異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

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本編

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対抗戦まで残り3日となった。ユージン達のレベルも上がり、最初と比べるとステータスも見違えるようだった、ネロを除いて。

「なんで私だけ成長しないんでしょうか」
「いやいや、ネロは普通だから大丈夫よ。むしろ異常なのはあの四人、この短期間でかなり成長したわ」

そうユージン、透、天井、菅野の4人は普通ではありえない早さの成長をみせていた。既に4人のレベルは40越え(ユージンを除く)で、全ステータスを見るとほとんどが100を切っていた。ネロが遠い目で4人を見つめる、中型のボスモンスター討伐のクエストに来ていたが、どうやらたった今倒した様子だった。

「ふぅー、こんなとこか?」
「今回の依頼はこれで終了か」
「お疲れっしたー!」
「お疲れ様です!ユージン様!」
「おう、モモもお疲れ!」
「この感じなら対抗戦も大丈夫そうだな!」
「マリア、帰りの馬車用意してほしいんだけど」
「おっけー!」

マリアが馬車に向かって歩きはじめた時だった。

「?!」
「これは...」
「まっずいなこれ...」

隣でボソッと呟くのを聞いたネロは一瞬で緊張状態に入ったペルーシャをみてただ事では無いことを悟った。

「どうしたの?」
「なんか、デカい奴がくる。千里眼で気配を感じる。」

マリアもその気配に気付いていたようだった。

「かなりの大物ね...」

ユージン達がいるのは洞窟の中だった、左から気配を感じるがそこは岩の壁だ。上は吹き抜けているので日光が良くはいる。しかし、一瞬で日光を遮る大きな影が洞窟の空間を丸ごと覆った。何事かと上を見ると巨大な緑のドラゴンが飛んでいた。

「でっかいドラゴンだな~」
「なに呑気な事言ってんだ!走れ!逃げるぞ!」

ドラゴンはユージン達のいる場所に着地しようとしていた。

『あれは、ワイバーンだな。』
「ワイバーン?」
『ああ、ドラゴンの中では一番数が多い種類だ。だがあんなに大きなワイバーンは初めてみたな』
「なあ、あのドラゴン弱ってるぞ」

たしかに身体中傷や血がこびり付いていた。

「うあぁぁぁああ!落ちるぅぅう!」

突然上から悲鳴が聞こえてきた、見ると甲冑に身を包んだ女がワイバーンの背中から落ちてくる。

「あの人...」
『なんでしょうねあの人、どうしてドラゴンの背中にいたんでしょうか』
「どちらにしてもあの人ヤバいんじゃない!?」
「ユージン様!助けてあげて下さい!」
「え?!俺?!」
「そうです!ユージン様!勇者でしょ!?」
「お前らこういう時ばっかり...」
「早く助けてこい!」
「わかったよ!もう!助けりゃ良いんでしょ?助けりゃ......ええっとこういうときは......」
「早くしろ!」
「道具迷う時のドラえもんか!」

ユージンはとにかく、女の下に走っていった落下の予想地点に着くと仰向けになった。女は既にユージンの目と鼻の先だ、女は涙を流しながら助けを求める。

「助けてぇぇええ!」

「はいはい、わかったわかった。」

遠くで見守る7人は気が気でなかった。

「あいつなにやってんの!?アホなの!?」
「いくぞ~[ゴムゴムの風船]!」

そして、身体が風船のように丸くなり、女はユージンの上に着地すると無傷で飛び跳ねていた。

「うわっ!何すかこれ!」
「ふぅ、大丈夫か?あんた」

とにかく1度ワイバーンから離れるために全速力で走る。
横を見れば聖剣で強化されたはずのユージンにその女性はなんら表情を変えずに付いてくる。

「自分を助けてくれたっすか!?ありがたいっす!」
「なにそのしゃべり方、コッシー?」
「なんすか?それ?」

女は青髪のショートに目はライトブルー、顔もなかなか美人という容姿だった。

「なんすか?そんなまじまじ見られると照れるっすよ///」
「んー、顔は悪くないけど胸が惜しい!」
「ちょっ!どこみてんすか!」

胸を腕全体を使って隠し、顔を赤くしながら怒鳴る。とその時後ろから先ほどのドラゴンが咆哮をあげる。

「そういえばなんでお前、あいつの背中から落ちて来たんだ?」
「自分あいつの討伐依頼受けてたっすよ、身体に乗って直接攻撃してたら飛び始めちゃって仲間ともはぐれてしまったっす。それじゃ、危険なのでそこで見学していてもらいたいっすね」
「OK牧場。てか、冒険者だったの?」

女は一度こちらを向いてニコッと笑うとドラゴンの方に身体を向け低い姿勢で走っていく、かなりスピードが出ていた。女は腰からレイピアのような剣を出し、ドラゴンに攻撃を仕掛けていく、レイピアと言う物は刀身が細身で通常ならばドラゴンの鱗には無意味だが、女の攻撃は一撃一撃が重く、確実にダメージが蓄積されていることが見ていて伝わってきた。恐らくユージンと同じ魔導騎士なのだろう、魔法と剣技を使いこなす様からかなりの手練れだということが分かる。魔法の一撃を当てる度に花火が打ち上がった瞬間のような衝撃が伝わってくる。

「はあぁぁぁあああ!!」

レイピアの刀身が閃光を放ちながらドラゴンの身体に飛んでいく、突き刺さった瞬間、ドラゴンは身体をうならせながら咆哮を上げ、動かなくなった。巨大ドラゴンとの激闘をたった1人で終えた女のもとに近付いていく。

「お疲れ様、すごいなあんた!」
「それほどでもないっすよ...ハァハァ」

近付いて初めて息があがっている事がわかった。

「そういえば」

自分が名乗っていないことに気が付く。

「俺、湊谷勇真。皆からはユージンて呼ばれてる」
「自分は...」
「やっぱり!カーリーじゃない!」

名乗ろうとしたその時後ろからゾロゾロと透達がやってきた。

「あれ?マリア先輩じゃないっすか~」
「え?知り合い?」
「ええ、まあね。彼女は」
「お初にお目にかかるっす皆さん、マリア先輩の後輩、カーリー・シフォンって言うッス」

「「「あ、こんちは~」」」

「後輩ってどういう事?」
「同じギルドではないですよね?」
「彼女は憤怒のギルド〈イラ〉のゴールド冒険者で、昔からの付き合いなのよ」
「ゴールド?!通りで強い訳だ...」
「まあ、9人中9位の最下位ッスけどね!皆さんマリア先輩のパーティーッスか?」
「ああ、そうだ」
「カーリー!こちらのユージンは私のダーリンなのよ!」
「マジッスか!先輩、気を付けた方が良いッスよ、この人さっき自分の胸をじーっと見つめてて気持ち悪かったッス」
「わかってないわね!ダーリンはそういうとこ含めて素敵なのよ!」
「こっちも重傷だったみたいッスね」
「人聞きの悪い!じーっと見てたのは胸じゃない!全身だ...」
「お前ら謎の張り合いはやめろ」
「キモさ倍増ッスね......あ、自分のパーティーが来たみたいッス」

見ると何人か武装した男女がこちらに手を振っている。

「それじゃあ自分は失礼するッス、マリア先輩の事じゃ今年も対抗戦出ると思うので今年こそは負かしてやるッスよ」
「フッ、望むところよ」

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