私は推しに恋してる ~元・組長アルファ×薄幸オメガ少年 彼を推しているのは私一人でないことは解っているんだが~

大波小波

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「う、わぁ……」
 蓮の目の前に、朝日に輝く海が広がった。
 まぶしい波の、きらめき。
 耳に爽やかな、潮騒。
 巴は、彼を海辺の別荘へ招待していたのだ。
「お誕生日おめでとう、蓮」
「ありがとう、巴さん!」
 二人は車から降り、浜辺を歩いた。

「僕、自分の誕生日をすっかり忘れてました」
「そんな迂闊な。私の宝物が生まれた、聖なる日だぞ」
「大げさですよ」
 笑い合いながら、ゆっくりと散策する時間は、蓮の心身を潤していった。
 思えば、巴と初めて出会ったのも、海だ。
 運命的なものを、感じていた。

「お腹はすかないか?」
「少し」
「朝食の準備は、すぐにできるよ」
 コテージに戻り、巴は蓮のために腕を振るった。
 クロワッサンに、フルーツサラダに、ベーコンエッグに、はちみつヨーグルトに、カフェオレに、チーズケーキに……。
「こんなにたくさん!」
「全部、食べてくれよ」
 賑やかな食卓で楽しい朝食を楽しんでいると、巴のスマホが鳴った。

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