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本編
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「どうやら吸い込まれそうな美しさに呼ばれてぶつかってしまったようだ!」
「こんなところでなにをしてんだマリア。」
明らかにマリアだった。しかし、周りはマリアの姿に特に興味は内容だった。マリアは美人だが男装すればかなりの色男だ。しかしこの世界に来てからユージンは不細工な顔を見た事がない、言ってしまえば天井ぐらいだろうか。
「マリア?誰とお間違えになられたかは分かりかねますが、私の名前はラミーロ・アルフォーンです!気軽にラミーとでもお呼び下さい!」
「は、はあ...」
マリアの男装には興味の色は示さない貴族達だったがその言動には少し引いていた。
「ら、ラミー様?」
「何でしょう?!お嬢さん?」
「(ウゼェ!なんだこいつ!ウゼェ!)あの、顔が...近いんですけど...」
「これは失敬!あなたの美しさをより近くで感じたく思いまして不愉快にさせたのであればもう訳なーい!」
もう、こちらに関わろうとする人物はおらず絶対にこちらを見ないという意志が伝わってくる。
ラミーことマリアの扱いに困っていると後ろから誰かが声を掛ける。
「あらあら、ダメでしょう?ラミーロ」
「そうだぞラミーロ、他の方々が迷惑にならない様にせねば。」
「ラミーロ様、お控え目にお願い致します。」
振り返って見れば男装したセリカ、貴婦人のような柔らかな口調のカーリー、やたら大きなスーツをびしっと着用し筋肉が収まりきれていないガディがいた。
「(なんだ?!なんだ?!)」
「申し訳ありませんわ。」
「い、いえ、ラミーロ様ったら面白い方ですのね。」
「あなたお名前は?」
「ユリスと申します。」
「わたくしナヴィーロ・アルフォーンです。以後御見知りおきを。」
「私はティーロ・アルフォーン、初めまして美しいお嬢さん。こっちは私の執事のマターロだ。」
「(ラミーロ、ナヴィーロ、ティーロ、マターロ?!なにその〇〇ーロ繋がり?!意図的だろ絶対!)」
「どうかされましたか?ユリス殿?」
「いえ、その、あー、わたくしお手洗いに行かなくては、先程忘れ物をしてしまったので。」
「ふむ、それではマターロに取りに行かせよう。」
セリカがぱちんと指をならすと、後ろに控えていた巨体を持つ大きな執事役のガディが頭を下げ、トイレの方向へ歩いていく。
ガディに見張りをさせるからユージンは行かなくて良いということだろう。
歩き方は本物の執事を思わせるが、眼帯を付けた執事というのはどうなんだろう、としばし眺めていた。
「ユリス殿、もうすぐで音楽が始まります。私と一曲踊って頂けますでしょうか?」
「え、ええ、えっとダンスはちょっと踊れないんですけれど...」
「ご安心下さい。私が上手くリード致しますので!お願いします!」
「まあわたくしで良ければ...」
先程までユージンの近くにたまっていた青年達は始終その会話を聞いていたがユージンが了承の意を示すと落ち込んだように肩を落とし、マリアに嫉妬の篭った視線が送られる。
それをものともせず誇らしげな顔でその視線を返した。
続々とペアを組んだ男女が出てくる。ユージンとマリアはそのほぼ中央という位置に付き音楽が始まると同時に足で器用にステップを踏む。手の位置がわからないのでひとまず周りの女性に合わせる。
「やっと話せるわね、ダーリン。」
「これはどういう事だ、ネロ。お前達は外の警備だったはずだろう。」
「外はネロちゃんが来たことによって王国の騎士達が固めてるから大丈夫よ。問題は...」
「さっきからこっちを見てる奴らか」
「恐らく、盗賊スキルそれもより上位の物を使って複数人潜伏してるわ。」
別にユージンはそれらの視線には気がついていなかったがカエサルが常にユージンを中心にサーチしていたらそれに何人か引っかかったというだけだった。
「どうする?取り押さえても良いけど」
「貴族に紛れ込んでたらどうするの...」
「確かに...」
貴族に紛れ込んでいれば近くにいる人達を人質などの危険な可能性も考えられる。
「奴らが動き始めたらにしましょう。」
「動くと思うか?」
「何もしないというのはないと思うわ。それにあちらも大事にはしたくないでしょうね。」
「というより、なんであいつらまで連れてきたんだよ。」
ユージンの視線の先には男装したセリカと普段男装のような格好をしているのに今見た事もない派手なドレスに身を包んでいるカーリーだ。
「外にいるよりはすぐ近くでネロちゃんとか守れるし、良いじゃない?」
「まあ、そうなんだけど...」
