異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

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本編

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「って事がありましてですね、ウチで預かることになりました。モモちゃんです」
「モモです宜しくお願いします。」
「そうですか、それはとても大変な目に」
「幸い、あいつらモモの顔には傷をつけなかったからあんま目立たなかったんだけど」
「女の子は顔が命だからな」
「ただ、分かっていると思うけどクエストには連れてけないわよ?」
「ええ!?連れてけないの?!」
「あたりまえでしょ、危険なんだから」
「僕付いていきます!前は冒険者の人とクエスト行ってました!」
「でもなモモちゃん、危ないんだぞ?」
「うーん、困ったな~、あのさサポーターとかって事にして連れてけないの?」
「サポーターって職業は一応あるけれど資格を持ってないとできないのよ」
「僕、戦えますよ?」
「え、マジか!」
「はい、前の主人の人達からお前は使えないから戦えるようになれって言われたので」
「どんな風に戦うんだ?」
「一応ギルドに加入していた時期もありまして、その時の職業はライダーをしていました。」
「新しい職業キター!」
「でもあなた、かんじんのパートナーの魔獣は?」
「僕、召喚獣を使うので常にいるわけではないんですよ」
「召還魔法つかうの!?マジか!見たい見たい!」
「分かりました!お見せしましょう!」

モモは全員に少し離れるように言って、手で印の形を取り、ブツブツと何かを唱え始めた。

「出でよ!朱雀!」
「朱雀?!まさかあの朱雀か!」
「知ってんのか?」
「朱雀は日本の幻獣さ、炎を纏った身体をしてる」
「おお!すげーな!」

魔法陣のような物が床に広がり、光を放っている。その光がだんだん強くなって部屋中を昼間のように照らした。今度は光が弱まってさっきまで魔法陣があった部屋の中心になにかいることがわかる。

「おいで、朱雀」

朱雀と呼ばれた者を見るとツバメのような赤い鳥がモモの肩に乗っていた。

「この子が朱雀です」
「あ、ども、こんにちは」
『久しぶりに呼び出してくれたな、元気にしてたかよ』
「おお!しゃべった!」
「しゃべりましたね」
「朱雀、あいさつは?」
『なに、こいつ?』
「新しい主人のユージン様」
「えらく可愛い奴だな、ちっこいし」
『お前まだ奴隷なんてやってんのか、こんな奴ら俺がぶっ倒して自由にしてやってもいいぜ?』
「今までの主人とユージン様は違うの、僕を助けてくれたんだ」
『この男がか?』
「それと、今日から僕の名前はモモだから」
『モモ?変な名前付けられたもんだな』
「え!?変?!」
「僕は気に入ってるからいいんだよ!」
「それにしても、可愛らしいメンバーが入りましたね。」
「そうだね、ネロの代わりに対抗戦はモモにでてもらう?」
「たしかに、ノースキルで一般男性と同じステータスはちょっとキツいかもな」
「ええ!?」
「魔法は使えないし」
「ふぇえ~」
「おっちょこちょいだし」
「そんな~」
「それも一応考えておいた方が良さそうだな」
「ユージン様まで酷くないですか?!」
「ところで呼び出せる召喚獣は朱雀だけなの?」
「いえ、後二体、契約している召喚獣がいます」
「よし、じゃあ今日はゆっくり休んで明日からはモモも一緒にクエスト行くぞ!」
「あれ?調べ事はもう良いのか?」
「とりあえず今日でもう終わったぞ」
「神器の場所とかもわかったのか?」
「まあ、一応な。そうだ、明日あたり行ってみるか」

◆◇◆

「本当にここなんですか?」
「気味の悪いところね…」

ユージン達はグリモアから離れた西の深い森に来ていた。

「もうちょい奥に行くと滝があるんだ」
「たしかにさっきから水の音が聞こえるけど」

しばらく足場の悪い道を進むとザーッという音と共に滝が見えた。

「ここか?」
「間違いないなここだ」
「でも、それらしき物は見当たらない」
「デマだったんじゃないか?」
「モモ、朱雀を呼んで上からなにかあるか確認してくれ」
「了解です!...出でよ!朱雀!」
『はいはい』
「朱雀、上から何か見えないか偵察」
『はいはい』

