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しおりを挟む駐車場に愛車を止めた章は、エンジンを切ると、すぐに降りてナビシート側のドアを開けた。
そして、その広い背中を志乃に向けた。
「はい。また、背負うから」
「ありがとう。ごめんね」
章に抱えてもらいながら、志乃は医師の言葉を思い出していた。
『元気出しなさい。いい機会だから、彼氏に甘やかしてもらって。ね?』
ちょっぴり、笑みがこぼれる。
(えへへ。彼氏に甘やかしてもらってる……、みたいだな)
いけない、と瞼を伏せた。
(章さんは、彼氏じゃないんだから)
でも、なぜこんなに親切にしてくれるんだろう。
けがの痛みや今後の不安が手伝って、その思いは素直に言葉になった。
「章さん」
「何?」
「どうして、こんなに親切にしてくれるの?」
「それは、その」
弱弱しい志乃の声が、彼への心配が、章の背中を押していた。
「志乃くんのことが、好きだから」
「えっ」
志乃は、耳を疑った。
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