カーリーと目線が合うが普段見せない小動物のような笑顔を見せられつい逸らしてしまう。
「気持ち悪!」
「こんなところでなにをしてんだマリア。」
明らかにマリアだった。しかし、周りはマリアの姿に特に興味は内容だった。マリアは美人だが男装すればかなりの色男だ。しかしこの世界に来てからユージンは不細工な顔を見た事がない、言ってしまえば天井ぐらいだろうか。
「マリア?誰とお間違えになられたかは分かりかねますが、私の名前はラミーロ・アルフォーンです!気軽にラミーとでもお呼び下さい!」
「は、はあ...」
マリアの男装には興味の色は示さない貴族達だったがその言動には少し引いていた。
「ら、ラミー様?」
「何でしょう?!お嬢さん?」
「(ウゼェ!なんだこいつ!ウゼェ!)あの、顔が...近いんですけど...」
「これは失敬!あなたの美しさをより近くで感じたく思いまして不愉快にさせたのであればもう訳なーい!」
もう、こちらに関わろうとする人物はおらず絶対にこちらを見ないという意志が伝わってくる。
ラミーことマリアの扱いに困っていると後ろから誰かが声を掛ける。
「あらあら、ダメでしょう?ラミーロ」
「そうだぞラミーロ、他の方々が迷惑にならない様にせねば。」
「ラミーロ様、お控え目にお願い致します。」
振り返って見れば男装したセリカ、貴婦人のような柔らかな口調のカーリー、やたら大きなスーツをびしっと着用し筋肉が収まりきれていないガディがいた。
「(なんだ?!なんだ?!)」
「申し訳ありませんわ。」
「い、いえ、ラミーロ様ったら面白い方ですのね。」
「あなたお名前は?」
「ユリスと申します。」
「わたくしナヴィーロ・アルフォーンです。以後御見知りおきを。」
「私はティーロ・アルフォーン、初めまして美しいお嬢さん。こっちは私の執事のマターロだ。」
「(ラミーロ、ナヴィーロ、ティーロ、マターロ?!なにその〇〇ーロ繋がり?!意図的だろ絶対!)」
「どうかされましたか?ユリス殿?」
「いえ、その、あー、わたくしお手洗いに行かなくては、先程忘れ物をしてしまったので。」
「ふむ、それではマターロに取りに行かせよう。」
セリカがぱちんと指をならすと、後ろに控えていた巨体を持つ大きな執事役のガディが頭を下げ、トイレの方向へ歩いていく。
ガディに見張りをさせるからユージンは行かなくて良いということだろう。
歩き方は本物の執事を思わせるが、眼帯を付けた執事というのはどうなんだろう、としばし眺めていた。
「ユリス殿、もうすぐで音楽が始まります。私と一曲踊って頂けますでしょうか?」
「え、ええ、えっとダンスはちょっと踊れないんですけれど...」
「ご安心下さい。私が上手くリード致しますので!お願いします!」
「まあわたくしで良ければ...」
先程までユージンの近くにたまっていた青年達は始終その会話を聞いていたがユージンが了承の意を示すと落ち込んだように肩を落とし、マリアに嫉妬の篭った視線が送られる。
それをものともせず誇らしげな顔でその視線を返した。
続々とペアを組んだ男女が出てくる。ユージンとマリアはそのほぼ中央という位置に付き音楽が始まると同時に足で器用にステップを踏む。手の位置がわからないのでひとまず周りの女性に合わせる。
「やっと話せるわね、ダーリン。」
「これはどういう事だ、ネロ。お前達は外の警備だったはずだろう。」
「外はネロちゃんが来たことによって王国の騎士達が固めてるから大丈夫よ。問題は...」
「さっきからこっちを見てる奴らか」
「恐らく、盗賊スキルそれもより上位の物を使って複数人潜伏してるわ。」
別にユージンはそれらの視線には気がついていなかったがカエサルが常にユージンを中心にサーチしていたらそれに何人か引っかかったというだけだった。
「どうする?取り押さえても良いけど」
「貴族に紛れ込んでたらどうするの...」
「確かに...」
貴族に紛れ込んでいれば近くにいる人達を人質などの危険な可能性も考えられる。
「奴らが動き始めたらにしましょう。」
「動くと思うか?」
「何もしないというのはないと思うわ。それにあちらも大事にはしたくないでしょうね。」
「というより、なんであいつらまで連れてきたんだよ。」
ユージンの視線の先には男装したセリカと普段男装のような格好をしているのに今見た事もない派手なドレスに身を包んでいるカーリーだ。
「外にいるよりはすぐ近くでネロちゃんとか守れるし、良いじゃない?」
「まあ、そうなんだけど...」
カーリーと目線が合うが普段見せない小動物のような笑顔を見せられつい逸らしてしまう。
「気持ち悪!」
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