空高く上空に飛んでいった。

『特に無かったぜ変わった様子は』
「やっぱここじゃなかったんじゃ」
「大体今度は誰が使う神器で何なのかも知らされてないぜ」
「今回はな、すがの神器で槍だ」
「槍?杖じゃなくてか?」
「まあ、実質上は杖と同じだな、その槍には魔力を倍以上に高める力があるみたいだ」
「槍か...使えるかな」
「まあ、大丈夫でしょ、槍も杖も長いのには変わりないんだし、問題ないって」
「とにかく、槍の場所は大体わかったぞ」
「でも、槍なんてどこにも見あたらないけど」

たしかに、辺りを見回してもなにもない様子だった、しかしユージンの目線は滝に集中していた。

「昔ファイナルファ○タジーってゲームやってたんだが、話の途中でこういう場面があったんだ」

そういって滝の方へ歩きはじめる。滝の裏側へ回ると洞窟のような場所があった。

「おお!」
「ユージン様凄い!」
「いや~それ程でも」

洞窟に入るとそこまで深くはなく、一本の槍が奥で浮いている状態だった。

「あれが...」
「そう、神器(エスクレンタムスピア)役柄は(幽閉と後悔)」
『あいつは用心した方がいいぞ』
「どうしてだ?バハムート」
『神器の中には必ず魂が存在するんだ、聖剣というを除いてな、あの槍の中に入ってる奴は昔一緒に魔王討伐に参加してた奴なんだが俺は好かん』

菅野は槍に近寄っていく。

「一体誰の魂が入ってるんだ?」
『神(マルス)』
「マルス?!あの戦いの神マルスですか!?」
「マルス?ネロ、それは?」
「神話に出てくる神様さ、ゼウスとヘラの間に生まれた戦いにしか興味のない神っていわれてる」

ネロが答えるより早くペルーシャが答えた。
菅野が槍を手にしようとすると声が聞こえた。
『あ?誰?あんた?』
「あ、えっと菅野と申します」

深々と頭をさげた。

『あ、初めましてマルスです、本名はアレスって言うんですけど好きな方で呼んでくれていいっすよ』
「なんか、サラリーマンの名刺交換みたいになってるけど」
「じゃあアレスさんで」
『はいはい、今日はどういったご用件で?』
「あの、僕の神器になってもらいたくてですね」
『あー、そうですかじゃあ簡単にテストさせてもらいますね』
「テスト?」
『僕の役柄は(幽閉と後悔)なんですけどね、固有結界を使って精神コントロールするんですよ、なので使い手の人が精神弱いと廃人になる可能性も高いのでね、一度精神コントロールして耐えられるかのテストです』
「はい、お願いします」
『はいはい、それじゃいきますね、これまでの人生の中であなたが一番後悔した時の事をもう一度見せます。』

「なんか、何かの窓口に来た気分だな。」
「確かに。」

どちらも沈黙が続いている。

「すがの黒歴史ってなんだろな」
「さあ?」
『終わりました。素晴らしいですねあなた』
「もう、おわったんですかね?」
『らしいな』
『驚きました、まさか今までのあなたの人生で後悔という概念が存在しないとは』
「なんじゃそりゃ、神かあいつ」
「それってかなり凄いわね」
『良いでしょう、あなたに付いていきます』
「過去にこれほど簡単に神器になった事があるだろうか」

菅野が槍を持って洞窟の奥から出てくる。

「よっ、おつかれ!」
「意外と簡単にできたね」
「扱えそうか?」
「まだ分からない、けど魔力は確かにかなり高くなってる」
『それはそうでしょうね、魔導師用の槍ですからね。前の使い手の方も魔導師でしたよ、とおや?もしやバハムート殿ですかな?』
『久しいの、アレス』
『まさか、このような形で再び会いまみえようとは』
『貴様の口は閉じることを知らんのか、ずっと話していて疲れんのか』
「お前は黙り過ぎだろ」
『ユージン殿と言ったか?』
「なんで俺の名前を」
『菅野殿の記憶を勝手ながら覗かせていただきましたので、魔王討伐ですか、面白そうなので私も手を貸すとします。』
「あ、どうもありがとうございます」

本当に戦いの神なのか疑ってしまう一同だった。
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