異世界の救世主になろう!~主役はやっぱりヒーローだ~

☆ウパ☆

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秋だ。
紅葉の秋だ。秋と言ったら体育祭だ。体育祭と言ったら勿論文芸祭もある訳で、俺、佐藤真は絶賛──

「ぎゃあああ!!!や、やら、やられ...た...」

懲らしめられていた。

◆◇◆

生まれてこの方17年。
始まりは幼稚園に遡る、それは先生の一言であった。
お遊戯会、皆も1度は経験があると思う。記憶がある人達は、今となっては良い思い出、と言って語り出す人もいるのではないか。

「はーい、じゃあもも組さんは演劇をやりまーす!やってもらうのは~...ドラゴンボールでーす!」

幼稚園のお遊戯会でドラゴンボールは如何なものかと思うが、まあ皆良く盛り上がった。しかし、問題はそこではない。

「役決めるよー集まって!」

先生が園児1人1人に何の役をやりたいか聞いていく、勿論悟空が多かった。そして、1番人気がなかったのが今回の悪役であるピッコロ大魔王である。正直言って亀仙人の方が多かった。勿論、真も悟空になるべく先生に猛烈アタックしたのだがジャンケンに虚しく負け、残ったのはピッコロ大魔王となった。
しかし、練習中にラストのシーン、ピッコロ大魔王の死ぬシーンをしたら、先生にボロクソ褒められた。家でもやって親戚に褒められ、「子役の事務所入れましょうか」などと親が本気で頭を悩ませる程であった。
本番のステージでその演技を見せればスタンディングオベーション、園児が見せられる演技ではないと賞賛の声が園長に向かう。
ただ良く考えて欲しい。

大した事じゃない、というか嬉しくない。

これは、園児の、ピッコロを演じた、真が1番良くわかっている。
緑の地球外生命体の命の灯火が消えるシーンを真似てボロクソ褒められるなんて正直言って嬉しくない。それだったらまだ魔貫光殺砲とかだしたとこを褒めてもらった方がありがたい。
これは、齢園児の身体で心で頭で感じた普通の事である。
しかし、幼稚園だけには留まらなかった。中学校の演劇を始め、瞬く間にその演技力は同級生へと知れ渡り、現在に至る。

「冗談じゃないよ、なんで何もしてないのに懲らしめられるんだ。冤罪だぞ、これは。」

だから、佐藤真は悪が大好きだ。悪を愛し悪を敬す。まあ、敬すと言ってもアンパンマンに出てくるバイキンマンや、仮面ライダーに出てくる怪人を応援するという様な事に過ぎないが。ただ、真の考えはこうだ、悪が正義に負ける通りなんてない。むしろ悪が正義を倒した先、それがみたい。

「佐藤真は悪を全身全霊サポートしています。完璧なキャッチフレーズだ。」

家に着けば、真の良く知る人物がリビングの中心に横たわっている。

「何をやってんの」
「おかえり」
「うん、ただいま。ってだから何をしてんの?」
「天井見てんの。」

彼女は佐藤真の妹。現在中学三年生で受験を控えている。

「勉強しなさいよ。」
「お兄ちゃんオネエ口調になってるよ。」
「うるさいよ、勉強しろよおめーは。もう秋ですよー」
「じゃあ冬眠に備えないと...」

これ以上は無駄と判断し、自室へ向かう。自室の扉を開けた瞬間に真の意識はブツっと音が鳴るように切れた。
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