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本編
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大きな広い部屋に長いテーブルがある、鎧を纏った者、メイド服を纏った者など数十人いた。そのテーブルを挟むように人が座っていた、ひとりはネロ、もうひとりはなんとも裕福そうな腹をした男が座っていた。テーブルの上には豪華な食事が並べられていたがネロは1度も口にしていなかった。
「おや?口にあわなかったかな?ネロ殿」
「バルディア・ワアル・ガリア 4世殿」
「どうかしたかな?」
「私の友を解放してはいただけないでしょうか?」
「ふむ、それはいささか無理な話だな?」
返事は聞くまでもなく予想はしていた。
「君達はローマの捕虜だ。しかし、こちらの条件を聞いていただけるというのなら考えよう。」
「条件?」
「実はネロ殿、今日初めて其方と相見えたわけだが、其方を見て1番初めに思った事それは、なんと美しいのかという事だよ。」
「は?」
「私はこれまで気に入った物は全て手に入れてきた。今回、この戦争のもとになった遠征部隊の襲撃、その遠征部隊も実はローマ帝国に宣戦布告をおうように組んだものだった。」
「つまり、遠征部隊が消えようと消えまいと、戦争は起きていた...」
「それでは少し語弊があるな。」
「?」
「宣戦布告をしてから中々ローマ帝国は食いついてくれなかったものでね」
「...その考えもありましたが...ということはあれは自作自演ということですね...」
「そしてそれを確かなものに裏付けるためにわざわざ部隊を編成してあの小汚い小さなローマ領域の村を襲わせたんだぞ?」
「この、外道め...」
「おや?そんな口を聞いてよいのかな?」
「っ!...」
仕方なくネロは席に着いた。
「話が逸れてしまったがつまり私は今回でローマを手に入れようとしたわけだが、先程我がガリア国境付近で前線の軍が程なく敗れたらしい。しかし、あの小さな村を潰して出てきたのがこれほどの上玉とは、海老で鯛を釣るとはまさにこれのことよホッホッホ。おまけに其方を我が妃とすればローマは漏れなく私の手中...」
「陛下、軍団長三幹部のイトエラ、ムーサが帰還致しました。」
「もうひとりはどうした?死んだか?」
「いえ、それが進軍開始時にも姿が見えなかったようで、ただいま捜索中でございます。」
「な、ん、だ、と?この私が命じた仕事を放棄だと?腹立だしい!おのれ、腹が立った、残り2人の三幹部をここに呼んでまいれ!」
「御意」
◆◇◆
「陛下、三幹部がひとりイトエラにございます。」
「同じく、ムーサにございます。」
2人の顔色はあまり良いものではなかった。無理はない、自分の飼い主が怒り狂っているというのにわざわざ殴られに行く飼い犬はいないように、彼女らも自分が可愛いのだ。
「貴様らか前線からノコノコと尻尾を巻いて来た負け犬は。それにあと1人は逃げ出したようではないか、どう責任をとるつもりだ?」
「申し訳ありま...」
男の方が口を開いて謝罪を述べようとした時だ。
「謝って済むことと思ったか、貴様らが軍を退き、我国に敵軍を招き入れたとなれば、反逆罪により貴様らは重罪だ。」
「そんな...」
横で見ていたネロだったがこの男の行動を見ていて腹が立って仕方がなかった。
「貴様らの処分は追ってだ、無論逃げ出した残り一名も捕え、民の前で斬首だ。」
「陛下!ルピはまだ逃げたとは…」
「黙らせろ」
後ろに立っていた兵達が彼女を抑え、頭を上げられないようにしている。
「番犬も真面に勤まらないゴミが、高貴な私をその汚れた目で見るのもおこがましいわ」
バルディアはイトエラを掴んでいた兵たちに離せとジェスチャーをし、離されたイトエラの胸をネロにも聞こえるような大きい音を立てて蹴り飛ばした。
「ぐっ!」
「ほぉ貴様、顔は悪くないな、私の玩具ぐらいなら務まるかもしれんぞ?いや、売り払うという手もある...よし、では奴隷市に売るか今日からお前は私の奴隷だ。確か、ローマに有名な領地主がいて奴隷を集めて今は一つの街にまで大きくしているとか、他国の王である私にまで届くほどだ、余程立派な街なのだろう。その男に言えば貴様と代わりにその街を明け渡すかな?そうだそれもいいな。」
「いえ」
「?」
今まで黙っていたネロが突然口を開いたので面食らったように振り向いた。
「今のあなたを見たら恐らく、交渉の余地すら見せずにあなたに殴りかかるでしょう。」
「ハッ!たったひとりの奴隷で、国を相手にする愚か者がいるか!」
その時バルディアの肩を後ろから叩く誰かがいた。
