異世界の救世主になろう!~主役はやっぱり勇者だ~

☆ウパ☆

文字の大きさ
39 / 60
本編

38

しおりを挟む
「ガディ・ホーフェンみっーけた!」

闘技場に開けられた外に届く穴から姿を現したのはトリシタンだった。

「あいつ...」
「トリシタンか...」
「おや?その目...なるほど無敗の男ガディ・ホーフェンは『鬼人』だったってわけか」

「鬼人?」
「俺は鬼人族っていう昔滅びた種族と人間とのハーフだ。」
「それが何か問題なのか?」
「鬼人ってのはかつて人間の天敵だったんだよ。そんなことも知らねーのか」
「天敵...?」
「食ってたんだわ、人間を」
「え?!」
「別に好物だったって訳じゃなく、人間の持つ魔力を取り込むために食ってたってわけだ」
「その鬼人とのハーフだ。これはかなりレアだな、戦うのが楽しみになってきたぜ。」

「お前何が目的なんだ」

「俺の強さを見せつけるそれだけだ」
「つまらねぇ男だな」
「さあ最強の男ガディ・ホーフェン、お前無敗説に名を残す1人目はこの俺だ...」
ガディ「あ?何を勘違いしてるかわからんが最強の男はこっちだ。先に名を刻んじまったぞ。」

ユージンに人差し指を向けて言い放った。

「え?な、は?え、ぇ!まさかお前こいつに負けたのか?!こんなガキに?!あのガディ・ホーフェンが?!」
「悪かったなガキで」
「冗談だろ...まあ、いいか。ガディより強いなら。てかお前強いのか?」
「知るか、てかいいのかよ」
「だったらどの程度か、こいつらで試すとしよう。」

トリシタンが指を鳴らすと背後から3つの影が現れた。影の正体を見てユージンは驚いた。

「何しやがったお前...」

出てきたのはマリア、カーリー、セリカの3人だった。しかし3人の動きは不自然ですぐに異変に気がついた。

「なるほど、お前が犯した禁忌ってのはそれか」
「《完全精神支配》そうさ、これが俺のユニークマジック」
「完全精神支配?」
「魔法の中でも意味嫌われているゲスな魔法、あの魔法が使えるのは独特な魔力を持ったやつだけなんだがあいつも使えるのか。」
「今こいつらは俺が支配している。俺対策のために用意したんだろうが…仇になったなまあいいや。とりあえずそこのお前今から殺すから」
「やってみろよ」
「勘違いするな、殺るのは俺じゃないこいつらさ」

3人が同時にユージンへ接近する。

「ちっ!精神支配とは厄介だ!対抗できるのは精神系魔法しかねーぞ!」

ガディが眼帯をとり時を止めようとするがユージンはそれを制止させる。

「雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ...」
「あ?何言ってんだ?」
「《縛道の六十一、六杖光牢(りくじょうこうろう)》!」

3人の身体を六つの帯状の光が胴を囲うように突き刺さり動きを奪った。

「なんだ?!(見たことねぇ魔法だ!)」
「こいつらは関係ないだろう。」
「フッ確かに...そうだな!」

ユージンが一度瞬きをすると一瞬で辺りが暗闇になった。周辺には何もない様子だった。

「これが精神支配...大したことないな」
「俺の精神支配を受けた奴は俺が外さない限り脱出することはできない、さてそこはお前の精神世界だが現実の方では無防備に突っ立ったままだぞ?このままナイフで急所をつけばお前は死ぬ、どうだ?恐いか?命乞いでもしてみろ。助けてやらんこともないぞ?」
「命乞いをしたら助けてくれるのか...」
「ああ、考えてやる。」
「そうか......だが断る!」
「なに?!」
「この湊谷勇真がもっとも好きなことの一つは自分で強いと思ってる奴にNoと断ってやる事だ!」
「はっ!強がりやがってだったらお望み通り突き刺してやるよ!死ねぇぇええ!!」

トリシタンは確かにユージンの身体へナイフを突き刺した。感覚も生暖かい血の感触もあった、観客の中には悲鳴をあげる者もいた。

「《砕けろ、鏡花水月》」

突然ナイフを突き刺したユージンの身体が砕け散った、そしてトリシタンの背後にユージンの姿があった。

「なんだ?!何しやがった!」

「鏡花水月の能力は完全催眠。俺がお前に支配されていると錯覚させた。」
「一種の完全精神系魔法だと?!お前もユニークマジックの持ち主だったのか?!くそ!だが確かにナイフは突き刺した感覚はあった!深傷は負ってるはず!」
「それも鏡花水月の錯覚に決まってるだろう?」
「なっ、ばかな!」
「一体いつから鏡花水月を使ってないと錯覚していた?」
「...っ!」
「勝てる気がしないだろ、トリシタン」「そう、それが恐怖だ」
「負けたのか…この俺が...不思議だ、闘おうという気が起きない。」
「お前は殺人の未遂もある、普通だったらここで殺しておくべきだろうが、お前の恐怖は反省の色も見えた。こいつらの精神支配を解けば逃してやる。決闘ならいつでも挑んでこい。」
「これで終わりと思うなガキ、次会うときは命がないと思え。」
「肝に銘じとく、あと俺はユージンな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...