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第八章 お父さん?
しおりを挟む拓真の記憶の中の琉果は、とんでもなく反抗的だった。
『僕は! ゲストとして、招かれたんじゃなかったの!?』
『いきなり同意も得ずに、愛人になれ、だなんて! 非常識だよ!』
『うるさい! 美味しい料理でご機嫌だったのに、台無しだよ!』
「やはり、無礼だ。不愉快きわまりない!」
このように行儀の悪い野良猫を、屋敷に再び招き入れてしまうとは。
「だが……後悔はしていない」
それらを上回る魅力が、琉果にはあったからだ。
『僕、お腹が空いてるから……何かご馳走してくれないかな!?』
『うわぁ……美味しい! 海の香りがする!』
『きれい……食べるのが、もったいないくらい!』
無邪気で、飾らない。
裏表のない、素直な心根。
琉果は、拓真の周りには見られない、イレギュラーな人間だった。
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