の事を全て話した。
「なるほどわかったわ…私も魔王討伐に力を貸すわ!」
「でも、これから危ない戦いになるかもしれないんですよ?」
「こっちは日頃から命のやり取りしてんのよ、そのくらい覚悟できてるわ、お、姫、様」
「それやめて下さい」
「どうすんだ?良いのか?ユージン」
「別に良いんじゃね?すでにペル連れてきてるし、これ以上増えても問題ないだろ」
「むしろ好都合、戦力増大」
「てことで改めてこれからよろしくな」
「ダーリンの行くとこならどこへでもついて行く覚悟よ!でも、魔王討伐も今の時代になると厄介ね」
「厄介?」
「実は今、隣国同士がこのローマを挟んで戦争を起こしてるのよ」
「そうなのか?ネロ」
「ええ、かなり緊迫しています。しかも二国どころの話ではなく、ローマ以外の国ほとんどがです。」
「お前、こんな所にいたらだめだろ...」
「まあ、オットーがなんとかしてくれるでしょう。」
「実際のところローマも一応この戦争に関わってるんだけどね」
「ん?でも戦争はしてないんだろ?」
「前ローマ皇帝は独立国家を目指そうとしてた。なので今戦争を起こしているのはイタリア国全土、戦争の原因は物資の少なさ」
「どういうこと?」
「つまり、このローマは本当はイタリア国だったの、でも前のローマの王様がイタリアはイタリア、ローマはローマって風に国として分けちゃったのよ、おかげでイタリアの領土にはぽっかり穴があいた状態、イタリアはその穴から色々な物を手に入れていたけど手に入らなくなってしまった。ローマに続いて隣国が独立を始めだしたから、物資を入れる話をローマに持ちかけたけど、隣国に出しているもので精一杯だと断られたイタリアはその隣国を攻撃することを決定して今の状態ってこと」
「元の歴史と異なる。やはり俺たちの世界ではない。」
「でもそれだったら直接ローマを狙って、また領土にすれば良いんじゃないか?」
「ばかね、あなた」
「なにを!?」
「イタリアが負けたから独立されたに決まってるじゃない。」
「ええ!?都市vs国で都市が勝っちゃったの?」
「この時代のローマはイタリア国内で一番の武力を誇ってた。隣国も相手にしたくないはず」
「なる程それで、魔王の話とどう関係あるの?」
「魔王の支配している領土はかなり広くてローマと隣国を含めた3つの国の国境線とふれてるんです。」
「はあ!?」
「待て待て待て、その流れでいくとパーティー参加的な感じか?」
「流石ダーリン!察しが良いわね。去年は私ソロで出たんだけど、結構キツかったのよね。だから、個人戦は勝ち残ったんだけど、パーティー対抗戦には全然で、1800組中20位だったわ。今年からパティー戦は最低参加人数決められるし。」
「いや!充分すげーけど!?」
「一位を穫らないと意味がないわ!それに、今年は何故か前回よりゴールドの冒険者が多くて、5人も増えたのよね~5人とも名前も知らなかったんだけど」
「まさか、個人戦にも俺達出るの!?」
「ええ、その方があなた達のためにもなるでしょ?」
「どうして?」
「それは、優勝すれば知名度があがって指名依頼とかが来るからよ」
「へーなる程優勝すれば知名度があがって、他の冒険者よりも信頼も上がる訳だ」
「今回のパーティー戦は最低出場者は七人、大会が定めるルールで行うこと」
「ぴったり」
「個人戦に関してはギルドに加入してる者であればだれでもOK、武器でも魔法でもなんでもありよ、相手が気絶や失神や降参を認めたら勝ちただし殺しら反則負け」
「結構ハード何だな」
「良くマリアさんは勝ち抜けましたね。」
「まあ、去年は私の以外のゴールドはひとりしか出てないからね」
「今年から5人増えたとしてもあと4人いたハズ、何故でなかった」