「失礼、陛下。その愚か者只今こちらで...」
振り返るとひとりの騎士がたっていた。
「なに?どうしたのだ?」
「陛下と対話している者でございます!」
言葉と一緒に鋭い拳がバルディアの風船のような頬に突き刺さった。
「おや?口にあわなかったかな?ネロ殿」
「バルディア・ワアル・ガリア 4世殿」
「どうかしたかな?」
「私の友を解放してはいただけないでしょうか?」
「ふむ、それはいささか無理な話だな?」
返事は聞くまでもなく予想はしていた。
「君達はローマの捕虜だ。しかし、こちらの条件を聞いていただけるというのなら考えよう。」
「条件?」
「実はネロ殿、今日初めて其方と相見えたわけだが、其方を見て1番初めに思った事それは、なんと美しいのかという事だよ。」
「は?」
「私はこれまで気に入った物は全て手に入れてきた。今回、この戦争のもとになった遠征部隊の襲撃、その遠征部隊も実はローマ帝国に宣戦布告をおうように組んだものだった。」
「つまり、遠征部隊が消えようと消えまいと、戦争は起きていた...」
「それでは少し語弊があるな。」
「?」
「宣戦布告をしてから中々ローマ帝国は食いついてくれなかったものでね」
「...その考えもありましたが...ということはあれは自作自演ということですね...」
「そしてそれを確かなものに裏付けるためにわざわざ部隊を編成してあの小汚い小さなローマ領域の村を襲わせたんだぞ?」
「この、外道め...」
「おや?そんな口を聞いてよいのかな?」
「っ!...」
仕方なくネロは席に着いた。
「話が逸れてしまったがつまり私は今回でローマを手に入れようとしたわけだが、先程我がガリア国境付近で前線の軍が程なく敗れたらしい。しかし、あの小さな村を潰して出てきたのがこれほどの上玉とは、海老で鯛を釣るとはまさにこれのことよホッホッホ。おまけに其方を我が妃とすればローマは漏れなく私の手中...」
「陛下、軍団長三幹部のイトエラ、ムーサが帰還致しました。」
「もうひとりはどうした?死んだか?」
「いえ、それが進軍開始時にも姿が見えなかったようで、ただいま捜索中でございます。」
「な、ん、だ、と?この私が命じた仕事を放棄だと?腹立だしい!おのれ、腹が立った、残り2人の三幹部をここに呼んでまいれ!」
「御意」
◆◇◆
「陛下、三幹部がひとりイトエラにございます。」
「同じく、ムーサにございます。」
2人の顔色はあまり良いものではなかった。無理はない、自分の飼い主が怒り狂っているというのにわざわざ殴られに行く飼い犬はいないように、彼女らも自分が可愛いのだ。
「貴様らか前線からノコノコと尻尾を巻いて来た負け犬は。それにあと1人は逃げ出したようではないか、どう責任をとるつもりだ?」
「申し訳ありま...」
男の方が口を開いて謝罪を述べようとした時だ。
「謝って済むことと思ったか、貴様らが軍を退き、我国に敵軍を招き入れたとなれば、反逆罪により貴様らは重罪だ。」
「そんな...」
横で見ていたネロだったがこの男の行動を見ていて腹が立って仕方がなかった。
「貴様らの処分は追ってだ、無論逃げ出した残り一名も捕え、民の前で斬首だ。」
「陛下!ルピはまだ逃げたとは…」
「黙らせろ」
後ろに立っていた兵達が彼女を抑え、頭を上げられないようにしている。
「番犬も真面に勤まらないゴミが、高貴な私をその汚れた目で見るのもおこがましいわ」
バルディアはイトエラを掴んでいた兵たちに離せとジェスチャーをし、離されたイトエラの胸をネロにも聞こえるような大きい音を立てて蹴り飛ばした。
「ぐっ!」
「ほぉ貴様、顔は悪くないな、私の玩具ぐらいなら務まるかもしれんぞ?いや、売り払うという手もある...よし、では奴隷市に売るか今日からお前は私の奴隷だ。確か、ローマに有名な領地主がいて奴隷を集めて今は一つの街にまで大きくしているとか、他国の王である私にまで届くほどだ、余程立派な街なのだろう。その男に言えば貴様と代わりにその街を明け渡すかな?そうだそれもいいな。」
「いえ」
「?」
今まで黙っていたネロが突然口を開いたので面食らったように振り向いた。
「今のあなたを見たら恐らく、交渉の余地すら見せずにあなたに殴りかかるでしょう。」
「ハッ!たったひとりの奴隷で、国を相手にする愚か者がいるか!」
その時バルディアの肩を後ろから叩く誰かがいた。
「失礼、陛下。その愚か者只今こちらで...」
振り返るとひとりの騎士がたっていた。
「なに?どうしたのだ?」
「陛下と対話している者でございます!」
言葉と一緒に鋭い拳がバルディアの風船のような頬に突き刺さった。
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