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1話 宣戦布告

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 正吾の遺書が公開され、精進落としの場も、お開きとなった。
 会場に訪れていた人々は、みな口々に竜也に祝いの言葉をかけていく。
 何も知らない彼らに御礼を言いながら、竜也の頭は朋の安否でいっぱいだった。
 お願いだから。
 頼むから。
(どうか、無事で!)

 やがてホールの片付けが始まり、竜也は理紗と秋山、そしてその部下たちと合流した。
「どうだった、母さん」
「ホテル内には、いないみたい」
「秋山さんは?」
「朋さんのマンションにも、戻っていないようです」
 部下たちは、ホテル近辺の通りやショップをくまなく探したが、朋の姿は見られなかった。
 あとは、行きつけのカフェ・白樺や、竜也のマンション、くらいか。

「そこに、いてくれればいいけど」
「うん……」
 竜也は、考えていた。
 少し目を離したすきに、全くいなくなってしまうなんて、通常ではありえない。
「フロントに、行ってくる」
(もしや、誘拐)
 そんな思いが、芽生えていた。

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