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しおりを挟む「あの、志乃くん。君さえ良かったら、私の家に来ないか?」
「えっ?」
志乃は思わず声をあげて、章を見た。
真剣な、まなざしだ。
「動きが不自由になった以上、誰かの介助が必要だろう? 病院まで、車も出すよ」
「それは嬉しいけど。でも」
戸惑い、迷う志乃に、章ははっきりと言った。
「私を、頼って欲しい。君の力になりたいんだ」
「章さん……」
いつもの章、ではなかった。
優しさの中に力強さが、人を惹きつけて離さないオーラが、あった。
(ああ。やっぱり章さんは、アルファなんだね)
その頼もしさに、志乃は自然と身を任せる流れに乗った。
「じゃあ、お世話になります」
「うん。ありがとう」
章は、静かにアクセルを踏んだ。
行き先は、自宅。
志乃を隣に乗せたまま、章はやがて見慣れた景色を車窓の外に迎えた。
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