異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

文字の大きさ
33 / 60
本編

32

しおりを挟む
「ふぇえ~ごめんなさい~」
「もう泣くなって」

どうやらモモは菅の事が気が気でなく試合に集中できずに負けてしまったらしい。

「そりゃ集中できないよ。しかたない。」

ユージンも同じだ、菅は未だに目が覚めていない様子でペルーシャが付きっきりで看病している。ペルーシャは自ら試合を放棄し、菅の看病に務めたいと言っていた。透と天井も男から受けた傷が酷かったらしく本人達は強がっていたがドクターストップがかかってしまいやむを得ず試合放棄するしかなかった。これで試合に出られるのは必然的にマリアとユージンの2人となった。

◆◇◆

そしてユージンはゴールド2位のセリカ・ハートとAブロック決勝戦を行うことになった。どしゃ降りの雨だったが試合が延期になることはなく、予定通り開始された。
闘技場の真ん中でセリカと向き合う。

「やっと闘えるわねオール3のユージン」
「...お前.........誰?」
「は?!ちょ、ちょっと!なに忘れてんのよ!セリカよ!セリカ・ハート!ゴールド2位の!」
「んー?あっ!酒場の!!?」
「思い出したみたいね…覚えてる?あなたを完膚なきまでに叩きのめす約束...」
「覚えてない」
「そう、それじゃあ思い出させてあげるわ!」

審判の開始のコールが響く。と同時にセリカは右手を前にユージンの方へ向ける。パチンと指を弾くとユージンの身体は軽々と後ろへなにかで飛ばされた。そのまま壁にめり込む程の勢いだった。

「ぐぁ!な、なんだ...?!」
「フフン、まだ踊ってもらうわよ!」

また、指を前に出す。

「なにかマズい!」

指を弾く瞬間にユージンはその場から横へ飛ぶように移動する。先程立っていた土がえぐりとられるようになくなっていた。

「コレが吟遊詩人って職業の闘い方か...」
「懸命な判断ね。だけど苦しむ時間を長引かせただけよ!」

それから次々に指を鳴らしては避けるを繰り返した。

「うおっ!あぶねぇ!ちっくしょーこのままじゃらちがあかねぇ!」

一気に距離を縮めようと試みるが近づいた瞬間、手で一度パンっと叩くと弾き飛ばされてしまった。

「痛てぇ...でもトリックはわかった。音の振動だろ」
「ピンポーン!正解!指先に衝撃魔法をためて指パッチンで一気に放つ魔法でした!」
「こんのくそ女...!俺も本気出すぞコノヤロウ!」
「やってみなさいよ、オール3ができる事なんてたかが知れてるわ。私ね弱い奴って嫌いなのよ、特に男は。」
「なめんな!振動に当たらなければ問題はない!お前のその攻撃は音を飛ばす場所が定まっていないと打てない!だったらお前が反応できない速度で動く!」
「へぇえ面白い冗談ねやってみなさいよ」
「あとで吠え面かくなよ...」

剣を背中から抜き、剣先をセリカに向けて剣を持った左腕を右手で支えるように掴む。

「《卍解(ばんかい)》!」

その瞬間ユージンを囲むように高くて細い竜巻が出た。

「っ?!一体なにを?!」

そしてその竜巻を中から黒い日本刀がなぎ払う。竜巻から出てきたユージンは黒い着物のような姿に身を包み、剣は黒い日本刀に変わっていた。

「《天鎖斬月(てんさざんげつ)》!」

「なんと!ユージン選手が変身した!一体どんな違いがでるのか?!」

「ふ...ふん!姿が変わっただけじゃない!」
「そう思うか?」
「試してあげるわ!くらいなさい!」

そして狙いを定めてくる。
指を弾くがユージンはよける気配がない。

「(当たった!)」

誰もが思ったが攻撃をくらった様子はない。

「ばかな?!何故?!」
「避けたからにきまってるだろ」
「嘘よ!全く動いてなかったハズなのに!」
「振動を避けるだけで良いんだ、それ以上動くと疲れちまう。」
「ギリギリでかわしたとでも言うの?!ありえないわ!」
「じゃあ、スピードを見せれば良いんだな?」

次の瞬間ユージンは一瞬でセリカとの距離を詰めていた。

「早い?!!」

首本に冷たい感覚を感じた。恐る恐る見ると刀がセリカの首を捉えていた。

「詰んだな。」
「くっ...!!」
「試合終了~!!Aブロック代表選手はユージン選手に決定だ~!!」

刀を下ろすとユージンはまた元の姿に戻った。

リ「あなた何者なの?!分からないわ!あなたの強さなら1位は無理でもゴールドの2位にはなってるはずよ!まだこんな強者がいたなんて...それに!オール3ていうのにも疑問が湧いてくるわ!何故強い事を口外しないの?!」
「理由は一つ」

背を向けて言い放った。

「目立ったことは嫌いなだけってこと?なのかな。」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...