異世界の救世主になろう！～主役はやっぱり勇者だ～

本編

45

「《星の白銀（スタープラチナ）》！」

『オラオラオラオラオラオラオラァ！』

「なんだ、あれ」
「召喚魔法かなにかかな？」
「見てないでジャスイを手伝ってやれ」
「それにしてもあのジャスイが押されてるなんてね…あいつ魔法は使えなかったけど僕達の中だったらダントツで身体能力が高いのに。勇者か、魔王様から話だけは聞いているけどこれほどとは想定外だったね。」
「やれやれ、仕方ない。」
「あ、ヒースずるいぞ！僕もやる！」
「フンッ！」

殺気を感じたユージンはヒースの拳を受けるが、あまりの重さに身を後ろへ退く、すると今度は後ろからヨルノが蹴りを入れてくる。ヨルノの蹴りは先ほどくらっているので威力もよくわかっている、くらえばかなりダメージになる。

「虚化をなめるなよ！《月牙天衝》！」

しかし、月牙天衝を放つ前に上からジャスイが攻撃してきた。避ける事も受ける事もできずにそのまま地面へ叩きつけられてしまった。

「ぐぁ...（やっぱ、ソロはキツいか）」
「殺しちゃった？」

「馬鹿言えこんなんじゃゴキブリも殺せねーわ、テラフォーマーズ見ろくそったれ」

「まだ生きてたんだね？」
「ああ。でも、やっぱ強ぇな。（これは、新技出さないとな、出し惜しみしてたら殺される）」
「（白い仮面を取った？）気を付けろよ何かしてくるぞ」
「なんのつもりかな？」
「剣を鞘に収めた...」

「《ギア2（セカンド）》！」

肌が赤くなり、わずかに熱と湯気を出し始めた。

「魔力反応はない。だが、どうにも様子がおかしいな」

「ちゃんと目で追ってこいよ？」

次の瞬間、ユージンの姿が確認できなくなり一瞬で目の前にいたジャスイが吹き飛ばされた。

「《JETピストル》！」

「なにっ！ジャスイ！」
「...tm...」
「はあはあ...はあゴム人間じゃないからキツいか…」
「1発でバテちゃったね？」
「っ！？（視線を落とした瞬間に間合いを詰められてた！）マズい！ガード...」

しかし、一瞬早くワイムールが動いた。ユージンはそのまま腹部に蹴りを入れられた。

「知ってるかな？腹部は人間の弱い所の一つなんだよ？」
「がっ...あぁ...」
「衝撃で声すら出なくなったようだな」

「ぐぅぅうぁぁぁああ！」

「あ、立ち上がった。」
「タフな人間だな」

立ち上がったユージンの瞳には先程までの戦意が全く感じられなくなっていた。

「...俺の魔法の弱点は...技は出せるのに、出した技全てが...未完成ということ。」

「何を言ってるの？」

「真似ただけの技なんて...所詮ゴムボールをぶつけられるのと同じ威力だ。だから、真似ると同時により本物に近づけられれば鉄球並の威力になる。」

「なんだこいつ、壊れたか？」

「まず近づけるのは芯である、この俺。何にでもなれるイメージ...だが、イメージだけだったら限度がある、だから本当のお前の力を貸せ」

「ん、どうかしたか？サズイ」
「感じないか？ものすごいスピードでこちらに接近してくる微弱な魔力を」
「言われてみれば…」
「人間の...いや、生物の速さじゃないぞ」

「持ち主である俺を助けたかったら...来い」

「（こいつが呼んでいる？）」
「かなり近くまで来たね？そろそろ見えるよ？」
「なにも、見えないぞ？」

その時、アモイ達の横を何かが通り過ぎる感覚だけがあった。

「なんだっ！」

その場にいる全員がユージンへ意識を向けた。

「よぉ、初めまして。だな？」
『ええどうも、初めまして』
「誰だっ？！」
「姿は見えないのに声だけが聞こえる…」

「神器ってのはそれぞれに魂があるって聞いてたからどうして俺の聖剣にはないんだろうなってずっと思ってたんだ。先代の勇者が使っていた古代兵器、その正体がまさか神器の魂だったとは。」

『いつ気付いたんです？』
「覚えてない。」
『またまたぁ！』
「馴れ馴れしいなお前。」
『そうですか？』
「まあ、いいか。お前名前は？」

『ガイウス・ユリウス・カエサル』