異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

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本編

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対抗戦を明日に控えたユージン達は参加の受付をしていた。

「はい、それではこちらがパーティー戦と個人戦の詳細用紙になっています。対抗戦は個人の時はトーナメントになます、用紙の裏にトーナメント表があるので確認して下さい。パーティー戦は毎年ランダムに運営がルールを決めます。個人戦では殺さないことをルールになんでもありの1対1の勝負になります。選手は明日の朝8時に東側のコロシアムに集まる事になっています、10日間を使って行う大会となっております。1日目にパーティー戦その後の9日間は全て個人戦となっています。それではご武運を。」

◆◇◆

「いよいよ明日か」
「なんか、緊張してくるな」
「ユージン様なら大丈夫ですよ!」
「そうよ!ダーリンなら誰にも負ける事なんてないわ!あんた達だってあんだけ強ければ問題ないわよ!」
「そうは言うけども、俺ここら辺じゃかなり有名人になったぜ、最弱として」

ユージンが言っているのはギルドに加入してからというもの、ステータスがオール3の五歳児と同じカッパー最弱の冒険者がいるという噂が光の速さで伝わったという事だ、この噂は冒険者達に留まらず街の人間ほとんどに伝わってしまった。この事からユージンはこの街ではかなりの有名人になっていた。しかし、一部の底辺のカッパー冒険者達はユージンの噂を耳にして「俺もまだまだ捨てたもんじゃない」と失っていた自信を取り戻す者も出てきたのだ。

「くそっ!どうして俺だけレベルが40越えしてもオール3のままなんだ!?」
「たしかに通常ならばいくらステータスが低いからといってもレベルを上げれば何かしらステータスも上がるハズなのですが」
「気にしてもしょうがない!お前は周りの奴らが思ってるほど弱くないから大丈夫だ!」
「そうです!ユージン様の強さは私達がわかっています!」
「お前ら...だよな!俺は強いんだ!」
「その意気です!ユージン様!」
「それじゃ今日はもう帰りましょうか、明日は本番だし。」
「そうだな、じゃあまた明日!」

◆◇◆

翌日、グリモア東コロシアム選手控え室前廊下
人の行き来が激しく、硬い甲冑に身を包んだ男女が狭い空間にぎっしりといた。

「流石に2000組近くのパーティーがいるだけあって賑やかだな」
「そうね…」
「人混みはあまり好きじゃないんだけどな」
「そういえば聞き忘れていたんですが、パーティー戦はどんな事をさせられるんですかね」
「去年はパーティー代表のリレーだったわ、その前はパーティー全員で物作りとか」
「じゃあ全員参加かもしれないし代表のみかもしれないって事?」
「そういうことね」
「それでは会場の準備が整いましたので闘技場に入って下さい!」

案内された順路を進むと巨大な円の形をした闘技場とそれを囲むように人で埋め尽くされた観覧席が設置されていた。

「個人戦もここで行うのよ」
「随分広いね」

老人が冒険者達の前に立ち開会式のようなものが終わった。
とその時、観覧席の真ん中に区切りがされている特別席のようなところから何人かの紫色の服を着た者の1人が話をはじめた。恐らく大会の運営とはあの者達の事だろう。

「えー、今回のギルド対抗戦1日目パーティー戦で君たちに競ってもらうのは宝探しだ。」

会場はどよめきを見せたが冒険者達は活気に湧いた。

「今回は全員参加型だが、各パーティーから代表一名を選抜してもらう。」
「どういう事?」
「とにかく、1人決めれば良いんだろ?」
「そうねルールはまだわかってないけどとにかく1人決めましょう。」
「で、誰がやるんだ?」
「あの!ここはひとつ私に任せて下さい!」
「え、ネロどうしたの?」
「変な物でも食べたのか」
「失礼な!私、個人戦ではあまり期待できないのでせめてこれだけでもって思って」
「ま、良いんじゃないか?」
「ええ、別にかまわないわ」
「それじゃ!頑張ってね!」
「えー、決まった者は前へ」

各代表一名が前へ出ていく、様々な選手が出てくる。

「マリア、有名な選手とかいねーの?」
「そうね、あの赤髪の男」

みると、ユージンとそれほど変わらないと思われる歳の少年がいた。

「あいつ?」
「今年からゴールドになった男よ、職業は盗賊、彼の有名な噂はここから北にある集落を数多く襲っていた山賊を殲滅させたこと。」
「へー、」
「ねえ、なんかネロ緊張してない?」

たしかにそわそわした様子である。

「よう、ねーちゃん可愛い顔してんのにこんな物騒な大会にでてんの?」
「この大会終わったら飲みにでも行く?」
「いや~アハハ遠慮しておきます」

「では、代表一名が決まったようなのでルールを説明する。これから代表者には転移魔法である島に行ってもらう、そこは危険なモンスターが住み着いている。君達にはその島のどこかにある宝を探してもらい、誰が一番最初にその宝を手に入れることができるかというルールだ、順位は脱落していったパーティーから下になっていく。パーティーメンバーには(通信ルーン)と(島の地図)を渡しておく、この(島の地図)は自分達の代表者がいる場所が青く光り、他の代表者は黄色に光る、その他の生物は赤く光って表示される。他の選手を狙うも良し、選手や島の動物に遭わないようにするも良し。好きな選択肢を自分達で選び宝を探し出してくれたまえ。」

「こりゃ大変な事になりそうだ」
「ネロ大丈夫かしら」

代表者達の足下に巨大な魔法陣が現れる、一瞬目も開けていられないほど光り輝くと選手達の姿はなかった。

「では、パーティー戦開始!」
『あー、あー、皆さん聞こえますか?』

配布された石からは聞き覚えのあるネロの声がした。

「はいはい、聞こえますよー」
「ネロ、周りには誰もいないから安心しろ」
『了解です』
「なあ、どうやって宝の場所を調べるんだ?てか宝なんなんだ?」
「ユージン様、地図とルーンと一緒にこんな物も貰いました」
「これは、紙?」
「なんて書いてある?」
「(青と空が共になる場所を切り捨て、Dutchとして読む)」
「どういう意味かしら」
「ネロ、そこに赤い光が近付いてる。隠れてなんとかやり過ごせ」
『了解です!......あ、来ました、あれはライオン?』
「ライオン...そんな猛獣もいるんだな」
「ユージンこの後どうする?」
「とりあえずその場で待機だな」
『わかりました』

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