上 下
91 / 105

3

しおりを挟む
「朋!」
 竜也は、とっさに朋を背後から抱きかかえ、かばった。
 ぱん、ぱんぱん、と乾いた音が響き、竜也は背に途方もない衝撃を受けた。
「竜也さん!」
 朋の悲痛な声が、聞こえる。
 竜也は、その場にくずおれてしまった。
 防弾チョッキを身に着けているとはいえ、ひどい痛みだ。
 まるで、本当に撃ち抜かれたかのようだ。

「竜也さん。竜也さん、しっかり!」
「朋……」
 すがりつき、必死で声を掛けて来る朋に、竜也は言葉を絞り出した。
「朋。ドアを、三回、叩くんだ……」
「竜也さん?」
「ドアを、三回……」
 朋は、聡明な子だ。
 これだけで、きっと通じる。
 竜也は、そう確信していた。

 朋は、顔を上げた。
 笑いながら、勇生がこちらに近づいてくる。
 朋には、竜也の意図がよく解らなかった。
 だが、彼は素早く立ちあがり、ドアを激しく三回たたいた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

たしかなこと

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:65

健気な美少年は大富豪に愛される

BL / 完結 24h.ポイント:710pt お気に入り:2,017

この恋は運命

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:261

処理中です...