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1話 愛し合うこと
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表向きは内科だが、毛利は外科医の腕も持っていた。
そしてそれは、裏の腕。
徹の事務所のような、表沙汰にしたくない怪我人が出た場合に、治療を引き受けているのだ。
しかし、今回の急患に、毛利は驚いていた。
「まさか、ペットちゃんが運び込まれるとはな」
そしてそれは、飼い主の徹をかばっての外傷だという。
「大した忠義だよ。だが、あんなカサノヴァに尽くして、ひどい目に遭ったな」
毛利は呟いたが、すぐに樹里の、かつての言葉が思い出された。
『綾瀬さんは、そんな人じゃありません』
「確かに、そんな人じゃなかったな。オメガくん」
いや、そんな人じゃなくなった、と言う方が正しいか。
『私の血、全部くれてやる。だから、絶対に助けろ!』
まさか徹の口から、あんな言葉が聞けるとは、想像だにしなかった毛利だ。
「俺の腕に掛けて、必ず助けてやるからな」
あそこまで言うからには、おそらく。
いや、きっと。
愛だ。
「鉄血の綾瀬組長が、愛を知る日が来ようとは、な」
よし、後は縫合。
樹里の手術は、終了した。
そしてそれは、裏の腕。
徹の事務所のような、表沙汰にしたくない怪我人が出た場合に、治療を引き受けているのだ。
しかし、今回の急患に、毛利は驚いていた。
「まさか、ペットちゃんが運び込まれるとはな」
そしてそれは、飼い主の徹をかばっての外傷だという。
「大した忠義だよ。だが、あんなカサノヴァに尽くして、ひどい目に遭ったな」
毛利は呟いたが、すぐに樹里の、かつての言葉が思い出された。
『綾瀬さんは、そんな人じゃありません』
「確かに、そんな人じゃなかったな。オメガくん」
いや、そんな人じゃなくなった、と言う方が正しいか。
『私の血、全部くれてやる。だから、絶対に助けろ!』
まさか徹の口から、あんな言葉が聞けるとは、想像だにしなかった毛利だ。
「俺の腕に掛けて、必ず助けてやるからな」
あそこまで言うからには、おそらく。
いや、きっと。
愛だ。
「鉄血の綾瀬組長が、愛を知る日が来ようとは、な」
よし、後は縫合。
樹里の手術は、終了した。
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