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第二十九章 思い出のウサギさんリンゴ
しおりを挟む衛のマンションに着いても、秀一は泣いたり笑ったりしていた。
すき焼きを食べ、ビールを飲み、酔っては泣き、笑った。
「秀一さんは、泣き上戸なのかな。それとも、笑い上戸なのかな?」
「両方だろうね。さて、と」
衛は秀一を抱き起すと、肩を貸した。
「宮木くん、寝室へ行こうか」
「うぅ……」
「早紀、私たちはソファで寝るぞ」
「うん。解った」
寝室へ秀一を連れて行き、衛はベッドに彼を横たえた。
その場から離れようとすると、秀一が腫れぼったい瞼を開けて言った。
「すみません。俺、自分のアパートへ帰ります」
「今夜は、泊っていきなさい」
「弓月さん、俺……」
「眠ると、今の辛さは少し薄まるよ」
その言葉に、秀一の目からは、また涙が流れた。
「寝室は、一人で使っていいから。たくさん泣いて、ゆっくり眠るんだ」
「ありがとうございます……ッ」
衛は、タオルを秀一に渡した。
彼はそれを目に当て、涙をゴシゴシとぬぐった。
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