私は推しに恋してる ~元・組長アルファ×薄幸オメガ少年 彼を推しているのは私一人でないことは解っているんだが~

大波小波

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「加賀さん。お肉、焼けました。食べてください」
「え? あ、ありがとう」
 和気あいあいとバーベキューをする中で、蓮が初めて巴に皿を渡した。
(……感動だ!)
 推しが、私のために焼いてくれた肉!
 肉の写真を撮りたかったが、変な大人だと思われたくはない。
 巴は、じっくり味わって蓮のよそってくれたそれを噛みしめた。

「美味しいですか?」
「うん。うまい」
 良かった、と輝くような笑顔をくれる、蓮。
 巴は、気が遠くなりそうだった。
 踏みとどめたのは、蓮の一言だった。
「加賀さん。今度マンションで一緒に、すき焼きしませんか?」
「ん、あ、え。い、いいのか?」
「加賀さん、服だけでなく、食材もたくさん準備してくださってたでしょう」

 巴が蓮に貸したマンションのフリッジには、いろいろな食材が詰まっていた。
 その中には、早めに食べた方が良いものも多かったのだ。
「黒毛和牛700グラム、なんて一人じゃ食べられないですから。良かったら、ご一緒に」
「喜んで、うかがおう」
 巴の返事は、即答だった。
 
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