「さあね、結構危ない大会だったし出たくなかったのかも、こちらとしても後の2人はいなくて良かったと思ったわ。」
「どうして?」
「強いからよ。その2人は、かなりヤバい奴らなのよ。私の今のランキングは9人中8位、出なかった奴のひとりは去年も今年も一位を保持し続けてるわ」
「マリアが八位!?」
「そうよ、だから今年はやばいのよ、順位はステータスを測った瞬間から分かっていて、一ヶ月に一度のペースで更新されるわ」
「ホントだ気付かなかったけど順位がある。」
「え゛俺、12609人中12609位だ...」
「底辺ここにいた!」
「五歳児と同じステータスじゃしょうがないでしょ」
「はあーマジかー」
「まあ、ダーリンならなろうと思えばゴールドになれるんだし!カッパーの順位なんて気にしない気にしない!」
「まだ上にシルバーとゴールドのランキングがあるの!?」
「そうよ、カッパーから昇格したら今度はシルバーの下から、っていう風にね」
「まあ、仕方ないって、それより明日からギルド対抗戦の修行もしなくちゃな」
「そうだな、とりあえず今日はどこかの宿をとって...」
「対抗戦に出てくれるの!?」
「当たり前だろ、俺達もうパーティーなんだし」
「ありがとう!ダーリン!今日は家に泊まっていって~」
「やめろ!くっつくな!泊まらねえ!」
結局この日は近くの宿屋に泊まった。
◆◇◆
翌日になると宿屋の前にマリアが立っていた。
「おはよー!ダーリン!」
「はいはい、おはよー」
「あれ、元気ないですね」
「こいつ朝にはめっちゃ弱いんだ」
「ダーリンの弱点は朝ですか、死霊系モンスターみたいで可愛いです」
「お前の頭はお花畑か」
「咲き誇ってます!」
「はい、じゃあ行こうか~」
宿屋を出て歩き出すとどこからともなく朝食のパンの香りがした。腹減ったなと思いながら辺りを見回すと屋台がいくつか出ている事に気が付いた。しかし、既に朝食は宿屋でとっていた。
「今日は初仕事だけども、なんの依頼を受けるんだ?」
「うーん、あなた達だったらそうね、いきなりシルバークエスト行っちゃいましょうか」
「いきなりって大丈夫なんですか!?」
「確かに、ユージンはともかく、カッパーのネロにはキツいんじゃない?」
「大丈夫よ、今回はできるだけ複数の小型モンスターの討伐だから」
「なるほど、モンハンで言うところのジャギィ狩りだな」
「まー、そんな感じかな、良く分からないけど同じ感覚だと思う。ただ時たまでとんでもないモンスターが出現する可能性もあるのよね」
「まあ、どちらにせよ気を引き締めて行けば問題なしってことか」
「そういうことよ」
ギルドに着いて依頼のボードを確認する。
「なあ、そういえば俺とネロはカッパーなのにシルバーのクエストに同行していいの?」
「ゴールドがひとり付いていれば何の問題もないわよ」
「そういえば、マリアの職種は?」
「戦士よ」
決めた依頼書を受付まで持って行く。
「このクエストを受注するわ」
◆◇◆
ユージン達は依頼のあった草原に来ていた。依頼内容は小柄なモンスター達が畑を襲ったり家畜を襲ったりして困っている、という内容だった。
「なんとも分かりやすい...」
「なにか言った?」
「いや、なんでも」
「あれじゃないか?」
見ると四足で歩行している亀とドラゴンを混ぜたようなモンスターがいた。
「ガメラ?」
「動きは鈍いけど」
「よし、あたしの弓で」
「あっ!まって!」
矢は当たったが音を出して跳ね返った。
「えー!?利かないんだけど!!」
「あのモンスターの特徴は身体の硬さなのよ!ドラゴンの鱗に亀の甲羅のような武装をしていて、あのモンスターを使った盾は並大抵の攻撃じゃ通用しないの!」
モンスター達は先の攻撃でユージン達に気付いたようだった。身体を甲羅に入れて回転しながら突っ込んでくる。
