君と笑顔でいたい  ~恋した相手は父の愛人でした! ~

大波小波

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「僕は、この水族館のイルカと同じだ、って。以前、言いました。自由が無い、って」
「うん。覚えてる」
「でも、今は違います。僕は、竜也さんという海の中で、自由に泳いでいるんです」
 きゅっと、朋は竜也の手を握り返した。
「竜也さん。今度は、僕から言います。……結婚してください」
「朋……!」
 周囲のざわめきが、竜也の耳には一瞬にして聞こえなくなった。
 聞こえるのはただ、朋から贈られた大切な言葉。
 そして、彼の胸の高鳴りだけだった。
 返事に迷うことなど、無かった。
「喜んで。朋、私たち、結婚しよう」
「はい!」

 我に返ると、竜也と朋は大勢の人々に囲まれていた。
 誰もが笑顔で、拍手を贈ってくれる。
 おめでとう、との声も上がった。
「ありがとうございます、皆さん!」
「僕たち、幸せになります!」
 祝福を受け、朋の瞳に涙が浮かんできた。
 ほんの行きずりの人々なのに、こんなにも温かい。
 そして、この温かさに気づかせてくれたのは。
(僕の大好きな、竜也さんなんだ!)
 朋の胸は、喜びでいっぱいに満ちた。

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