「あ、こっちきた」
「ひぃぃーごめんなさ~い」
突っ込んでくるモンスターを天井が盾で弾き返す。
「ウォォオラ!」
すかさずマリアが攻撃を仕掛ける。
「ハァ!」
しかし、モンスターに刃は通らなかった。
「くっ!やっぱり硬いか!」
「俺に任せろ!宇宙のチリとなれ![ギャリック砲]!!」
赤い閃光がモンスターの身体を貫いた。
「凄っ...」
「ふん!汚ねぇ花火だ」
「ド派手過ぎるだろ!」
「大型モンスターが寄ってくる、控えめにしろ!」
「そんな事言ったってよ~アニメの技って大体派手だぜ」
「透様を見習って下さい!」
言われた通り透が戦っている姿を見た、無駄が全くない動きで確実にダメージを与えている。
「無駄のない動きで、速さと攻撃の重みを増す、プラス広範囲ではなく、長時間もつ技か...まあ、あるっちゃあるんだがな」
「なにをブツブツ言ってんだ?」
「いや、別になんでも(そうか、仲間の使う技とかも俺の想像しだいでマネできるんだよな~まてよ、そうなると...もしかして...)」
「なにボーッとしてんだ!」
『油断は大敵だぞユージン』
「わかってるよ!バハムートにまで言われちまった...」
◆◇◆
戦闘は10分程で終わった。
「まさか、こんなに早く終わるなんて」
「やったな!ミッション達成だ。早く村に戻ろう、もう疲れた」
来た道を戻ろうとした時だった、
「ユージン様!助けて下さい~」
「はえ?」
ネロがこちらに全速力で走ってきた、ネロの後にはダンゴムシのような生き物がこちらに向かってくる。
「あぁ!オームの群れだ!」
「ちげーよ!バカ!ナ○シカか!」
「とにかく逃げろ!なんかマズいぞ!」
「あれは、プラムス?!普通なら大人しいのに!なんで!?」
「それはあの女に原因がある!」
「なにをしたの!?ネロ!」
「間違えて足みたいな触覚みたいな良く分からないなにかを踏んでしまいました!」
プラムスと呼ばれるダンゴムシ型の甲虫モンスターは意外に速かった。
「このままだと追いつかれる!」
「━━━フライ!」
菅野は先程から黙っているかと思ったが詠唱を唱えていた。詠唱を唱えて終えるとユージン達の身体は宙に浮き始めた。
「飛んでる!」
「この速さなら追いつかれない!」
「すげーぞすが!」
しかし、あろう事か後ろからついて来たネロだけが浮かないのだ。
「すが様ひどい!」
「範囲魔法だから離れすぎてると発動しない。」
「自業自得だ!お前はなんとか走って逃げろ!」
「ひ~ん!ユージン様ひど~い!」
「どこまで追ってくるかわからないけどとにかくこの先に馬車が止めてあるからそこまで頑張って!」
「でも、そろそろ魔法がきれる」
「谷まで保てば良い!」
「だからナ○シカか!」
「見えた!馬車だ!」
一斉に馬車に乗り込んだがネロを忘れて馬を走らせ始めてしまった。
「鬼ですか?!」
「速く乗り込め!」
天井は必死に手を伸ばす、そしてその横で
「その者青き衣を纏いて金色の...」
「言ってる場合か!」
なんとか全員乗り込むことができた。
「ハァハァ......死ぬとこでした。」
「姫様!生きとったんですか!?」
「おめーはまだやってんのかい!」
後ろからついて来たプラムスはもう追ってこないようだった。
「森へお帰りオーム」
「だからオームじゃないって!」
ユージン達は昨日と同様に同じ酒場で夕飯を食べていた。
「あ゛~しんどーい」
「何事もなれない内は苦労するもんだよ」
「皆さんはまだ良いですよ、私なんて散々な目にあいましたよ」
「全員無事に帰って来れたし、良かったとしよう!」
「そうね!初仕事おめでとう!」
「ありがとーう」
「なあ、マリア聞きたいことがあるんだが」
「なぁーにー!?ダーリン!私の指のサイズはね!」
「いや、聞いてないから、てか離れて」
「もしかして、スリーサイズだった!?」
「ちげぇって、この街は図書館とか本屋とかねーの?」
「え?一応中央グリモア図書館って大きな図書館があるけれど誰も使ってないわよ?なにか調べ物?」
「ああ、神器の事をちょっとね」
「神器ってあの神器?聖剣とかの」
「うん、そうだよ」
「たしか聖剣って今はアンツィオの城にあるんだっけ」
「いや、今はここにある」
「は?これが聖剣だって言うの?」
「うん」
しばしの沈黙。このマリアが止まっている光景がもしテレビで流れれば間違いなく放送事故と思われただろう。
「はぁぁぁぁあああ!!??ダ、ダ、ダーリン...?勇者だったの?」
「そうだぞ」
「いきなり言われても信じられませんよね」
「流石、私のダーリンね!!」
予想外の返答だった。普通ならそんな事信じられるはずがない、例えるならこの人は宇宙人と交信できる人だった、はいそうですかという状況である。
「信じてるんですか!?」
「そうよ、だってダーリンだし可能性は十分にあるわ」
これにはもう苦笑いしかない一同だった。
「話を戻すけど俺達は今、神器集めをして魔王を倒す旅の途中なんだ。」
「そうだったんだ...」
さらに話を続けて今までの旅の事を全て話した。
「なるほどわかったわ…私も魔王討伐に力を貸すわ!」
「でも、これから危ない戦いになるかもしれないんですよ?」
「こっちは日頃から命のやり取りしてんのよ、そのくらい覚悟できてるわ、お、姫、様」
「それやめて下さい」
「どうすんだ?良いのか?ユージン」
「別に良いんじゃね?すでにペル連れてきてるし、これ以上増えても問題ないだろ」
「むしろ好都合、戦力増大」
「てことで改めてこれからよろしくな」
「ダーリンの行くとこならどこへでもついて行く覚悟よ!でも、魔王討伐も今の時代になると厄介ね」
「厄介?」
「実は今、隣国同士がこのローマを挟んで戦争を起こしてるのよ」
「そうなのか?ネロ」
「ええ、かなり緊迫しています。しかも二国どころの話ではなく、ローマ以外の国ほとんどがです。」
「お前、こんな所にいたらだめだろ...」
「まあ、オットーがなんとかしてくれるでしょう。」
「実際のところローマも一応この戦争に関わってるんだけどね」
「ん?でも戦争はしてないんだろ?」
「前ローマ皇帝は独立国家を目指そうとしてた。なので今戦争を起こしているのはイタリア国全土、戦争の原因は物資の少なさ」
「どういうこと?」
「つまり、このローマは本当はイタリア国だったの、でも前のローマの王様がイタリアはイタリア、ローマはローマって風に国として分けちゃったのよ、おかげでイタリアの領土にはぽっかり穴があいた状態、イタリアはその穴から色々な物を手に入れていたけど手に入らなくなってしまった。ローマに続いて隣国が独立を始めだしたから、物資を入れる話をローマに持ちかけたけど、隣国に出しているもので精一杯だと断られたイタリアはその隣国を攻撃することを決定して今の状態ってこと」
「元の歴史と異なる。やはり俺たちの世界ではない。」
「でもそれだったら直接ローマを狙って、また領土にすれば良いんじゃないか?」
「ばかね、あなた」
「なにを!?」
「イタリアが負けたから独立されたに決まってるじゃない。」
「ええ!?都市vs国で都市が勝っちゃったの?」
「この時代のローマはイタリア国内で一番の武力を誇ってた。隣国も相手にしたくないはず」
「なる程それで、魔王の話とどう関係あるの?」
「魔王の支配している領土はかなり広くてローマと隣国を含めた3つの国の国境線とふれてるんです。」
「はあ!?」
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